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【滞在記】「上高地帝国ホテル」で自然と美食をマッキー牧元が体験!
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【滞在記】「上高地帝国ホテル」で自然と美食をマッキー牧元が体験! 上高地帝国ホテル(長野県/上高地)

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ホテルに泊まるとはどういうことか?
「上高地帝国ホテル」に2泊して問われたのは、その真意だった。
ホテルへは、松本駅から上高地線・新島々駅へ30分。新島々駅よりバスにて、1時間ほどかけて行く。
都心から乗り換えも入れると、5時間弱である。
遠方に関わらず、リーピーターが多く、なかには毎月来られる方もいるという。
そこには、単なる高地リゾートとしての魅力だけではない、宝が潜んでいたのであった。

赤い三角屋根と丸太小屋風の外観

バスを走らせて行くと、緑の樹々の間から、赤い三角屋根が見えてきた。
緑と赤は対照色であるが、なぜか仲睦まじく溶け込んでいる。
樹々たちがその存在を認めて、懐に招き入れているのだろうか。

自然の只中にありながら、建造物としての違和感が微塵もない。
そのとき、心の奥で温かいものが動いた。
「懐かしい」。
初めて訪れるホテルなのに、懐かしさがなぜかよぎる。

スロープを下ってホテルに近づいていくにしたがって、その思いは強まった。
見上げれば穂高の頂が見える。
赤い屋根は、スイス・アルプスの山小屋建物をイメージしたのだという。
またどの山に登っても目印になるように、赤にしたのだともいう。
その優しさが、風景に溶け込ませているのかもしれない。

「いらっしゃいませ。お待ち申しておりました」。
出迎えてくれたホテルスタッフの笑顔に嘘がない。
言葉に力と柔らかさがある。
もしかすると「戻ってきた」と感じたのは、都会のホテルとは違う、ホテルマン自身の心の解放が、ホテルを包み込んでいたせいだったのかもしれない。
仕事を超えた、人と人の触れ合いを、無意識に感じたのかもしれない。
上高地帝国ホテル(開業時の名称は上高地ホテル)は、昭和8年に設立された。
当時は、松本まで7時間、松本から車で4~5時間かけてたどり着いたそうである。
元々は、長野県から日本初の山岳リゾートホテルを作りたいという要請を帝国ホテルが請けたことがはじまりで、当初は長野県所有する「上高地ホテル」であったという。

堂々たる帝国ホテルのフランス料理を上高地で味わう

夕方からは、ロビーラウンジにある巨大マントルピースの周りでゆっくりとカクテルを楽しむ。
このマントルピースは、ホテルマンが交代で点火式を行う。
火をつけ、吹子で何回も火を強くしていく。
その様子を見ながらお酒をいただくのは、なんとも愉快である。やがて、17時30分になると、ベルがチリリンと鳴らされて、ホテルマンが声をあげる。「ダイニングルーム、アルペンローゼ、あずさ庵オープンいたします」。
この声を合図に、皆さんが夕飯へ出向く。
最初の夜は、「ダイニングルーム」で、堂々たるフランス料理を楽しんだ。

冷前菜の鯛とアスパラの甘みが共鳴する「真鯛とホワイトアスパラガスのタルタル仕立」や、素朴な蕎麦の実を豊かなクリームが可憐に演出する「信州産蕎麦の実のクリームスープ」。

続く「ヒラメと小海老のパイ包み焼き 茸添え シャンパーニュソース」は、なによりソースが素晴らしい。深いコクとキレのある酸味がヒラメをきらびやかな艶をつける。
ワインが恋しくなる、エレガントな味わいである。

さらにしっとりと加熱された「国産牛タンの赤ワインブレゼ」を噛み締めながら、赤ワインを飲む。時間がゆっくりと過ぎてゆく。

食後は、再びマントルピースの周りに座り、薪火を見ながらウィスキーを楽しんだ。
時と空間は緩み、僕らを暖かく抱きしめる。

温かみのある客室で旅の疲れを癒す

こぢんまりとまとまった部屋も温かみがあって、無機質感やよそよそしさがなく、1泊目から身体に馴染む。

翌朝は、早く起きて、ダイニングテーブルで朝食を取る。
窓から眺める緑を、たっぷりと愛でながら、朝陽を浴びたオムレツをいただくのは、この上のない贅沢である。

朝食後は、明神池まで約10キロのトレッキングを行った。普段都会では苦行だが、緑生茂る散策道は気持ちがいい。
この世のものと思えぬ、幽玄の世界が広がる明神池の「嘉門次小屋」で、岩魚そばや岩魚酒をいただいていい気分となる。

ホテルに帰ってからは、やはり巨大マントルピースの前でアペリティフを楽しむ。
静かに燃え盛る火を見つめながらの食前酒は、なにかこう自分の内面へ内面へと気持ちが入っていく時間があって、酔いが心地よい。

ふた晩目は、「あずさ庵」で鉄板焼きをいただく。
巧みなコテとフォークさばきにて、鯛が牛肉が焼かれていく。眺めているだけで、お酒が進んでしまう。最後は、ガーリックライスを楽しんだ。

ホテルに泊まるとはどういうことか?

翌朝は、和食の朝食をいただき、ホテルを後にした。
玄関には、知り合ったホテルマンすべてが見送りに出てくれる。
ホテルを旅立つ際に、寂しい気分になったのは初めてかもしれない。
一泊もすれば、ホテルの佐藤総支配人以下、フロントマン、コック、給仕人などすべて知り合いになってしまう。
見ず知らずの人がいないのである。
これもまた、このホテルで寛げる理由だろう。
いやそれだけではない。
よく「我が家のように寛いでください」というホテルからのメッセージがあるが、いくらリラックスできても、「我が家のように」とは、なかなかいかないものである。

しかし上高地帝国ホテルでは、その実感があった。
それは、従業員同士の仲が、いかにも良さそうと感じたことに起因しているのかもしれないと思った。
従業員の数は多いが、といっても小さいホテルなので、全員がどの仕事をどのようにしているか知り合っている。
みなさん互いの仕事に対する尊重と敬意がにじみ出て、それが仲の良さを産んでいる。

そのことがホテルで過ごすと、自然に伝わるのである。
互いの仕事を思いやる。
その温かい気持ちがホテル中に満ち満ちているからこそ、真の安寧がある。
このホテルが、いつまでも別格な存在である理由は、ここにあるのでなかろうか。
どんな立派な高級ホテルであっても、人間の心を動かすのは、やはり「人」なのである。

上高地帝国ホテル

上高地帝国ホテル

長野県/上高地

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更新日時2021.08.13 15:41

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