「露天風呂付客室」や「プライベートプール」など、旅好きな一休.comユーザーからの人気が高いキーワードは色々ありますが、ここ最近特に人気が高まっているのが「オーベルジュ」。
今回は、山梨県の八ヶ岳南麓にあり、一休.comユーザーからも人気が高いオーベルジュの一つ「ヒュッテ・エミール」で支配人を務める小谷孝氏と、シェフの林惠喜氏にZOOMインタビューを実施。お二人が考えるオーベルジュの魅力から、料理へのこだわりなど、多岐にわたってお話しいただきました。
目 次
「ヒュッテ・エミール」誕生のきっかけ
-「ヒュッテ・エミール」様は1987年に創業されたそうですが、この場所でオーベルジュを始めたきっかけは何だったのでしょうか?

(小谷氏)「ヒュッテ・エミール」がある八ヶ岳南麓は、都心から車や電車で2時間ちょっとで行くことができて、色濃く自然が残る場所です。ヨーロッパのアルプスのような景観を見せてくれるこの土地に、本物の豊かさや寛ぎを提供する本格的なオーベルジュを日本に作りたいという想いで、1987年にオープンしました。

富士山や南アルプスがどの部屋からも望めるということと、広い道から入った場所にあるので静かに寛げるということで、八ヶ岳南麓のこの場所に決まりました。
当初は「たった3室のホテルが根付くのか」と思われていましたが、徐々に本物の価値や至福の私的時間を求めるお客様の中で認知されるようになり、現在に至っています。
-林シェフは、約30年間こちらでシェフを務めていらっしゃると伺いましたが「ヒュッテ・エミール」との出会いのきっかけは、どのようなものだったのでしょうか?
(林氏)ここに来る前は、清里の相の原にあった「清里高原ホテル」に務めていました。そこがクローズすることになって次の職場を探していた中で、たまたまこの「ヒュッテ・エミール」で料理人を募集しているのを見付けたんです。面接に行ったら、その場で「いつから来れますか?」となって、とんとん拍子で決まりました。
ここに来たことは無かったんですけど噂に聞いて知っていましたし、機会があれば働いてみたいと思っていたので、縁があったのだと思います。
-小谷様と「ヒュッテ・エミール」との出会いのきっかけについてお聞かせください。
(小谷氏)元々は東京でサラリーマンをしていたんですけど、会社の新年会の手伝いで行った「帝国ホテル」で黒服の方が仕事している姿を見て「カッコいい仕事だな」と思ったんです。それをきっかけに会社を退職して、銀座のホテルでベルボーイからはじめて、ホテル業を一から学びました。そんな中で20代の頃にヨーロッパのオーベルジュの本を見て「いつか自分もオーベルジュをしてみたい」と思うようになりました。
その後は東京でイタリアンレストランを10年程やっていましたが、縁あってオーベルジュとして理想と思えるこの「ヒュッテ・エミール」に出会いました。実は私もそれまで行ったことは無かったんですけど、話にはよく聞いていて。「ヒュッテ・エミール」を見た時に、ヨーロッパで泊まった本場のオーベルジュに似た雰囲気や空気を持っていると感じましたし、これだけの物を揃えているところは他で見たことがありませんでした。20代から想い続けてきた夢が現実になって、非常に嬉しかったです。
「ヒュッテ・エミール」が届けたいオーベルジュの魅力
-オーベルジュは一般的に「宿泊施設があるレストラン」と言われていますが、小谷様、林様が「オーベルジュ」を一言で説明するとしたら何でしょうか?

(林氏)「大人のための特別な空間」だと体感しています。ある程度の年齢層の方が静かに寛げる空間でありたいと、約30年働いてきた中で段々と思うようになりました。
(小谷氏)私はここに来る前からホテルで働いてきて、少し敷居が高くて高揚させてくれるところがホテルだと感じています。その中でも特にオーベルジュは、街場のレストランと違って、美味しい料理を食べてお酒を飲んで寛いだ気分はそのままに、自分の部屋で静かにゆっくり過ごすことができます。食事の余韻をそのままに、質の高い空間で自分だけの至福の時間を存分に得られるのが、オーベルジュの最大の魅力だと思います。
-お二人のお話しには「空間」という言葉が共通していますが「ヒュッテ・エミール」の特徴や、大切にしていることは何でしょうか?
(小谷氏)「ヒュッテ・エミール」で大切にしているのは、大人が自然の中で誰にも邪魔されずに精神をリフレッシュして、本来の自分を取り戻すための静かなひととき、つまり欧米でよく言われている「リトリート」です。

その空間を作るものは、全てが本物でなければいけないと思っていて、上品な重厚感を持つ横浜の高級家具「ダニエル」を基本にしています。「ダニエル」の家具は熟練した職人の手で作られ、ものづくりの理念を感じさせてくれるところがあるので、この家具を基準に全てを揃えました。


例えばカトラリーは「クリストフル」、お皿は「リモージュ」や「ウエッジウッド」。調度品は部屋やダイニングの内装に様々なリヤドロを置いて、少し柔らかい雰囲気を演出していますし、寝具にはアイスランドの最高級ダウンの「アイダーダウン」を使っています。建物も、この八ヶ岳で一番有名な大工集団の「堀内組」に造っていただいたドイツ建築で、100年くらい持つと言われています。
合わないものは使っていないというくらい、全てを「ダニエル」の家具に合わせていて、全体が上手く調和しているんです。
クラシックな宿なので、決して使い勝手がいい訳ではありませんが、その中にいいものが光っている。それが「ヒュッテ・エミール」の独自性や、他には無い宿としてお客様に伝わってくれたらいいですね。料理・接客・建物・設備・自然などの全てのバランスが大事で、何か一つでもダメだと、お客様の居心地が悪くなるため、そのバランスが大切だと思います。
-家具や建物の世界観の統一感に加えて、窓から見える景色に電柱が1本もない、という景色へのこだわりを感じられるクチコミもいくつか拝見しました。

(小谷氏)窓から富士山が見える位置に、ちょうど電線がかかっていたため、電線を地中に埋める工事をやらせていただきました。周りに少し家が増えてきましたけれど、時間をかけて作り上げてきたこの景観は、創業当初から大きく変わっていないと思います。
-いつ来ても変わらない景色も「また行きたい」と思うきっかけの一つになっているのかもしれないですね。都心からのお客様も多いかと思いますが、実際にお客様は何を求めて「ヒュッテ・エミール」にいらっしゃると思われますか?
(小谷氏)やはり、安らぎや癒しですかね。到着された時はあまり気分が高まっていなかったお客様でも、お帰りになる時には笑顔になっていらっしゃるので、滞在全体を通して、気分をリセットできているのだと思います。

連泊やリピーターのお客様も多く、多い方だと、月に1回お越しになります。その方は、冬場を除いてもう10年くらい、数えてみたらトータルで90回を超えていました。他にも、年に3回とか、毎年春と秋に来られる方とか、定期的に来てくださる方の多くは自然がお好きで「ここに紅葉を見に行く」など、四季を感じることを毎年の楽しみに来られているようです。
-まさに別荘感覚で利用されているのですね。小谷様が思う「ヒュッテ・エミール」のおすすめの過ごし方がありましたら教えてください。
(小谷氏)何もしないで、部屋でお寛ぎいただくのが一番贅沢だと思いますし、実際にそのように過ごされている方が多いと感じています。観光に出られても早めに戻って宿の周りを散歩して、ゆっくりと過ごすのが心地良いみたいです。夕方になれば富士山の色が刻々と変わって空が綺麗に夕陽色に染まっていくんですけど「その様子をずっと見ていました」とおっしゃるお客様もいらっしゃいますね。
基本的には、最初にお話しした「リトリート」が根本なので、自分の時間を取り戻す場としてお過ごしいただけたら嬉しいです。
「ヒュッテ・エミール」の料理の特徴とこだわり
-お料理は「八ヶ岳のエッセンス溢れる料理」とHPでご紹介されていますが、どのような特徴があるのでしょうか?

(林氏)全てという訳にはいかないですが、八ヶ岳の野菜や甲州ワインビーフといった地元の食材をなるべく取り入れるようにしています。
エミールのある八ヶ岳南麓は、きれいな水や空気、日本一長い日照時間といった自然環境にとても恵まれているので、自分で地元の食材を売っている直売所を周って集めたり、地元の方との繋がりを大切にしたり、いいものを揃えられるように努力しています。


(小谷氏)シェフの料理は流行に左右されず、奇をてらわない、ブレのない料理だと感じています。お客様の年齢層が高めなので、味付けを軽くして最後まで重くならないように心掛けていますし、特に塩加減には、非常に気を遣っていると思います。あとは、それぞれの野菜がどの時点で一番美味しいのかを知っているので、蒸し時間を変えたり、ここの瞬間で上げるというタイミングを見極めたりして、一番美味しく食べていただけるように仕上げていると思います。
決してゴージャスな料理ではありませんが、スープ一つにしても、朝から一生懸命仕込んでいかないと夜に仕上がらないですし、丁寧に作っているのは間違いありません。そういったことが料理を召し上がられたお客様に伝わるからこそ、評価をいただけているのだと思います。
-ワインは約100種類取り揃えていらっしゃると拝見したのですが。
(小谷氏)フランス、イタリアのものを中心に様々な産地・グレードのものを取り揃えています。あとは、地元のワインもお客様からリクエストいただくので、山梨の代表的なブドウ「甲州」を使ったものなどを少し用意しています。
今や全国の色々なところでワインが造られていますけれども、山梨は原点回帰みたいな感じで「甲州」や「ベーリーA」など、日本固有品種であるブドウの品種に特に力を入れています。エミールで扱っている山梨のワインはまだ種類が少ないので、今後はもう少し増やしていこうかと考えています。地域の活性化にもつながればと思います。
-デザートは席を移動して、暖炉の前でいただくと拝見したのですが、その演出も創業当初からやられているのでしょうか?

(小谷氏)そうですね、暖を取る意味だけじゃなく、夏でも、お客様がいらっしゃった時には必ず暖炉に火を点けています。食べ終わった後も、暖炉の火を見ながら物思いにふけっていらっしゃるお客様も多くて、一つの演出効果になっているのではないでしょうか。
薪の香りも好評で、特にリピーターのお客様の中には、玄関を入った時に薪の香りがすると「『エミール』に来たなという感じがする」とお話しされる方もいらっしゃいますね。
夏は火を起こすのも結構大変ですが、お客様が喜んでくださいますし、おもてなしの一つとして欠かさずやっています。
-和洋2種類の朝食の中でも、和食の「きのこ雑炊」が人気メニューと拝見しました。こちらも創業の頃からのメニューなのでしょうか?

(林氏)夜朝どちらも洋食で重くなってしまわないように、朝食は温かくて胃に優しいものを、ということで考案しました。季節によって変わりますが、いろいろな種類のキノコを入れて、なるべく色々な味や食感を楽しめるようにしています。
これからの「ヒュッテ・エミール」が目指すところ
-1987年の開業から35周年を迎えられますが、今後の目標などがありましたら教えてください。
(小谷氏)一番は、社会貢献です。社会貢献をすることが企業の存在価値だと思っていますし、創業当初から変わっていません。特別なことをやっている訳ではないですが、例えば、お客様にとっての安心・安全や、心から喜んでいただけるように奉仕すること、食事の安全性など様々です。
建物に大きく手を入れることができないので、館内のバリアフリー化は難しいですが、2階の客室へ行くのに階段しかないので、車椅子や足の悪いお客様には、移動のサポートをさせていただいています。あとは、椅子にクッションをご用意するとか、居心地良くお過ごしいただけるように考えて、できる限りのことをさせていただいております。
こうした社会貢献の意識が最終的には自分達にも還元されて戻ってきますし、そこに自分達の存在意義を感じているので“社会と共に成長する”というのが理想です。
-安心・安全という点においては、お客様のクチコミの中で「コロナ禍においても安心して来られる」と書かれている方も多く拝見しました。
(小谷氏)コロナ禍になってからは、それまでよりも忙しくなったと感じています。規模が小さいから安全ということはないと思いますが、山梨県は「やまなしグリーン・ゾーン認証」という、県独自の感染症対策制度を実施していて、もちろん「ヒュッテ・エミール」もその認証を受けています。
お客様の安全を第一に対策できることは全て行い、自身の感染にも気をつけています。みなさまにご協力いただき大変ありがたく思っています。
-最後に、一休.comユーザーに一言メッセージをお願いいたします。

(林氏)まずは是非一度、お越しいただけたらと思います。「ヒュッテ・エミール」での楽しみの一つとして、料理もゆっくり味わっていただきたいです。

(小谷氏)ここ「ヒュッテ・エミール」は、本物で全てを揃えています。何故本物がいいかと言うと、本物には職人の魂が入っている。だからここを訪れたお客様の心が温まりますし、その魅力に惹かれて、心から寛ぐことができるのだと思います。本物の価値を体感して、自然の中で富士山や南アルプスを見ながら、美味しい料理と共に非日常的な時間を満喫していただけたらと思います。
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小谷 孝(支配人)
東京都出身。
都内ホテルにて勤務。
その後、10年ほどイタリアンレストラン運営。
2012年からヒュッテ・エミール支配人。
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林 惠喜(シェフ)
千葉県出身。
資生堂、旧清里高原ホテル勤務。
1990年よりヒュッテ・エミール料理長。
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ヒュッテ・エミール
山梨県/八ヶ岳南麓












