わずか2部屋の和のオーベルジュとして時代の先を歩んできた「花季(はなごよみ)」。来年で開業から30年。女性シェフによる型にはまらないお料理と伊東のふくよかな温泉に惹かれ、今なお、多くの人が訪れます。
目 次
来年で開業30周年

旅の夜。目移りするほどのご馳走が並ぶ光景は、旅人を一瞬にして恍惚の時間へと招き入れます。そこが食に特化したオーベルジュと分かっていれば、なおさら!
そんな中にもし「胡麻どうふ」があったら、意外に思う人もいるでしょうか。けれど、「オーベルジュ 花季」のゲストなら「そうそう、これこれ!」と相好をくずすに違いありません。

2019年8月に開業30年を迎える「オーベルジュ 花季」。伊豆・伊東温泉の市街地からはやや外れた川沿いにあり、利用は1日2組だけ。本当に小さな小さな和のオーベルジュです。

先述の胡麻どうふは、実は開業当時から根強い人気を誇るこの宿の看板料理。地味なれど、滋味。食べ進めるほどに心が温かくなって、「花季」のもてなしの心を感じます。
1日2室限定

先ほどもご紹介した通り、部屋は2階と3階に和室がひとつずつ。食事処も、琉球畳を敷き詰めた和室と、明治時代の水屋箪笥やアンティークで飾った洋室の2部屋あり、部屋ごとに利用するのでプライベート感がたっぷり感じられるでしょう。

2室とも、部屋には伊東の天然温泉で満たした内風呂が備えられています。泉質はアルカリ性単純温泉。さらりとしたお湯で肌への刺激も少なく、入る人を選びません。浴槽は樹齢百年を超える古代檜。春には松川沿いの桜も窓に写って、良〜い雰囲気。湯に浸かったまま桜を愛でるのは、最高の贅沢となりますよ。
女性シェフのセンスを生かした新感覚の懐石料理

さて、おまちかねの夕食。オーベルジュといえば、一般的には洋食をメインとする宿がほとんどですが、ここは和食。しかし単なる和食ではなく、女性シェフならではの感性をちりばめた、型にはまらない創作懐石です。

そのテーマは「純真な遊び心」。1品1品、それぞれ料理の持ち味を引き出す器選び、盛り付け方などが工夫されており、目でも楽しめるものばかり。たとえば、ガラスのタンブラーにカラフルに盛り付けられた前菜や、主役級(!?)といってもいいほど、たっぷり盛り合わせられたデザートは、女性なら歓声が上がること請け合い。

とはいえ、決して奇をてらったお料理ではありません。先述の名物の胡麻どうふのように、ベースとなっているのは代々受け継がれてきたおばあちゃんの味。丁寧に出汁をとり、下ごしらえにも手間を惜しまない、優しく滋味深いお料理です。
ディナーのような充実の朝食

リフレッシュして目覚めた朝。実は、朝もお楽しみが続きます。それは朝食! テーブルに載りきらないほどの品が並んでボリュームたっぷり。お刺身、焼き魚、新鮮な野菜、出汁のきいた味噌汁に、炊きたてのご飯。昨夜もたっぷりいただいたはずなのに、するりとお腹に収まってしまうから、不思議。この朝食、宿泊者からも「まるでディナーのよう」と好評とか。夕食には力が入っていても、朝食はあっさり…、という宿もある中、ここの朝食は本当に楽しませてもらえます。

美味しい食事があって、温かくもてなす心があって。開業から30年経てもなお多くの人が訪れるのは、やはりここに理由があるようです。
オーベルジュ 花季
静岡県/伊東












