90度の源泉が湧き出る長野県・野沢温泉。地元の方々は温泉としてはもちろん、山野菜や卵を茹でる「麻釜」として大切に守り続けてきました。今なお人々が麻釜に集い、ゆるやかに繋がる光景は、どこか懐かしく優しい気持ちにしてくれます。
ハレの日の料理「取り回し鉢」で心まで満腹に

地域の宝「麻釜」の前に立つ温泉旅館「村のホテル 住吉屋」は150年もの間、人々の営みを見守り続けてきました。明治の情緒を残しつつ、清廉で品格ある佇まいからもその歴史をうかがい知ることができます。

地元の食材を活かした料理は、旅先での大いなる愉しみ。信州の四季折々の食材をふんだんに盛り込んだ料理が、ゲストを喜ばせています。

評判の料理をいただくのは、築100年をゆうに超える蔵を改築したお食事処「蔵座敷」。重厚さと温かみを感じられ特別感に浸れます。

特筆すべきは、2本立ての夕餉を堪能できること。1つは板前が心を砕いて創意工夫した「会席料理」。旬の食材が丁寧な仕事によって、見目麗しい一品料理へと仕立てられます。地元の逸品、旬の食材を用いた料理が食卓に彩りと華やぎを添えます。

もう1つのメインは、江戸時代から野沢に伝わる祝膳料理「取り回し鉢」。古伊万里の大鉢や大皿に盛られた、素朴で真心のこもった料理は見るだけでほっこりとしてきます。
いもなますや塩煮芋(小芋の丸煮)、ぶなはりたけの煮物、キクラゲ山家煮、野沢菜のつまみ菜など、好きなものをめいめいがお手塩(小皿)に取るのが流儀。順繰りに鉢を回していく行為も愉しく、いつも以上に会話も弾むことでしょう。“田舎のご馳走”に、心まで満腹になれそうですね。

清らかな水が磨いた信州の銘酒をお供に、しみじみと美味しさをかみしめたいものです。
街の音と2種の大正レトロな自家源泉に和む

客室は、それぞれ趣が異なる全14室。本館3階角部屋の和室「妙高」は、クラシカルな佇まいが人気です。畳敷きの開放感や長火鉢のほんのりとした暖かさが、旅の疲れを優しく癒すでしょう。窓からは勇壮な北信五岳や村の名所「麻釜」を望めるのも嬉しいポイント。街が奏でる柔らかな音は、非日常へのBGMとなるでしょう。

同じく本館3階の「湯の香」もまた、「麻釜」が間近に見られると評価の高いお部屋で、寒い時期になると炬燵が設えられます。清潔感に溢れた和室でぬくぬくと幸せな暖かさに包まれる…。何もしないひとときもまた、贅沢な休日の過ごし方と言えそうですね。

2017年7月に改装された和洋室「飯綱」も、快適に過ごせると評判です。和室の居間や広縁で寛ぎ、就寝時には快適なベッドルームでぐっすり。通りに面していないので、心静かな滞在を望む方にもお薦めです。
廊下には著名な作家の版画や工芸作家の作品が掲げられ、ちょっとした美術館のよう。お食事や湯浴みの途中、しばし足を止めてアートに触れるのもいいものです。

ロビーの囲炉裏の温もりに触れながら、読書に耽るのも粋な大人旅らしい過ごし方かもしれませんね。

宿には2か所、自然に湧き出す湯量豊富な源泉があり、掛け流しで湯浴みを堪能できます。浴室はモダンな大正ロマン調でレトロな雰囲気が、旅情を掻き立てます。高い位置に配された赤や青、黄色の色ガラスから光が差し込み、湯船に揺らめきながら映る様はとても幻想的です。光が織りなす刹那なアートと効能豊かな温泉で、身も心も癒されて。

温泉が好きな方には、外湯巡りも楽しいアトラクションになりそう。野沢温泉郷に点在する13の源泉掛け流し共同浴場で、地元の方と交流するのもまた旅の良い思い出になりそうです。
アクティブ派に嬉しいのが、宿から徒歩数分のところにある野沢温泉「遊ロード」(動く歩道)でゲレンデに楽々アクセスできること。スキーでかいた心地よい汗をすぐさま雪見露天風呂で流せるのですから、スペシャルな休日になること請け合いですね。

田舎ならではのゆったりと流れる時間が心地よい野沢温泉。昔から街の営みと人情を見守り続けてきた「村のホテル 住吉屋」には、深いおもてなし精神が息づいています。さりげない気遣いに包まれながら心がほろほろと解ける…そんな温もり溢れた旅を体験してみませんか。
村のホテル 住吉屋
長野県/野沢












