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【滞在記】前橋のアートホテルで、大人の感性を磨く旅
クローズアップ

【滞在記】前橋のアートホテルで、大人の感性を磨く旅 SHIROIYA HOTEL(群馬県/前橋市)

前橋と言えば、かつて絹産業でイノベーションを興し、日本近代化の先駆けとなった街。「地元に新たな賑わいを取り戻したい」という願いから生まれた「白井屋ホテル」には、2020年の開業以来、常連となるゲストが後を絶ちません。今回は、前橋を訪れる人が増えるきっかけになったこのホテルの魅力を、滞在の模様を通してご紹介します。

「めぶく。」まちとして変貌を遂げる前橋に誕生したアートホテル

豊かな自然に恵まれ、萩原朔太郎をはじめとする多くの詩人を育んだ群馬県前橋市。この地には、江戸時代に創業した老舗旅館「白井屋」がありました。1970年代にホテル業へと転換するも、中心市街地の衰退と共に2008年に廃業を余儀なくされたそう。「白井屋ホテル」は、建築家の藤本壮介氏をはじめ、多くのクリエイター達の手によってその跡地にアートホテルとして再生しました。
国道50号に面した「白井屋ホテル」の「ヘリテージタワー」の外壁に施されたアートは、アメリカのコンセプチュアル・アーティスト、ローレンス・ウィナー氏が手掛けています。

「市民に開かれた場所でありたい」という願いから、ホテルは国道沿いと街中に面した馬場川通りの両方から出入りが自由。滞在中も、ベビーカーを押したお母さんやご年配の方が頻繁に通る様子に遭遇しました。館内は、元の建物を大胆にリノベーションした「ヘリテージタワー」と、緑の土手が目を惹く、旧河川の土手をイメージして新築された「グリーンタワー」に分かれていて、どちらにも客室があります。

宿の再生プロジェクトは2014年からはじまり、建築家・藤本壮介氏が何度も現地を訪れ、ホテルのプロジェクトチームと打ち合わせを重ねました。現場にはさまざまなアーティストやデザイナーも国内外から訪れたそうです。 “歴史を維持しながら、そこに新しい何かを創りあげる”というコンセプトに共感したレアンドロ・エルリッヒ氏もその一人。旧白井屋のロゴも大切に残してありました。

「the LOUNGE」にあるレアンドロ・エルリッヒ氏のインスタレーション「ライティング・パイプ」は、かつてあったホテルの配管をイメージ。

夜になると幻想的に浮かび上がる様子は、この土地で営まれてきた人々の暮らしや歴史と、新たに生まれ変わった「白井屋ホテル」を、シームレスにパイプでつないでいるかのようです。

エントランスには、ホテルのオリジナルグッズを販売。スタッフも着用しているツナギの色違いのユニフォームが可愛かったです。

客室内の“アート空間”で没入感に浸る、唯一無二の滞在

「白井屋ホテル」は名立たる4人のアーティストがそれぞれ手掛けた世界にただひとつの「コンセプトルーム」をはじめ、全客室にアーティストによる作品が飾られ、アートを独り占めする滞在が叶います。今回は、特別に「【コンセプトルーム】-ジャスパー・モリソン-」のお部屋を見せていただきました。

お部屋の広さは57平米。著名プロダクトデザイナーのジャスパー・モリソン氏が手掛けた世界にひとつだけの客室。

“装飾性を排除し、それでいて滞在する者の心を鎮め、豊かにしてくれる客室”、それは彼のデザイン哲学「スーパーノーマル」によるホテルの客室の再定義と言えるかもしれません。

折れ戸を開けると、窓ガラス越しにカフェラウンジ「the LOUNGE」の様子を眺めることができます。

ジャスパー・モリソン氏のデザインしたお部屋の中から、レアンドロ・エルリッヒ氏のインスタレーションを眺める……。ものすごく贅沢な体験をしている気分になります。

扉の中に隠された戸棚やアメニティ。モリソン氏自らがデザインしたグラスやカップ&ソーサーなども。

こちらの檜風呂も、ジャスパー・モリソン氏のデザイン。

続いて「【コンセプトルーム】-ミケーレ・デ・ルッキ-」のお部屋へ。イタリア建築&デザイン界の巨匠、ミケーレ・デ・ルッキ氏が手掛けた50平米の特別な空間。

「板葺き」という伝統的なテクニックにより、約3,000枚の木片でお部屋全体が幻想的な光と影に包まれます。

クローゼットも木片の扉で隠されていて、非日常の空間が広がっています。まるで温かい木の中に包まれているような、未体験の感覚を味わうことができました。

続いて、私が滞在した「<ヘリテージタワー>-デラックスツインルーム-」へ。泊まったお部屋は、塩田千春氏のドローイングのシルクスクリーン作品が展示され、壁の色にもこだわりを感じられる空間でした。

母と子、輪廻転生を思わせるような作品と、壁の色や白いカーテン、グリーンなどの有機的なイメージが合わさって、自分の母性と共鳴するような、どこか居心地の良いお部屋でした。

カーテンを開けると、窓越しにホテル内の様子が垣間見えます。

バスルームは、グレーに金色の蛇口がスタイリッシュ。

アメニティには「OSAJI」のスキンケアセットも置いてあります。

バスルームはレインシャワー付。

バスタブがとても長く、足を目いっぱい伸ばしても届かないほど。リラックスしたバスタイムを過ごせました!

客室内の備品にもこだわりが。有機ガラス管を振動させ、クリアな音質を楽しめるソニーの「グラスサウンドスピーカー」が置かれていて、滞在中は好きなアーティストの音楽を聴いて過ごしました。

群馬を代表する郷土かるた「上毛かるた」も全室にあります。群馬県の名所旧跡や輩出した人が札になっていて、眺めるだけでも面白かったです。

備え付けのコーヒーは群馬発の「ONCA COFFEE」、ティーバッグは「ロンネフェルト」と「一保堂」のもの。ザ・パティスリーのスイーツもカードと共に提供されました。

群馬の魅力をアーティスティックに描く「未知なるひとさら」を体験

「白井屋ホテル」のメインダイニング「the RESTAURANT」は、世界的食のガイドブック『ゴエミヨ』に4年連続掲載されています。

国内外の名店での研鑽を経た、地元群馬出身の片山ひろシェフが、群馬の大自然と生産者に育まれた食材を生かしたイノベーティブフレンチの“上州キュイジーヌ”を展開します。

アミューズから、旬の食材の饗宴に誘われます。

この日はとれたての筍をふんだんに使い、コンソメスープで浸したフランを満喫。ペアリングにはチャイのマリアージュで、大人の味を楽しみました。

なかでも、シェフがこだわる一皿がこちら。ぱっと見では想像がつきませんが、なんと群馬の郷土料理「おっきりこみ」。もともとは煮込み麺料理ですが、食材を活かしながら大胆にアレンジし、見栄えも味もセンス抜群。コースの中に、「OKIRIKOMI」として毎回アレンジを変えて出されているそうで、これを楽しみに訪れるリピーターも多いそう。

メインは赤城牛のサーロインと、春キャベツのミルフィーユ仕立て。間には塩漬けの桜の葉がアクセントになっていて、春らしい仕上がりです。

飲み物は、沖縄の島こしょう「ヒバーチ」を炙って香りをグラスに移し、ザクロのジュースと半発酵茶にスパイスを加えたもの。ほのかな薫香とスパイス香、半発酵茶がタンニン風の重みを演出し、まるでメルローのワインのような印象でした。

デザートも群馬県民が愛する名物料理「焼きまんじゅう」をイメージし、甘辛い味噌の味でほっこりと。地元の大自然に育まれた食材の数々を惜しげもなく使い、ローカルな味を独自の解釈で再構築する、まさに上州キュイジーヌと言える美食体験。地元への愛に溢れた料理の数々に、季節を変えて訪れてみたくなることでしょう。

朝食は「the LOUNGE」にて、洋食または和食のセットをいただきます。

群馬出身の片山シェフの幼少期の思い出をもとに、下仁田納豆をはじめ、食材の宝庫・群馬ならではの味覚をふんだんに盛り込んだ「和定食」。品数が沢山あり、素朴な味で朝から優しい気分になりました。

洋食は、片山シェフのフランス修行時代に思いを馳せたメニューです。ホテル敷地内にある「the BAKERY」の焼きたてブレッドや地元ヒュッテハヤシのベーコンとソーセージなどと共に、優雅なモーニングとなりました。

サウナやバーで、心と身体をリセットする

「白井屋ホテル」は、サウナに力を入れていることでも有名。階段の上の小さな白い家が、実は貸切のサウナルームになっています。

世にも珍しい「寝返りのうてる贅沢サウナ」!ととのえ親⽅こと松尾⼤⽒、サウナ師匠こと秋⼭⼤輔⽒が立ち上げた「TTNE」がプロデュースしました。
宿泊者限定の完全貸切で、のびのびと寝ながらサウナを楽しんでみては。

水風呂付のフィンランドサウナもあります。ロウリュを自分で行える、フィンランドスタイル。

屋外にはチェアが置いてあるので、外気浴も楽しめます。また、奥にある宮島達男氏によるインスタレーションも合わせて体験しましょう。

2013、2014年制作の「LIFE(Corps sans Organes)」シリーズからの2作品と、外側の窓に新たに制作された「Time Neon – 02」。デジタル・カウンターの数字は生命を表し、一人ひとりの呼吸の速さが違うように、ガジェットごとに数字が変わっていく速度も異なります。数字が1から9への移り変わりを永遠に繰り返し、死を表す0は表示されません。幻想的に浮かび上がる数字を見つめるうちに、瞑想するような特別な時間が過ごせます。

また、ハーバルミストサウナが楽しめるサウナも。生薬の蒸気で満たした薬草ミストサウナ。温浴効果や保湿効果に加え、疲労回復、デトックス効果、抗菌・抗ウィルス性の向上が期待できます。漢方薬だけではなくハーブを組み合わせることで、香りによるリラックス効果も高いサウナです。

波打つようなガラスがミステリアスな印象を与えるこちらの扉の中には、現代美術作家の杉本博司氏と建築家の榊田倫之氏が設立した「新素材研究所」設計の白井屋ザ・バー真茶亭」があります。

隠れ家バーのような空間。世界の名店で経験を重ねたバーテンダー・木村堅氏が手掛けるミクソロジーの世界、極上のお酒が楽しめます。週5日営業。要予約。

滞在中やお土産に買いたい「the PÂTISSERIE」&「the BAKERY」

チェックアウト後にお土産を買うなら「the PÂTISSERIE」はいかがでしょう?人気のクッキー缶やテレビで話題の群馬の食材を使った焼き菓子など、おすすめです。

フルーツとの相性を吟味して、生地の素材配合やクリームをそれぞれ変えたタルトや、群馬ならではの味覚を盛り込んだ焼き菓子を販売しています。パッケージもおしゃれで、お土産にぴったり。

隣にある「the BAKERY」では、店内の窯で毎日職人が心を込めて焼き上げたパンを販売。日がな一日、パンの美味しそうな良い香りが漂っていて、ついつい立ち寄りたくなります。

多彩なアートが集まり“贅沢な刺激”が味わえる「白井屋ホテル」。1泊2日では物足りず「もう少しここにいたい」と思ってしまうほどでした。自分の感性を刺激する、今までにない旅をしてみたい方におすすめのホテルです。

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SHIROIYA HOTEL

群馬県/前橋市

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