岐阜県・飛騨に位置する「料理旅館 蕪水亭」は、明治3年創業の老舗旅館です。全3室のみの趣ある客室、飛騨自生の薬草を取り入れた食事や、あたたかなおもてなしで多くのゲストを魅了しています。今回は、一休コンシェルジュ編集部が「料理旅館 蕪水亭」に滞在。飛騨の恵みを享受し、心身ともに癒されるひとときをお届けします。
目 次
飛騨に佇む、1日3組限定の老舗料理旅館


山々に囲まれ、約9割以上を森林が占める岐阜県・飛騨エリア。自然豊かなこの地で、荒城川と宮川の合流地点に位置するのが「料理旅館 蕪水亭」です。明治3年の創業以降“飛騨の迎賓館”として、池波正太郎をはじめとした文化人のほか、皇室方にも愛されてきました。
主人は薬草コンシェルジュ!飛騨の恵みである薬草を堪能

飛騨にある森林の約7割は広葉樹であり、豊かな土壌を持つこの地では約245種類の薬草が自生しています。 “飛騨で育つ野草を用いた料理を通じて、元気になっていただきたい”。そんな想いを込めて、現在「料理旅館 蕪水亭」では、薬草コンシェルジュであるご主人による薬草料理の提供や、薬草を用いたワークショップを開催し、話題を呼んでいます。今回、はじめて薬草料理をいただくため、期待を胸に宿へと向かいました。


到着すると風情ある飛騨ならではの古民家がお目見え。これまで2度の災害を経て、現在の母屋は築180年ほどの飛騨の古民家を移築したものだそう。中に入ると、立派な木材や重厚な梁に、感嘆の声を上げてしまうほどです。

まずは、待合いにてチェックイン。木の温もりを感じる空間とあたたかなお迎えに、心が安らぎます。

こちらでは、飛騨の薬草を使用したウェルカムドリンクをいただきました。「メナモミラテ」は優しい甘さ「めぐみ茶」はすっきりした味わいが特徴。どちらも癖が無く、大変飲みやすかったです。苦いやまずいなどといった薬草へのイメージが一変しました。


母屋には、ブックライブラリーや250冊ほどの絵本が置かれるコーナーも。「絵本の楽しさを伝えたい」「絵本を通して夢や希望を膨らませ、心豊かな時を過ごしてもらいたい」といった女将の思いから設けられているそう。気になる絵本を手に取り、童心に帰って楽しむのもいいですね。

いよいよ客室へと向かいます。客室への廊下は宿のご主人が収集した骨董品などに彩られていて、見応えたっぷり。客室は、2階建てのメゾネットタイプが2室、平屋造りの離れが1室の全3室が備わります。人目を気にせず、ゆっくり過ごせるのも魅力のひとつです。
築110余年の板蔵を移築したメゾネットタイプの客室

今回滞在した「<メゾネットタイプ> 羽衣 -はごろも-」は、築110余年の板蔵を移築し、現代風にアレンジを加えた客室です。板蔵とは、自給自足が生活の基本だった時代に、穀物倉庫として使用されていた建物のこと。


1階は、自然を見渡す広々とした和室のお部屋。畳の感触や、川のせせらぎ、鳥の鳴き声など、五感で癒される空間です。穏やかな外の景色は、いつまでも眺めていたくなるほど。

続いて、箪笥の中に用意されているアメニティをチェック。

ドリンクには、飛騨の薬草を使用した薬草茶と、コーヒーマイスターの資格を持つ主人が自家焙煎したコーヒーなどがありました。

着心地のよい作務衣と、宿名にちなんだ“蕪”の模様があしらわれた浴衣、羽織などが用意されていました。

アメニティセットには、ハブラシやボディタオルなどが環境に配慮されたエコのセットで揃います。※一例となり、内容はプランによって異なります。

洗面台スペースには、スキンケアセットやドライヤーなど、必要なものが一式揃っており安心。

程よい広さのバスルーム。温泉ではありませんが、宿では手作りの薬草入浴剤づくり体験なども開催されているため、薬草湯として楽しむことができます。

シャンプーやコンディショナーなどは、地元の森林に生育している樹木の枝葉や植物を原材料として作られた「KOTOHA with Yuica」で統一。深呼吸をしながら使用することで、ナチュラルな香りに癒されるバスタイムとなりました。

スキンケアも同じブランドで用意。いずれも飛騨の薬草を用いた製品で、宿のこだわりを感じますね。

階段を上がった2階は、寝室となっていました。


寝室は、シングルベッドが2台設えられている造り。窓の近くには、テーブルとイスもあり、穏やかな景色を眺めながらリラックスタイムを過ごすことができました。
昭和初期に造られた、風情ある平屋づくりの客室

続いて「<離れ特別室> 一水 -いっすい-」を見学させていただきました。こちらは昭和初期に建てられた、2代目亭主の設計による建物で、実際に作家の池波正太郎や皇室の方も利用された客室です。

8帖の和室に設えられた二面窓の先には、豊かな飛騨の景色が広がります。前室と2間続きにもなっており、開放感も抜群です。

奥へ進むと寝室が。落ち着いた和の雰囲気で、心穏やかに過ごせそうですね。


浴室は広々とした空間で、シャワーも2つ用意されていました。アメニティ類は先述と同様のものが揃っています。


ほかにも館内には、チェックイン時から翌朝9時まで利用できる貸切の家族風呂が備わります。客室と気分を変えて、入浴を楽しめるのも嬉しいですね。
薬草の魅力を発見する数々のワークショップ

客室をひと通りチェックした後は「ティーセレモニー」と「薬草入浴剤作り」の体験をさせていただきました。「ティーセレモニー」は、12種類の薬草から4種類を選び、自分だけのオリジナルブレンドの薬草茶を作れるワークショップです。

自然豊かな飛騨の野山で育つ薬草は、ミネラルを豊富に含んでいるそうで、ミネラルが不足しがちな現代人にはぴったり。

実際に香りを嗅いで好みの4種類を選択しました。実際にオリジナルブレンドの薬草茶をいただくと、すぐに体がぽかぽかと温まるのを実感! 苦味や癖も無く、あっという間に全て飲み切ってしまいました。


続いてヨモギやクロモジ、ドクダミなどの薬草で作る「薬草入浴剤作り」体験へ。約250種類の中から入浴に適した薬草を厳選されているとのことです。早速、その日の夜に薬草湯として入浴し、薬草の香りに癒される時間となりました。
ご主人考案の薬草料理を堪能する夕食・朝食

料理旅館の醍醐味である、お待ちかねの夕食は「蔵」のカウンター席にて。今回はご主人が目の前で調理し、もてなしてくださる1日1組限定の「主の極み薬草会席~主が自ら対面カウンターで旬の薬草をしつらえたその日だけの特別なお料理」をいただきました。

飲み物には、宿ならではの「薬酒」をチョイス。この日は、クロモジ・サンシュウ・ドクダミの3種類を飲み比べました。どちらも飲みやすく、異なる味わいを堪能!薬草の特徴を伺いながら、会話も弾みます。

料理にもふんだんに薬草を取り入れているのが特徴。ご主人からそれぞれの説明を聞きながらいただきます。岐阜県産の宿儺かぼちゃを使用したすり流し(左上)には、葛の花が添えられていて、目でも楽しい一品。続いて夏野菜と薬草のジュレ(右上)や、薬草出汁の吸物(左下)、薬草のエスプーマでいただくお造り(右下)は、裏で味を支えるものとして薬草が使用されていました。薬草がこんなにも様々なかたちで登場するとは、何とも驚き!

この日のメイン料理は飛騨牛の山帰来焼き。程よく脂身のある飛騨牛と、少しだけ苦味のある山帰来を使用したソースが絶妙にマッチ。添えられる飛騨産のトウモロコシも甘くて美味しかったです。

椀物には、メナモミをもみこんだ揚げ蕎麦をいただきました。この日は、その他のメニューも含めて全8品をいただきましたが、薬草がこんなにも様々な料理へと姿を変えて、美味しくいただけることにとても驚きました。さらに、普段不足しがちなミネラルをたっぷりと補給できるのは、なんとも嬉しいですね。※献立は、時期や仕入れの状況に合わせて変更になります。


翌日の朝食には、飛騨の名物・朴葉味噌、薬草出汁を使った煮物やみそ汁、地元農家の米を使用したご飯などが並びます。なんと、朴葉味噌は「料理旅館 蕪水亭」が発祥の地だそう。作家・池波正太郎も宿の朴葉味噌を「すっかり気に入った」と記しているとか。実際に、味噌の甘みやネギの旨味はごはんとの相性も抜群!焼いた香ばしい香りに食欲も刺激され、朝からたっぷりご飯を堪能。すぐそばに流れる川のせせらぎをBGMに、大満足の朝食となりました。

ミネラル豊富な薬草をふんだんに使用した食事やおもてなしを堪能できることが魅力の「料理旅館 蕪水亭」。自然豊かな飛騨の恵みをいただき、自分自身を整える体験をしに、皆さんもぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。
料理旅館 蕪水亭
岐阜県/飛騨古川












