瀬戸内海沿岸に位置し、穏やかな海と清らかな川の水に恵まれた岡山県倉敷市。江戸時代に徳川幕府の直轄地「天領」として栄え、江戸や上方と水運で直接結ばれた港町でした。
その中心部に位置し、昔と変わらない風情を感じられる「美観地区」は、白壁土蔵のなまこ壁、格子窓の町家など、江戸~明治時代に造られた伝統的な建物が倉敷川沿いに並びます。倉敷観光の定番スポットでもある「美観地区」で、歴史情緒を感じられる古民家の宿と、編集部おすすめのカフェをご紹介いたします。
目 次
文豪や芸術家も愛した宿で歴史に思いを馳せる
旅館くらしき(岡山県/倉敷美観地区)

美観地区の中心部、倉敷川沿いに佇む全8室の老舗料理旅館「旅館くらしき」。古くは江戸末期、築200年以上の旧家砂糖問屋の母屋と米蔵3棟を改装しており、当時の本瓦葺、白壁、格子窓、土間、雨戸、柱や梁をそのまま現在の建物に活かしています。宿の中に一歩足を踏み入れれば、外の喧騒が嘘のように静かで穏やかな時間の流れを感じられることでしょう。

築260年の米蔵の2階部分を改装した「巽の間」。司馬遼太郎や棟方志功など多くの文豪、芸術家が愛したお部屋としても知られています。屋根裏部屋のような趣の和室と、フローリングのベッドルームを完備。インテリアには当時の家財や工芸品を使用し、上品でクラシカルな雰囲気が現在も多くの人々を魅了しています。ベッドルームから眺める鶴形山は館内のベストビュー。伝統的な美しい街並みとともに、ノスタルジックな気分を味わって。
江戸と現代の粋を感じる純和風旅館
倉敷美観地区 吉井旅館(岡山県/倉敷美観地区)

江戸時代後期に民家として建築された建物を、その外観を保存しつつ旅館として明治時代に創業した「倉敷美観地区 吉井旅館」。以来100年以上の歴史を刻み続け、幕末には京都に向かう途中の坂本龍馬も訪れた老舗割烹旅館です。客室は全6室。意匠を凝らした天井や薄紅色の切り返しのある障子など、名工の技術の粋が散りばめられた純和風の設えです。

なまこ模様の壁が印象的な「蔦」のお部屋は、蔵を活かした客室。壁以外にも蔵として利用されていた頃の姿を残し、現代の調度品と江戸の文化が融合する空間は、どこか懐かしさを感じられる落ち着いた雰囲気が漂います。また館内には、貸切利用ができるお風呂を2つ完備。温泉ではありませんが、檜の湯船と天然石の湯船でゆっくりと倉敷時間に癒されましょう。
和の神髄を感じる美観地区最古の建造物
料理旅館 鶴形(岡山県/倉敷美観地区)

1744年、徳川家八代将軍吉宗の時代に建てられた商家を利用し、現在まで260年以上の歴史を誇る「料理旅館 鶴形」。美観地区の中心部に位置し、重要文化財の指定を受けている旧大原家住宅・大橋家住宅と並ぶ、倉敷で最も古い建物の一つです。江戸時代中期の町家に見られた厨子二階造りの風格ある構えを今に留め、倉敷の雰囲気に心ゆくまで浸れる純和風旅館。母屋2階の大広間に通る大梁は江戸時代より受け継がれ、商家の繁栄を偲ばせる重厚感を放っています。

随所に日本の伝統建築を活かした静謐な客室。全11室の中で最も広い「阿知の間」は、三方を囲む美しい庭が自慢です。東と南側に配した縁側からは樹齢400余年の老松がある広い庭を、北側に配した濡れ縁からは灯篭のある中庭を臨みます。和の神髄と歴史情緒あふれる空間で四季折々に変化する景観を眺めれば、江戸時代にタイムスリップした気分になれるかも。
古民家再生空間で倉敷の住人になってみる
暮らしの宿 てまり「おいとま」(岡山県/倉敷美観地区)

美観地区から徒歩3分。倉敷の暮らしや伝統文化体験ができる1日1組限定の一棟貸しの宿、「暮らしの宿 てまり『おいとま』」。昭和初期に建てられた民家をリノベーションし、2015年にオープンしました。木造2階建ての建物は柱や天井に古材を使用し、新しいものと古き良きものを組み合わせた館内は、古民家の魅力はそのままに現代人が快適に滞在できるように工夫されています。

昔ながらの土間を活かした玄関を上がると、お部屋は1階に畳敷きの和室、2階にはフローリングの床にベッドを配した洋室の全4部屋。布団で寝るのが苦手な方には嬉しいですね。
和室に置かれている機織り器を使った機織り体験や、いぐさ手織りコースタつくり、玉島だるま絵付けなど、伝統文化を体験できるのもこの宿ならでは。(要予約・有料)食事は岡山県内の食材を利用したケータリングか、美観地区内のお食事処へ。まるで倉敷に暮らすような滞在を楽しんで。
【編集部おすすめ!倉敷美観地区のカフェ情報】

カフェ有鄰庵(ゆうりんあん)( https://yuurin-an.jp/cafe/ )
築100年以上の古民家で、日中はカフェ、夜はゲストハウスとして旅人の皆さんをお迎えしています。定番メニューの『たまごかけごはん』はお米、オリジナルのお醤油、卵と、すべて岡山県産にこだわった一品。岡山のガラス作家さん手作りの「桃尻グラス」に入った桃ジュース、召し上がった方から「本当に幸せが訪れた!」というご報告を全国からいただく『しあわせプリン』も人気です。

くらしき桃子 倉敷本店( http://kurashikimomoko.jp/ )
1Fではフルーツを使用したお土産品を販売しており、フレッシュジュースやジェラートのテイクアウトが可能。2Fは、旬のフルーツを使った人気のフルーツパフェやスイーツを、西洋アンティークのエミール・ガレの作品を眺めながら食べられるカフェとなっています。町家や歴史的建造物をリノベートしたこだわりの空間で、優雅なひと時をお過ごしいただけます。

三宅商店( http://www.miyakeshouten.com/ )
築150年の町家でほっこりできる時間を。
旬を感じる季節の野菜、果物等を使ったカレーや、パフェ、ケーキなどお楽しみください。

倉敷珈琲館( https://www.kurashiki-coffeekan.com/ )
1971年倉敷珈琲館は、自家焙煎珈琲専門店として白壁の町・倉敷美観地区の一角に誕生しました。創業より培った焙煎技術とネルドリップをかたくなに守り、創業より愛される「ウインナーコーヒー」など、珈琲専門店ならではの味とこだわりをご堪能頂けます。名物「琥珀の女王」(10月~6月)は、濃厚な水出し珈琲にリキュールと蜂蜜を加え、たっぷりとクリームを落とした倉敷珈琲館のオリジナル。

当時の面影を残しながらも、修復・再生により「和と洋」「レトロとモダン」が絶妙に融合し、多くの人々を魅了し続けている「美観地区」。そこで営む宿には、現代の暮らしの中に、古いものを大切にする精神が息づいています。古民家の宿やカフェを通じて倉敷の歴史と文化に触れる旅に、出掛けてみませんか?












