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ホテルバー探訪:世界に認められたバーテンダーが語る、創作の極意とは
インタビュー

ホテルバー探訪:世界に認められたバーテンダーが語る、創作の極意とは セルリアンタワー東急ホテル(東京都/渋谷駅徒歩5分)

渋谷の街の喧騒から一線を画すようにたたずむ「セルリアンタワー東急ホテル」。
40階に位置するタワーズバー「ベロビスト」が、2018年9月にリニューアルオープンしました。
今回は国内外問わず活躍されるチーフバーテンダー吉田茂樹氏に、オリジナルカクテルのインスピレーションや、新しくなった「ベロビスト」での過ごし方についてお話を伺いました。

オリジナルカクテル創作の源

―都内ホテルに入社以降、現在までバーを中心に活躍されております吉田様。バーテンダーを志したきっかけを教えてください。

きっかけは、高校1年生の時に行った海外旅行です。そこには海岸沿いにオープンスペースのバーがあり、様々な形のカラフルなボトルが並んでいて、それに色々な国のものがあるというのが、なんだか漠然と面白いなと感じました。
全て試し飲みができるのは大富豪か、バーテンダーだと考えたんです。

その当時16歳だったのですが、お土産屋さんで大人になったら嗜もうと、グレンフィディックという、瓶が三角形の面白い形をしたシングルモルトのウィスキーと、葉巻を購入しました。
今考えてみると、その当時からバーテンダーという職に興味があったのだと思います。

世界大会で作られたオリジナルカクテル「Fantasia(ファンタシア)」や、カーネギーホールにて提供された「緑耀樹(りょくようじゅ)」など、様々なシーンで吉田様のオリジナルカクテルが作られています。
そのインスピレーションはどのように湧き出てくるのでしょうか。

テーマが設定されている時はそれを追いかけて作っていきますが、何もない時は味から考えます。
普段街を歩いている時にこれとこれを組み合わせたら美味しそうだなとか、新しい味ができそうだな、とか……そういったところから作っていきます。

日常生活の中でアイディアを集めていって、それをカクテルにされているということですね。

WORLD CLASS 2012 JAPAN FINAL

そうですね。テーマがある時、例えば世界大会の時にブラジルで作った「Fantasia(ファンタシア)」は、「ブラジル」から連想される、“情熱”というキーワードから、赤色やスパイスを使おう、焼パイナップルも有名だ、など膨らませていきました。
当時、フランス料理のレストランに所属しており、フランベサービスから“熱による抽出”に気付き、カクテルに用いることもしました。ベースのお酒はテキーラと決めていたのですが、テキーラの原料は、“アガベ”という多肉植物の葉を削いで丸くした株を使います。見た目はパイナップルのような形をしています。
株のことを“ピニャ”といい、たどっていくとパイナップルも現地の言葉で“ピニャ”といいます。もともとは名前の由来が一緒なんですね。また、現地ブラジルの“シェラスコ”で食べた焼パイナップルが重なったこともあり、パイナップルを使用しました。

物の由来や、歴史、後は医療関係の本などを読んで、こうやって飲んでいただきたいとか、提供する際の伝え方も考えています。

由来や歴史的な背景、医療関係の本まで参考にするのは、吉田様ならではの感性ですね。

例えば以前作ったカクテルでは、チョコレート系のスパイシーなカクテルの上に、ベリー系の泡を乗せました。
その際はお客様に、「鼻腔からベリー系の香りがあって、口の方からはスパイシーなチョコレート系のカクテルが入ってくるので、舌と鼻の両方で味わって脳で合体させてください。」とお伝えしていました。
味を立体的にとらえてお伝えすることを医療系の本から取得し、伝え方の参考にしています。

吉田様の代表的なシグネチャーカクテルの一つ、“緑耀樹”はどのようなインスピレーションで作られたのですか?

緑耀樹は、森林の中でひときわ輝く1本の樹をイメージして作りました。
「それが私です。」と自分の名前にかけて説明をする、私の名刺代わりのカクテルです。

最初はジンベースで作っていたのですが、その後海外で出すことを想定して日本酒に変更しました。
なぜ日本酒かというと、8年程前に海外のバーを訪れた際、日本のお酒が海外に浸透していないことを感じたからです。

例えばジンだったらマティーニやギムレットができたり、ラムだったらモヒートができたり、各お酒には代表するカクテルがありますが、日本酒や焼酎のカクテルで世界的に知られているものは少ないです。
いつか和酒のブームが来た時に備えて、和酒を使ったカクテルを当時から意識して考案してきました。

日本のお酒を使ったカクテルは日本人にはもちろん、海外の方にも好まれそうですね。

2018年 ニューヨーク カーネギーホール

ニューヨークのカーネギーホールで提供させていただいた時はご出席の130名はほぼ全員分に、追加で20杯出ていましたね。
やはり「日本酒のカクテル」が珍しかったのだと思います。

お客様にオーダーされて新しいカクテルを作られることも多いかと思いますが、年間どのくらいのカクテルを考案されているのでしょうか。

全く新しいものでいうと、20種以上は作っていると思います。
他にも自分が作っていたカクテルを進化させ、新たなカクテルを作ったりもしています。
最近では、ビールカクテルなど海外のメーカーから要望をいただくこともあり、今まで試みていなかったので、新しい挑戦にもなりました。

渋谷の街を一望する、新しくなったタワーズバー

2018年9月、渋谷の街を一望するタワーズバー「ベロビスト」がリニューアルオープンしました。新しくなったバーのコンセプトなどをお聞かせいただけますか。

お酒とお食事と音楽を柱に、ここならではのことをやっていこうと、音楽イベントや
海外のトップバーテンダーを招いたイベント、他にもシャンパンと料理を楽しむ会をブランドアンバサダーとともに行っています。この3つのイベントで年25回程開催しています。

新しくなった店内には様々なゾーンがあるかと思いますが、吉田様がおすすめする「ベロビスト」での過ごし方を教えてください。

ゾーン分けされていることで、来店されたシチュエーションによって色々な場所にご案内できるかと思います。
奥のサロンエリアは東京を一望する景色がダイナミックですし、VIP用のソファーエリアや、グループのエリアもございます。
カウンターエリアは食前の待ち合わせはもちろん2軒目、3軒目など、気軽に楽しんでいただける場所です。
プライベートルームエリアは完全個室にできる場所なので、宴会のアフターなどにも利用できますし、ペアシートは記念日などに最適ですね。

お客様からも次に来るシチュエーションを踏まえて、相談されることが多いです。

リニューアル後、特に人気のお席はありますか?

個人的にはやはりカウンターエリアがおすすめです。
今回の改装で、お酒と夜景がよりうまく背景にはめ込まれたデザインとなり、並んでいるボトルを見ると飲んでみたくなるようになったのではないでしょうか。

バーを知り尽くした吉田様ならではのお酒の楽しみ方

吉田様がプライベートでバーに行かれた際は、どんな楽しみ方をされますか。

ウィスキーやシェリー酒など、作り手のこだわりが詰まったお酒が揃っているお店や、専門店に行くのが好きです。
独自の飲み方なのですが、「カイピロスカ」というカクテルを飲み干したグラスに、アブサンを継ぎ足してほしいとリクエストして飲むこともあります。

後はバーテンダー自身に興味があって行くこともあります。

実際にプライベートで行かれて、気にされるところなどはありますか。

置いてあるボトルのラインナップは気になります。
自分の知らないお酒があったりすると、おっ!となりますね。今は昔よりも流通がしっかりしているので、何でも揃っている。そんな中でもこだわっているお店は、直接海外から持ってきたりするんです。そういうお酒が置いてあると思わず試してみたくなります。

吉田様がプライベートで好まれているお酒を教えてください。

毎晩ジンを飲みますが、ウィスキーも好きです。
ウィスキーはこだわりが強く、味のレパートリーが広いのが魅力ですね。じっくりと飲むとなるとやはりウィスキーは話が尽きません。

実はウィスキーは食べ物の合わせ方にしても意外な組み合わせが多いんです。
例えば、生ガキに海の香りを印象付けるアイラモルトウィスキーをかけて食べることは知られていますが、自身で最初に試してみた時はその組み合わせを疑いながら流し込みました。

そうそう、サントリー山崎蒸溜所に行った際は最中(もなか)が出てきたんですよ。蒸溜所を見学するのは昼間なので「これを食べたら夜にもたれそうだな」と思って恐る恐る山崎ウィスキーと食べてみたら、すごく合いました。

そういった意外な組み合わせもどんどん紹介していきたいですね。

最後に、一休.comのお客様へメッセージをお願いいたします。

ホテルのバーとなると、入りづらいという印象がまだあるかと思うのですが、新しくなった「ベロビスト」はウッド調ですごく温かみのある場所ですし、利用できる時間帯も幅広いです。
食事前の待ち合わせ場所や、2軒目3軒目など、利用シーンも多様です。
一休.comレストランでは早い時間帯のプランも設定しておりますので、そういったところからお酒とお食事を楽しむ体験を始められてはいかがでしょうか。まずはお店の中に入って来ていただきたいです。

吉田氏の言葉の一つひとつから、お酒に対しての探求心を垣間見ることができました。
最後にシグネチャーカクテル“緑耀樹”を作ってもらいました。味はもちろんですが、所作のひとつひとつに無駄がなく、品があり、まるで一つのステージを見ているかの様でした。
そんなエンターテイメントのような時間も、新しくなった「ベロビスト」の楽しみ方なのかもしれません。

***********************************
吉田茂樹
1972年、東京都大田区生まれ。
都内のホテルに入社後、バーを中心に、ホテル、街のバー、レストランでキャリアを積み、セルリアンタワー東急ホテルのオープンニングスタッフとして入社。「ベロビスト」の立ち上げを経験する。その後、ラウンジやメインダイニング等、ホテル内の様々なサービスを経験した後「ベロビスト」に異動。現在に至る。

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セルリアンタワー東急ホテル

東京都/渋谷駅徒歩5分

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