人間国宝の第1号にして、文化勲章受賞者でもある陶芸家・富本憲吉。その彼の生家を改修したのが「1日2組の古民家ホテル うぶすなの郷TOMIMOTO」。古民家の風情に加え、法隆寺近くというロケーションと料理の美味しさで、口コミでも高い評価を得ています。
目 次
富本憲吉記念館を改修して2017年に開業

富本憲吉は1886年(明治19年)、奈良県安堵町の大地主の家に生まれた陶芸家。東京美術学校卒業後、イギリスに留学。日本の民藝運動を推進したイギリス人陶芸家、バーナード・リーチなどとの交流から作陶の道へ入り、色絵磁器の技術を確立。晩年となる1955年(昭和30年)には、濱田庄司などと共に陶芸界では初の人間国宝となりました。

宿としての開業は2017年3月。詳しく言えば、まず彼の生家が「富本憲吉記念館」となり、その記念館の閉館に伴って改修が施され、宿泊施設へ。名称にある「うぶすな」とは「産土」のことで、彼が自分の原点として大切にしてきた場所に立つことに由来しています。

世界最古の木造建築群として名高い法隆寺からは、車で12分 ほど。安堵町の静かな路地に面して佇んでいます。
憲吉の生家時代の趣を色濃く残す2室

宿は、鯉が泳ぐ堀で囲ったこの地域特有の「環壕(かんごう)屋敷」と呼ばれる造り。江戸時代後期に建てられた長屋門 をくぐれば、レストランが入る母屋と、その母屋に隣接する離れ、蔵を改修したメゾネットの離れの2つの客室と陶芸棟で構成されています。

「日本庭園が見える部屋<日新>」は、憲吉が書斎として愛用していた部屋をそのまま残したもの。


ベッドを置いた寝室と伝統的な純和室、日本庭園を眺められる半露天の陶板風呂などを備え、広さは63平米。「日新」という名は、憲吉の親友で世界的な医学者である今村荒男とが共同で残した書画の作品名から取ったとか。和室の天袋には憲吉が描いた海老鶴の絵が今も残っています。

一方「蔵をリノベーションしたメゾネット式の客室<竹林月夜>」は、広さ139平米。

1階に2つの洋室、2階に広い和室があり、浴室は石灯籠を据えた半露天の石風呂。8人までの利用が可能です。太い梁が渡るがっしりとした木組みの現しは、まさに蔵そのもの。しかし、窓が大きく取られていることもあって閉塞感は全く感じられません。
ちなみにバーナード・リーチは、この憲吉の生家を度々訪ねてきたとか。憲吉がその時の様子をイメージした文様「竹林月夜」は彼の代表的な図案のひとつになっています。
大広間レストランでいただく本格的会席料理

食事は記念館開館時に建てられた大和民家様式の母屋内のレストラン「五風十雨」でいただきます。夕食はその季節いちばんの食材を用いた本格的な会席料理。

夏のうなぎ、秋の松茸、冬のカニ。旬を味わうお料理の数々は「星付きの料亭を思わせる」と、評判です。特に、すきしゃぶか、しゃぶしゃぶでいただく「まほろば赤牛」は絶品!清酒発祥の地と言われる奈良の地酒と共に味わえば、少食の人でもぺロリと胃袋に収まってしまいますよ。

この宿では器にもぜひご注目を。奈良の風景が描かれた塗椀をはじめ、季節を写した器の数々は、料理を一層引き立てると共に、ゲストの目をうんと楽しませてくれます。
絵付けや陶芸体験も

敷地内にある陶芸棟では、陶芸や絵付けの体験(有料)も可能。素焼きの皿や湯飲みに絵付けするも良し、手びねりまで自分で体験するも良し。人間国宝・憲吉の息遣いが感じられる空間での創作活動は、何かしらインスピレーションが得られるかもしれません。
法隆寺ICから約6分。古都の散策の基点としても最適なこの宿へ、ぜひ足を運んでみませんか。
1日2組の古民家ホテル うぶすなの郷TOMIMOTO
奈良県/安堵町












