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【取材】京都人ならではの感性が詰まった全8室のスモールラグジュアリーなホテル
クローズアップ

【取材】京都人ならではの感性が詰まった全8室のスモールラグジュアリーなホテル 東山 四季花木(京都府/東山)

京都の名所がギュッと詰まった魅惑のエリア・東山に2019年にオープンしたのが、スモールラグジュアリーなホテル「東山 四季花木」です。建築家とインテリアデザイナーの夫婦がオーナーというこのお宿は、わずか全8室。お部屋ごとにテーマがあり、全部で5タイプの異なった設えを楽しむことができます。今回は、そんな京都の文化に精通する、京都人ならではの感性が詰まったホテルの魅力を、取材を通してご紹介します。

これぞ京都人による“おもてなし”の神髄を体感できるホテル

ホテルがあるのは、地下鉄東西線・東山駅から徒歩約1分の場所。駅からのアクセスも良好な上、一度は行っておきたい平安神宮も八坂神社も、円山公園も徒歩圏内という、京都観光にぴったりのエリアにあります。
端正な印象のホテルの入り口。取材時は、新年を迎える華やかなお飾りが印象的でした。

中に入ると、シックで落ちついたモダン空間。ラグジュアリーなホテルとはいえ、決して華美ではない、入り口からしてまさに、ホテルのコンセプトでもある“引き算の美学”が感じられます。

チェックインは人の出入りがある1階ではなく、ホテルの2階へ上がってから。エレベーターホールには、京都で約400年続く日本唯一の唐紙屋「唐長」の柄タイルがあしらわれていました。これは全国でも初の試みなのだそうで、紙ではないスタイルで「唐長」のデザインが見られる、またとない演出となっています。

また、冬の寒さが厳しいことでも知られる京都。この時期は、外出するゲストにホッカイロを手渡せるようにと、準備してありました。こうした、ちょっとした心遣いが嬉しいですね。

美しく居心地のいい2階フロント

2階に上がると、木の温かみを感じる伝統的な数寄屋建築の技法である「なぐり」の仕上げをした床に、アンティーク箪笥。ホテルに泊まりに来たというより、まるで誰かの風雅な別荘に遊びに来たかのような感覚になります。
ゲストはカウンター席に座り、ホテルのコンシェルジュと対面でゆっくりお話をしながらチェックイン。

京都ならではのおもてなしを提供する上で欠かせないのが、コミュニケーションです。チェックイン時にはゲストが京都でどんな風に過ごしたいと思っているのか、スタッフやコンシェルジュが丁寧にお話を伺うのだそう。すでに日本人も海外の方もリピーターが多いのだとか。

「東山 四季花木」には、あえて館内にレストランがありません。それは、祇園にもほど近く、名だたる名店が軒を連ねるエリアだからこそ「京都の美食を楽しんでもらいたい」という思いから。なので、ディナーはぜひ、食通でもあるオーナーの北山ますみ氏による案内や、京都に精通するコンシェルジュに、とっておきのお店を紹介してもらいましょう。
さらには、予約代行もしてくれるというのですから、本当に心強い。そのほか、ホテルオリジナルのエリアマップも用意してあり、ホテルを起点としたお散歩コースを教えてもらうこともできます。

ウェルカムティーとして提供されるのは、日本最古の茶園を持つという宇治の「丸利吉田銘茶園」のお茶。お茶菓子は、京都で3代続く老舗「永楽屋」の琥珀とお干菓子。琥珀は、カリッとした中にゼリーのような柔らかな食感がある、京都ではお馴染みの和菓子。ですが、県外からのお客様の中には初めて食べる人も多く、そのおいしさに感激されるのだとか。

チェックインカウンターの背後には、ラウンジスペースとなる「茶論(さろん)」。本棚には、オーナーがセレクトした京都の歴史や茶道に関する書籍、美術書などが並んでいます。好きな本を手に取って読んだり、パソコンを広げてお仕事をしたり、お茶を飲んだり。ゲストの寛ぎの場にぴったりです。

まずは、京都の絶景を臨むルーフトップテラスへ

チェックインのあとにまず案内されるのが、素晴らしい眺めが広がるルーフトップテラスです。

北には、平安神宮の朱色の鳥居、南には知恩院、京都タワーまで見えます。京都には高い建物が少ないので、この高さで京都市内の街並みが見られるのは、とても貴重。京都に長く住んでいる私も思わずテンションが上がります!
夏の送り火の日には、大文字山の「大の字」「左大文字」「船形」も見えるそう。とっても爽快な空間で、気持ちのいい夕暮れ時には、ここでのんびり過ごすゲストも多いとのこと。その気持ち、よく分かります。

最上階にある貸切の露天風呂

ホテルの最上階にあるのが、露天風呂の「東山」と「高雄」。一組ずつの予約制で、45分貸切ることができます。

広々とした脱衣所に、青空が見える清々しい露天風呂。夜だけではなく、朝風呂も人気。メディテーション音楽が流れゆったりとした時間が流れます。

凛とした日本の美意識が随所に感じられる客室

この日、案内してもらったのが、4階にあるエグゼグティブスイート「遠州」。

木がテーマとなっており、リビングスペースには飛騨高山の家具が配置され、木のぬくもりある質感を感じられる客室となっています。樹齢50年以上という盆栽がさりげなく置かれ、海外のゲストからも好評だそう。とはいえ、日本人でもこれほど立派な盆栽を間近に見る機会は少ないですよね。

「暮らすように滞在してもらいたい」と「東山 四季花木」では、各部屋にミニキッチンカウンターのほか、電子レンジも設置。カトラリーや食器も揃っており、簡単な調理なら可能です。受験生が親子で宿泊した際には、お弁当を作った方もいるのだとか。

客室で特にこだわったのが、シーリー社に特注した、ここだけのダブルマットレスベッド。オーナー自身が約1年かけて各地のホテルやショールームをまわり、実際にベッドを体験。ついに見つけたとっておきのマットレスなのだとか!

ベッドの脇にあるサイドテーブルや、足下にある箪笥などは、どれもアンティーク。聞くと、清朝時代や江戸時代のものだそうで、骨董品としても価値のありそうな家具ばかりでビックリします。

和室のある部屋では、特別に「じき宮ざわ」の季節限定の薬膳鍋をいただくプランもあるとか。

「遠州」には、リビング、ベッドルームのほか、和室もあります。障子を閉めると個室にもなるので、最大4名で利用する際にもプライバシーを守りつつ、気持ちよく過ごせそう。テーブルには、陶芸家・山本哲也氏オリジナルの清水焼の茶器、絹綿を使った座布団と、そこかしこから京の文化を感じられるアイテムがちりばめられていました。

木がテーマのお部屋なので、もちろんお風呂は香り高い檜風呂。最上階には露天風呂もありますが、お部屋の広々とした浴槽も快適そうで、こちらのお風呂にも入りたい。楽しみが盛りだくさんです。

バスルームに置いてあったシャンプーやリンスは、ラグジュアリーなスキンケアブランドで知られる「Natura Bissé(ナチュラビセ)」。ローズマリーとホワイトティーのやすらぐ香り。禅のような清らかな時間をお過ごしいただきたいという思いからだそう。

冷蔵庫に用意してあるドリンクは、オールインクルーシブ。水やお茶のほか、京都の地ビールに、オーストラリアのスパークリングワイン「イエローグレン」のピンクがありました。

続いて案内してもらったのが、同じく4階にある「忘筌」。

こちらは、茶の湯の精神「詫び寂びの哲学」の感じさせる世界観を目指して作られたそう。

コンパクトな中にもミニキッチン、浴室、和室とあって、ゲストの満足度も高いお部屋。

そして、どのお部屋にも共通しているのが「静寂のなかで特別な時間を楽しんでもらえるように」と、テレビを設置していないこと。その代わり、トップクラスの音質を誇る「Technics」や「BOSE」のスピーカーが設置してあり、Bluetoothで上質な音楽を流すことができます。北山氏オススメのジャズCDも置いてあるので、ぜひこの空間だけのゆるやかな時間を満喫してみては。

1階ラウンジで京野菜を盛り込んだ、胃腸にやさしい朝食を

朝食は1階のカフェラウンジにて。「夜には贅沢な料理を楽しむことも多いゲストのために、朝食は胃腸にやさしいものを」と北山氏。自身も飲む習慣があるという胃腸にやさしいスロージュースを提供するほか、地元京都の野菜をふんだんに用いたサラダやロースト野菜をメインに、「大原山田農園」の平飼いたまごの半熟たまご、京都で人気の自家焙煎珈琲のお店「walden woods kyoto」のコーヒー、美山ヨーグルトなど。京都らしさが存分に味わえるラインナップとなっています。

夕方17時からはシニアソムリエによるBAR「Bar 竹葉(ささ)」もあります。
宿泊の際はシニアソムリエが季節のウエルカムドリンクを一杯プレゼント。


京都の歴史や文化に精通したオーナーの感性が隅々まで行き渡ったホテル。伝えたいことはたくさんあるのですが、中でも印象的だったのが、ゲストとのさまざまなエピソードでした。
ミニキッチンでお弁当を作ったという、受験のために宿泊した親子。娘さんがテストを終えて帰ってきたら「失敗した」と号泣。なす術のないスタッフは、せめてものなぐさめにと、娘さんが大好きなケーキを振る舞ったそうです。ですが「後日『見事に大学に合格した!』という嬉しい報告をもらったんです」といったエピソードや、ルーフトップテラスでのプロポーズを成功させるために、男性ゲストと半年前から密にメールのやり取りをしたお話など。“ホテルのサービス”という枠に縛られない、真のおもてなしをしているからこそ、そうしたエピソードがたくさん飛び出してくるのだなぁと思ったのでした。

単に滞在するだけではない、京都での価値のある時間が過ごせるお宿。人と人とのぬくもりある滞在が叶う場所。これからの時代にこそ、求められているお宿のような気がします。

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東山 四季花木

京都府/東山

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