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【旅トーク】「徳山鮓」徳山浩明さん×「Discover Japan」高橋俊宏さんが語る、ローカルの食文化を巡る旅
インタビュー

【旅トーク】「徳山鮓」徳山浩明さん×「Discover Japan」高橋俊宏さんが語る、ローカルの食文化を巡る旅

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様々な立場の方から旅のアイデアについて語る「旅トーク(トラベルトーク)」。今回のテーマは「ローカルな旅」。2021年8月17日より一休.comでの予約開始が始まった滋賀県・余呉湖に佇む「徳山鮓」主人の徳山浩明さん、日本の魅力を再発見する月刊誌「Discover Japan」統括編集長の高橋俊宏さんをお迎えし、今注目するローカルな旅の魅力についてお話を伺いました!
(※2021年4月1日、オンラインにて取材)

お話を聞いた方はこちら!

「徳山鮓」主人 徳山 浩明さん
https://www.ikyu.com/00002875

1960年生まれ、滋賀県出身。高校卒業後、京都の老舗料亭「河しげ」で修業。余呉湖半の宿へ料理長として招かれて帰郷した際、東京農業大学の教授であり、発酵学の権威である小泉武夫氏に出会い「発酵料理」の道を究めること決意。郷土料理のそれとは一線を画す『鮒鮓』を完成させる。2004年、余呉湖湖畔に「徳山鮓」を創業。

株式会社ディスカバー・ジャパン 代表取締役社長/「Discover Japan」統括編集長 高橋 俊宏さん
https://discoverjapan-web.com/

岡山県生まれ。建築やインテリア、デザイン系のムックや書籍など幅広いジャンルの出版を手掛けたのち、2008年に日本の魅力を再発見をテーマにした雑誌、Discover Japanを創刊。編集長を務める。2018年11月に株式会社ディスカバー・ジャパンを設立し、代表取締役社長兼統括編集長を務める。雑誌メディアを軸に、イベントや場づくりのプロデュース、デジタル事業や海外展開など積極的に取り組んでいる。
現在、環境省グッドライフアワード実行委員、京ものユースコンペ審査員、高山市観光経済アドバイザー、高山市メイド・バイ・飛騨高山ブランド認証委員会 委員長、経産省や農水省関連のアドバイザーなども務める。NHKラジオ「マイあさ!」に隔月でゲスト出演、JFN「オーハッピーモーニング」に毎月ゲスト出演中などメディアを超えて、日本の魅力、地方の素晴らしさを発信中。

コロナ禍以降の「旅」に対する気持ちの変化

左上より:一休 石川(メディア事業部)、高橋(旅館リゾートチーム)、宮崎(広報)
左下より:徳山様、高橋様

石川:徳山様は滋賀の郷土料理「熟鮓(なれずし)」を始めとする発酵文化を現代人が美味しくいただけるように工夫し発信され、その功労から多くの賞を受賞されております。
「Discover Japan」は一休社員も毎月購読するほどファンが多くいまして、日本の文化を改めて見直す切り口や紹介の仕方をいつも勉強させていただいております。お2人とご一緒にお話ができるということでとても楽しみです。
はじめに、2020年以降の旅の傾向を振りかえると、一休.comでは「密を避ける旅」が大きく注目されました。自然あふれるエリアで一棟貸しの利用が増え、「大切な人との時間を贅沢に過ごすおこもり旅」をお部屋や宿の中で楽しむケースも見受けられました。「Discover Japan」ではどのような企画が好評でしたか?

高橋様:おっしゃったとおり、徳山鮓様のような小さなこだわりの宿、スモールラグジュアリーな宿を読者層は求めていたなと感じます。
新しい動きとしては、ワーケーションも好評でした。佐賀県にある嬉野温泉の「和多屋別荘」さんでは、コロナになる以前より団体旅行向けの宿を脱却する時代が来ると感知して室数を減らし、ラグジュアリー層向けのお部屋を作り変えていました。さらに2万坪ある敷地の一部にサテライトオフィスを誘致し、オフィスを構える取り組みをされているんですね。ワーケーションを見据えた長期滞在のプランを作られていて、旅館という場所を泊まるだけでなく働く場所として提案されています。
全国に沢山ある大型旅館の運営は今大変だと思いますが、今後の在り方の参考になるのではないかと注目しています。

石川:ワーケーションに取り組まれている宿も増え、その流れで「ロングステイ」を推す宿も増えましたね。
もう一つの注目が「悠々自適に楽しむ一人旅」です。特に50~60代の方は、自分の趣味や好きなものを気兼ねなく追求したいという気持ちがあるようです。観光名所を楽しむ旅から、食や器といったその土地ならではの文化に興味をもち、ややマニアックな旅をする人が少しずつ増えてきているように思います。

徳山様:当店では、今年はコロナの関係でお部屋も全部区切らせていただいています。今後はテラスでもお食事ができるように、屋根を作っているところです。次世代が調理する場所を作り、料理の中の3品ほどを召し上がっていただいて、空気を入れ替えてから中に入っていただくというような動きにしようと思います。窯を作って薪で料理したり、炭火も使えるようにして、息子たちもお客様と会話ができるようにしたいと思っています。
また、お1人様はまだ受け付けていないのですが、そのようなニーズも見据えてカウンターを利用できるよう準備をしています。今はカウンターを5~6名のお客様でご利用いただいていますが、料理人との会話も楽しめるカウンターはお1人様でも利用できるなと思っています。

石川:お1人でも行きたいという方は多いと思うので、期待大ですね!旅の目的として「発酵文化」を知るという興味はかなり強くなってきていると思います。そこでしかできない経験を希望されている人が最近は多いなと思います。
「Discover Japan」でも風土の魅力や発酵文化の特集で「徳山鮓」をご紹介されていますね。美食家が憧れる和のオーベルジュと称される魅力はどのような点にあるのでしょうか。

風土の魅力を発信する中での「発酵文化」

高橋様:徳山さんは発酵料理の先駆けで、やっと時代がついてきたと思います。
世の中のトレンドの流れに沿って特集を組むのですが、2019年10月に「Discover Japan」で初めて発酵の特集をしたとき、実は5~6年前から発酵の企画をしたいと考えていました。当時はまだちょっと早いかなという感じでしたが、2年前から発酵が一般の人たちにも浸透してきて、健康や美容という路線で見直されてきました。発酵こそ世界に誇れる日本の食文化なので、しっかり特集したい。となると発酵の代表、聖地はやはり徳山さんのところだろうと。研究所もありますし、徳山さんを紐解くことによって発酵文化を紐解くと言いますか、鮒鮓もそうですが郷土に根付いた食文化を解釈されているということに着目し特集させていただきました。

徳山様:今から25年前に「日本発酵機構余呉研究所」が発足し、そのときに様々な発酵学の権威の先生方が来られました。「滋賀には発酵文化があるのにそれを出すお店がない。発酵の魅力をもっと多くの人に伝えられる施設が作れたら」という指摘を受け、発酵料理をお出しする上で余呉湖のこの場所を選びました。
当初、口コミだけでリピーターをつけようという目標でした。とはいえ鮒鮓ですから、大半の方に「え!?」と言われる食材です。それをメインにするのはリスクが高いですが、お料理も説明して地元の良さを紹介するにはどうすればいいかを考えた結果でした。
当初は鮒鮓なんか食べにいかないと言われました。皆さんにおいがきついとか、味が独特なのではということを想像されるので、そこを理解していただくために試行錯誤し、考えてやらせていただいています。
日本全国で考えますとまだまだ浸透していないと思われますのでこれから努力をして、子供たちに引き継いでいってもらいたいですね。発酵は菌たちがどこで悪さするか分かりませんし、何でこうなるの?と思うこともあります。その繰り返しの中で仕込みをしながらお料理を作っています。

高橋様:発酵文化はさらに高まってきていると思いまして、今年の7月号でも「ととのう発酵」として特集します 。先ほど話にあった器などに注目している方が増えているというのもそうで、伝統やクラフトを求める旅というものもあります。
加えて、その地域の食材に惚れ込んで移住し開業するシェフが、宿を出し始めています。5月号が「美味しいニッポントラベル」という特集で、地方に美味しいものがあるから旅に出ようという流れが来ているのではないかなと思います。

石川:地のものに着目される方は増えていると私も感じます。良いものは東京に集まると思っていましたが、地方出張を重ねるうちに、本当に地元の人が美味しいと思っているものはその場で消費されて出回らないこともあることを知りました。希少価値が高いものは現地に行かないと食べられないですよね。

徳山様:地元の食材でいうと、「一つの水の中で育ったもの」を調理したいと思います。雨が降ると、山から注いだ水が田畑を潤し、余呉湖に注がれる。その一つの流れの中で培われた食材が、器の中で一つになれば、そんなに調味料はいらないんじゃないかと。地元の食材と併せて、発酵することによって合うんじゃないかなと。
地産地消を言われるようになりましたが、この場所に何があるのかを知ることから始まると思います。北海道と滋賀を比べれば、広さも全然違いますし、距離もあるし、文化も水も違う。異なる性質の食材をうまく合わせるより、自分たちの身近にある食材をいかにして使いこなすか。その基本に一つの水の中で生まれたものを使うということをやっています。

また、今日も余呉湖に出て水温を測るんです。気温や水温などのデータを都度取っていて、魚の動きを観測しています。息子たちも山に入っていますが、軸となる木を何本か植え、木を見るだけでその時々の山の状況を判断し、食材を取りに行く目安にしています。
採りすぎず、休ませるということも大事です。花山椒にしても昔から採っていたのですが、年々枯れていくわけです。地元の先人たちは「山椒の木はあまりいじめるとすぐ枯れるからね」とおっしゃっていて、1、2年で場所を変えて順繰りしていくのがいいかと思いました。私の時代はよくても息子たちの時代で採れなくなるかもしれないですから。

高橋様:水はつながっているという考え方は非常に説得力がありますね。また、山を休ませるという行動は、それこそ今でいうSDGsのようなサステナブルな社会を作っていくためには必要な発想ですよね。それを徳山さんは地でやられている。生活しながら自然のサイクルに合わせてお料理が出てくるというのがすごいですよね。

徳山様:毎日同じ料理をお出しするというのが作る側の立場らしたらメニューを変えなくてもいいのですが、ずっと同じ食材だと自分たちがうまくいくように大量に取れるものがメインになってしまう。そうではなく常連の方など珍しいものが採れたら「これも召し上がってください」というご提案ができればと考えています。
食材の確保が重要ですが、普段使われないけれど美味しい違う食材を探していく、ということも大事です。まだ使用されていない食材でも、その食材を見て、どこで、どう調理しようか、山に入るとそういうことばかり考えています。色々考えている時が子供のようにワクワクしますね。
余呉は標高差がありまして、ここが0とすると山の方は400m程の標高差があり、旬も徐々に上がっていく感じで大体20日程度ずれますね。素晴らしいところですから、時間が合えばご案内したいです。気温も安定しているので、仕込みの場所を作ってレストランでもやってみたいなと思うほどです。

高橋様:徳山さんが実際に山に入られているからこそできる話や、地域に根付いた活動をされているところは注目されると思います。山に入ってまだ出逢っていない食材に出逢うというのは、人間が縄文時代に山に入ってこれは食べられるか?と考えたりすることの原点回帰のような気がするんですよね。徳山さんが自然にやられていることが実は最先端に見えると思います。エシカルやフェアトレードを選ぶという流れの中で、地球にやさしい宿を選び泊まることが尊敬される行動になる。時代が回って最先端になっていると思います。

石川:まさに同じことを思っていまして、数年前から環境の変化に対応し、地産地消への取り組みやエシカルなホテルというのが台頭してきている中で、徳山さんの感覚は私たち観光業界が目指していく方向のような気がします。

土地ならではの魅力を感じる宿が「迎賓館」になる

徳山様:自然の中に入れば色んな発見があります。山の中で腰を下ろしてお茶を飲んだときに、山が教えてくれる感覚というものがありますね。がむしゃらに入っていても、山は逃げていくばっかりですから。
また旅をされる人にとってこの地域は何が魅力なのか、文化などをもっと発信していく力も必要かと思います。

高橋様:実は中学生の頃琵琶湖を自転車で一周したんですよ。井上靖さんの「星と祭」という作品を読んで感動して、いてもたってもいられなくなって新幹線に自転車を乗せて。湖北あたりに千手観音様をお祀りするお堂が点在していてそれを巡る旅です。中でも渡岸寺の国宝の千手観音様を拝観しに行ったことは印象深く憶えていますね。地元の人が祠を守ってらっしゃって、普段は開いていないのですが、電話するとおばあちゃんがきて開けて見せてくれたりするんですよね。それがまたいい。

徳山様:ビワイチですか!最近皆さんされていらっしゃいますよね。この一帯は日本を代表する観音群なんです。観音様が本当に沢山おられまして、国宝級のものもあるほどです。当店から5~6分しない場所に、東京でも展示されたものがあります。ただ、自分たちは昔から見慣れすぎていて、あまり発信力もないですから、お客様にも紹介できないことも多いのですが、いたるところにあるんです。
かなり詳しくお調べいただいてお越しになるお客様もいます。一人旅のお客様に回っていただくのも良いかもしれません。
この地は歴史があって、天下を分けた戦いの場所でもあるので、好きな人にとっては魅力的です。壊されてしまっているものもありますが、お寺にあるものも説明させていただいたり。

高橋様:旅の仕方は細分化されてマニアックになっているので、観音様巡りも旅の目的になると思うんですよね。土地の信仰の話とか、もっと聞きたくなる人は増えるんではないでしょうか。まさに歴史も含めたご馳走ですよね。観光は観光者の数ではないと思うんです。本当に深い興味を持ってきてくれる人の方がお金も払ってくれますし、価値を感じてくれる人がもっと増えると思いますね。
徳山鮓さんのような宿が、今後の土地の「迎賓館」だと思うんですよ。空間だったり、お料理を通じた食文化だったり、その土地の魅力を全部表現しているじゃないですか。しっかり魅力を体感できる迎賓館が入り口になっていて、興味を持った人がそれぞれの知見を広げていくような。ある人は余呉湖でボートや釣りを、ある人は観音様巡りを、ある人は歴史の旅をしようとなるかもしれないし。そこに行くと土地の魅力が全部知れて、さらに深みを知れるという、そういったことを求める方が増えてくるんじゃないかと思います。
もしかしたら山に入るツアーというのにも興味を持つ人もいるんではないでしょうか。そうなったら素敵だなと。ユーザー目線でいえば素晴らしい旅になる、そういう気持ちでいます。

徳山様:おっしゃるように1人でもお話を聞きたい人がいるのであれば、話す方も楽しいと思います。私もいい案をいただいて色んな発想がわいてきました。この方向性をどのように表現していくかを自分なりに考えてみたいと思います。

日本の食と旅を見つめ続けてきたお2人ならではの視点に、これからの旅のアイデアがふくらむトークとなりました。今後も、様々な角度から「一休コンシェルジュ」ならではの素敵な時間を過ごせる旅を発信していきます。

徳山鮓

徳山鮓

滋賀県/長浜市余呉町

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更新日時2021.08.25 10:30

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