京都・祇園に佇む「帝国ホテル 京都」。劇場として約90年の歴史を紡いできた「弥栄会館」を改装し、新たに命を吹き込まれたホテルです。館内は、弥栄会館と帝国ホテル、それぞれの歴史や伝統が見事に融合した空間。この場所でしか味わえない、贅を尽くした滞在の様子をお届けします。
目 次
1.弥栄会館の歴史と帝国ホテルの伝統が融和した、高貴な空間

京都・祇園の中心地で、劇場として歴史を紡いできた「弥栄会館」を一部保存・改修するなどして誕生した「帝国ホテル 京都」。国の登録有形文化財にも指定されているこの建物は「劇場建築の名手」とも言われる木村得三郎氏(株式会社大林組)が手がけたもので、随所に和の意匠が取り入れられています。敷地に足を踏み入れ、建物に近づくにつれてその迫力に圧倒されました。正面と左側面の壁や、躯体の一部などは当時のまま。10万枚ほどあるという壁のタイルは改修の際に1枚ずつ剥がし、約1割は当時のものを使用しているそうです。


建物の中へ入ると、弥栄会館の名残を感じながらも飾られたアートなどからモダンな雰囲気も体感できる唯一無二の空間。ラウンジにつながる扉の先へは宿泊者だけが入ることができます。


チェックインの手続きは、ラウンジスペースにて。到着時には、京都の老舗店の和菓子と緑茶をいただきました。お菓子は季節によって変わるそうで、この日は「末富」のつつじを模したきんとんのお菓子。上品な味わいに心が休まりました。


このラウンジスペースには大きなガラス窓が配されていて、お庭などの眺めを楽しみながらくつろぐことができます。この日はあいにくの天気でしたが、雨の雫がしっとりとした雰囲気を演出していました。コンシェルジュデスクもこのスペース内にあり、ホテルのスタッフの方々と気軽に交流ができることもこのラウンジの魅力です。種類豊富なドリンクのほか、ホテルメイドの焼き菓子やチョコレートなどをいただきながら、祇園の賑わいから一歩離れたような、落ち着いた時間を過ごせますよ。
2.弥栄会館の歴史を紡ぐ、特別なスイートルーム


55の客室はすべて50平米以上の広々とした空間。新たに建てられた北棟と、弥栄会館の歴史を継ぐ本棟に分かれています。今回は、本棟のなかでも特に当時の面影を残す「本棟保存エリア」にある「弥栄スイート(ツイン)」に宿泊しました。室内はリビングとベッドルームに分かれていて、広さは約103平米。ホテル内で数室にしかないというバルコニーのほか、客室内の大きな窓からは祇園ならではの景色を眺められます。


客室には、ウェルカムドリンクのシャンパンと、お土産にもなるレターセットが用意されていました。歓迎されていると感じ、嬉しくなります。「帝国ホテル 京都」ならではの、粋なおもてなしですね。


弥栄会館の歴史をより一層感じられるこの客室。室内には弥栄会館が営業していた当時、食堂を彩っていたという千鳥のモチーフが飾られています。バルコニーに出れば、当時のテラコッタ模様やタイルなどを間近で見ることができますよ。


洗面台はダブルシンク。宿泊に必要なアメニティが揃います。シャンプーをはじめとしたバスアメニティは、イギリスの老舗ブランド「ペンハリガン」のもの。スキンケアアメニティは、MIKIMOTOグループが手がける「ムーンパール」のものが揃うなど、一流の品々が気分を高めてくれるでしょう。


ゆったりと浸かれるサイズの浴槽の脇には、シャワーブースが備わります。ホテルのロゴが入ったバスローブはふんわりとした肌触り。このバスローブに身を包んで、入浴後のリラックスタイムを楽しみました。


客室のミニバーには、アルコールを含むドリンクが充実。スナックや京都の老舗茶舗のお茶なども備わり、これらはすべて宿泊代金に含まれています。

客室内に用意されているホテルのロゴ入りのトートバッグは、スタッフの方から「ぜひお持ち帰りください」とお声がけいただきました。滞在中の移動の際に役立つだけでなく、旅に思い出になるギフトは嬉しいものですね。
3.上質なおこもりステイを彩る、多彩な館内施設


ホテルの地下には、長さ17.5メートルの本格的なプールが備わります。水着やスイムキャップ、ゴーグルの貸し出しがあるため手ぶらで訪れても問題ありません。


館内にはほかにもサウナ等の温浴施設や、最新の機器を導入したフィットネス施設もあり、宿泊者は無料で利用できますよ。


館内で貴重なアート作品を堪能できることも、このホテルの魅力のひとつです。なかでも写真家や現代美術作家として活躍する杉本博司氏の作品は随所に飾られています。杉本氏を象徴するものから貴重なものまで、フロアによって異なる作品を堪能でき、まるで美術館にいるようなひとときも過ごせますよ。
4.伝統と革新が融合した、フランス料理を満喫

ホテル内には2つのレストランがあり、夕食はこのうち「フランス料理 練」にて。ここでは、帝国ホテルの伝統と京都の風土が融合した品々をいただけます。店内は、10席のカウンターと個室のみ。満席になることも多いそうで、早めの予約がおすすめです。


今回いただいたのは、シェフのおまかせコースです。食事の前に見せていただける、全国から取り寄せた旬食材は迫力満点。カウンター席ではこれらの素材を使って調理する様子を間近で見られるため、シェフの所作や漂う香りも楽しめますよ。コースはあおさのりを使ったタルトをはじめとしたアミューズから始まり、前菜に使われるのは手長エビ。それぞれが、見た目もアートのような繊細な美しさでうっとりしました。


富山県産のホタルイカを使ったリゾットは、さまざまな食感でホタルイカの濃厚なうまみを楽しめました。続いて登場したのは、スペシャリテの徳島県産の「神山椎茸」。なかでも大きさなどの基準を満たした「極」という種類を使っているそうで、ステーキにも見えるほどのボリューム感に驚きました。添えられているテラコッタの模様は、ホテルのスタッフ全員がバッジなどで身に着けている「帝国ホテル 京都」の象徴です。


メインは魚料理と肉料理が一品ずつ。この日の魚料理はアマダイのポワレです。身がとてもやわらかく、添えられたアスパラガスやそら豆などから「春」を存分に味わえる一皿でした。肉料理は旨みが凝縮された、乳飲み子羊のロースト。コース料理の内容は、月に1度変わるそうです。


デザートは2品で、1品目はデコポンの一種である「味香でこ」を使ったもの。カットすると、中がデザートになっているというサプライズがありました。このほかにもコースの中では、心躍るような演出や仕掛けが散りばめられていますよ。料理はもちろんのこと、次は「何だろう」というドキドキもぜひ味わってみてください。


夕食後はぜひ、ホテルの最上階にある「オールドインペリアルバー」へ足を運んでみてはいかがでしょうか。店内は、大人の隠れ家のような空間。大きなガラス窓からは京都の街並みを望みます。

このバーのシグネチャーカクテルは「マウント 比叡」(写真左)。「帝国ホテル 東京」で、100年以上提供されているカクテル「マウント フジ」にちなんだ、伝統と革新が織り込まれた1杯です。抹茶の深緑色が比叡山の木々を、チェリーは月を表現。京都で作られたジンやみりんなども使われていて、まさにこのホテルを表現したカクテルです。このほかノンアルコールのモクテル(写真右)も充実していますよ。
5.祇園の中心地でしか味わえない、朝のひとときを満喫

祇園の街の中心に位置する「帝国ホテル 京都」。普段は観光客でにぎわう、観光地が徒歩圏内に多くあります。こうした場所を、早朝に散策できることもこのホテルの魅力のひとつ。観光客の姿が少なく、静かな通りや神社などを巡ることができる贅沢なひとときです。

散策のルートは、前日にコンシェルジュの方に相談して決めました。ホテルのオリジナルの地図を見ながら、適切なアドバイスをいただけます。私は「早朝の散策にぴったりなルート」をリクエスト。ホテルから徒歩圏内の「祇園閣」や柳の木が美しい「祇園白川」などを提案していただきました。

ホテルに戻ると朝食の時間。朝食は「オールデイダイニング 弥栄」でいただけるほか、「インルームダイニング」も可能です。テラス付の客室なら、京都の街並みを眺めながら朝食を味わうことができますよ。


朝食は、和食と洋食から選択が可能です。特に人気だという和食は、祇園の老舗割烹の「祇園 川上」が監修したもの。「カラスガレイの西京漬け」や「出汁巻き卵」をはじめ、重箱の中にはタケノコやエビの煮物など。季節を感じるホタルイカのジュレ掛けに、山椒が香る味噌汁と、丁寧に作られた品々を特別な空間でいただきました。
6.チェックアウトの後も、優雅な滞在の余韻を

チェックアウト時間の後も、ホテル内で楽しめるコンテンツが複数あります。「オールデイダイニング 弥栄」は、弥栄会館の趣を感じる空間の中で食事ができるレストラン。ここではランチも楽しめるんです。


今回は数あるメニューの中から「弥栄カレー」をチョイス。「帝国ホテル」で約100年続くメニューとして人気がある「カレー」は京都でしか味わえない一皿に。薪窯で仕上げた肉や、数種類の野菜が入っていて、一口ごとに違った味わいを堪能できますよ。一緒にいただいたオニオングラタンスープはとても濃厚でした。

ホテル内にある「THE SPA」(有料/要予約)は、宿泊者以外や、ホテルの滞在時間の前後でも利用が可能です。私はチェックアウトの後に体験をしたので、優雅な滞在の余韻まで満喫することができました。

今回体験したのは、シグネチャーメニューの「サイレント・セレニティ」。フットバスでリラックスした後は、聞香による心地よさとメディテーションボールと呼ばれる楽器の音色が、静寂な世界へと導いてくれます。特別な空間の中でのボディトリートメントは、心も体も日常から解放される時間。このホテルの滞在の締めに相応しい、まさに贅沢な体験でした。

今回は「帝国ホテル 京都」での、贅を尽くした滞在の様子をご紹介しました。「帝国ホテル」の伝統と「京都・祇園」の歴史が織りなす、くつろぎや感動を味わいに、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
帝国ホテル 京都
京都府/京都市












