FOLLOW一休コンシェルジュをフォロー

FOLLOW一休コンシェルジュをフォロー

志摩観光ホテル初の女性総料理長・樋口宏江の料理哲学に迫る
インタビュー

志摩観光ホテル初の女性総料理長・樋口宏江の料理哲学に迫る 志摩観光ホテル ザ ベイスイート(三重県/志摩・賢島)

「志摩観光ホテル」初の女性総料理長として、感動の一皿を提供されている樋口 宏江氏。伊勢志摩の海産物を取り入れた“海の幸フランス料理”が国内外から高い評価を受けています。
1951年に開業した「志摩観光ホテル」で代々受け継がれている伝統の料理哲学をはじめ、樋口シェフが現在取り組まれていることについてお伺いしました。

志摩観光ホテル伝統の“海の幸フランス料理”

―さきほど“海の幸フランス料理”の代表作であるメニューをいただき、食材のボリューミーさを全く感じさせないような味付けで、いくらでも食べられそうだと驚きました。調理の際に気を付けていらっしゃることはありますか?

実は、「フレンチのコース料理を最初から最後まで完食できたことがないのに、こちらでは全部食べられた上に、全然お腹が重たくならなかった」とよく言われます。使うべきところにはちゃんとバターもクリームも使っているんですよ。昔から作っているお料理も、時代に合わせてクリームやバターを少なくするといったことはしていないので、不思議ですよね。雰囲気がそうさせるのでしょうか。

―それが樋口シェフならではの、繊細な感覚なのかもしれません。シェフを志したきっかけは?

母は専業主婦で、家で家族のために料理やおやつを作るという毎日でした。小さな頃から台所のお手伝いやお菓子を作ったりすることで「料理をするって楽しい」と思うようになりました。家族や近所の方に褒められることが子供ながらに嬉しくて、繰り返していくうちに、小学校高学年頃には、将来、「料理を作る」「お菓子を作る」ことを職業にできたらいいなという気持ちを持っていました。

「料理のレシピだけでなく、代々受け継ぐ料理への想いを伝えたい」

―「志摩観光ホテル」入社以来、先々代総料理長・高橋 忠之氏のもとで様々なことを学ばれたと思いますが、印象に残るエピソードはありますか?

10年間一緒に仕事をさせていただいたのですが、その中で社会人として成長するために大切な考え方と、料理人として料理に向き合うときの心構えを教えていただきました。料理以外の技術や歴史など、目先の料理だけではない部分も勉強しなさいと日々言われて。自分では気にしなかったことを叱られ「なぜだろう」と思うこともありましたが、今になって「理にかなっているな」と身に染みて感じますね。

―料理人としての姿勢を、料理哲学やホテルの歴史も含めて教えていただいたのですね。

そうですね。「なぜこの料理を作るのか」ということや、先々代の考え、料理哲学も、10年間一緒に仕事をしていく中で学びましたので、その部分は継承していきたいと思っています。
「伊勢海老クリームスープ」や「鮑ステーキ」などの料理はもちろん、「この地でしか生み出せない料理を作り続ける」という精神も受け継いで、一緒に働く仲間や、今後私の後を見ていってくれる人たちに想いを伝えていかないと。ただ料理のルセットが残るだけで、精神が伝わらないと意味がありません。ホテルのことを理解する、料理を理解する、「なぜこうなのか」ということも理解してもらえるように、人を育てることも自分の仕事の中で重要だと思っています。

―志摩観光ホテル ザ ベイスイートの開業とともに志摩観光ホテルのフレンチレストラン「ラ・メール」の料理長になられて10年、総料理長に就任して5年目とのことですが、先人たちの想いを受け次世代に継承するということをどのように表現されていらっしゃいますか?

恵まれているなと思うのは、10年前にこの館(志摩観光ホテル ザ ベイスイート)ができたタイミングで料理長を拝命しましたので、自分で料理を作り出すことができたということです。クラシックにある「ラ・メール ザ クラシック」と、ベイスイートにある「ラ・メール」との料理の住み分けを考え抜いたら、性質の違う料理を提供することができました。「ラ・メール」では先に進める「進化」、「ラ・メール ザ クラシック」では深く掘り下げる「深化」。同じ言葉でも、違う方向性でいこうということになったので、こちら(ラ・メール)では新しい挑戦ができてるので、自分にとってはありがたいですね。

総料理長・樋口 宏江氏が目指す、三重で味わう“海の幸フランス料理”

―2016年に開催された「G7伊勢志摩サミット」では、世界各国の首脳に提供される「ワーキングディナー」を担当されたそうですね。そのときに何を意識されましたか?

三重県の食の素晴らしさや、日本の食の素晴らしさをご理解いただけるようなお席、料理の時間にしたいと思っていました。
私も「なぜここで開催されるのか」「自分にできることは何か」を考えたときに、三重県の食の素晴らしさ・食材の豊かさを表現できるお料理を、長い歴史の中でお客様に愛され続けてきた賢島で召し上がっていただきたいという想いがありました。今まで積み重ねてきたものを披露させていただけたらいいなという気持ちで臨みました。

―実際にお料理を召し上がられた首脳の方々の反応はいかがでしたか?

代表メニューの「伊勢海老クリームスープ」は外国の方のお好みに合わせて、スープの上にミルクで泡を作ってカプチーノ仕立てにしました。
会議をしながらの食事のお席で提供したところ、会議が止まり、スープを飲むのに夢中になられたと伺いました。会議の後でお部屋にお呼びいただいて、メルケル首相からお言葉をいただいたのは嬉しかったですね。

―2017年には農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」のブロンズ賞を女性で初めて受賞され、ますます注目が高まっていますが、今後挑戦してみたいことがあれば教えてください。

考え方は以前と変わらないのですが、賢島という土地にお越しいただくのは、例えば東京からですと短くても4時間…。わざわざお越しいただくのは、ここにしかない「食」や、旅の間にある「体験」を求めていらっしゃるからだと考えています。ここでしか召し上がれないものの提供にこだわりたいですね。

サミットをきっかけに県内の生産者の方々と親しくさせていただき、食材の幅も広がりました。今後も生産者の方と三重県を盛り立てていきたいです。このホテルから新しいものを発信できるよう、お客様に喜んでいただける新しい料理を作り続けていくことに注力したいです。今までしてきた取り組みを続け、多くの方にお越しいただけるようなホテルを作りたいなと思っています。

―生産者の方の想いは、どういった形で取り入れられているのでしょうか?

もちろんお料理に反映することもそうですし、食に興味のあるお客様はスタッフとのお話も弾みますので、エピソードをお伝えしたりしています。
他には、 食材や、三重の地域の特徴にスポットを当てた月1回のランチのイベントを行い、生産者の方のお話を伺った後に、お食事を召し上がっていただいています。

お客様も食材について知識が深まりますし、生産者の方は「自分が作ったものがどんな形になるんだろう」ということにすごく興味があるようで。お客様の反応をご覧いただくことで「一緒にがんばろう」と。どちらもお客様に励まされています。
それがきっかけで新しいお料理が生み出されることもあるので。苦しい部分もありますけれど、とても楽しいですね。

「賢島」「志摩観光ホテル」で叶える“こころの贅沢”とは

― 一休.comでは「こころに贅沢させよう。」をキーメッセージに置いております。樋口シェフが考える“こころの贅沢”にはどんなものがありますか。

今まで経験したことのない新たな体験や、そこに行かないとできないことを過ごす時間が、心の豊かさにつながるのかなと思いますね。例えば、「田舎」であることは不便である一方、星空が綺麗で天体観察を楽しめるとか、漁師の体験や生産している現場を見に行けるとか。

お越しいただいたときには、食べることもそうですが、都会ではできない田舎ならではの体験をしていただきたいですね。自然や景色をただただ眺めてゲストラウンジでゆっくりお酒を飲んだりすることが、日常から離れて自分の心が豊かになることなのかなと思います。

― 最後に、一休.comユーザーにメッセージをお願いいたします。

漁港や柑橘などの生産現場を見せていただくのはとても楽しいです。私自身が体験して良かったことをお客様にも体験していただけるようになるといいなと思っています。食事以外でも、三重の伝統工芸を体験できるアクティビティは私も好きで、お客様へおすすめしています。色々な形で心の豊かさを感じられるような施設にしていきたいと思っていますので、ぜひ体験しに訪れていただきたいですね。

物腰が柔らかく、優しい笑顔と穏やかな口調でお話をしてくださった樋口シェフ。その言葉のひとつひとつに、料理への愛情と強い想いを感じることができました。
英虞湾を一望する景観と、豊かな海産物を取り入れた“海の幸フランス料理”、そして都会では体験できない様々なアクティビティ。この地を訪れたからこそ見る・食べる・体験することができる魅力や、そこで働く人たちの想いが詰まった「志摩観光ホテル」は、わざわざ訪れる意味がある場所なのだと改めて実感しました。

***********************************
志摩観光ホテル 総料理長
樋口 宏江(ひぐち ひろえ)

1991年 志摩観光ホテル入社
2008年 ベイスイート開業とともにフレンチレストラン「ラ・メール」 のシェフに就任
2014年 都ホテルズ&リゾーツ初の女性総料理長として、志摩観光ホテル「クラシック」「ベイスイート」両館を統括する 総料理長に就任
2016年 「G7 伊勢志摩サミット 2016」ワーキングディナーを担当
2017年 第8回農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」ブロンズ賞受賞(女性初・三重県初)

志摩観光ホテル ザ ベイスイート

志摩観光ホテル ザ ベイスイート

三重県/志摩・賢島

この記事が気に入ったらシェア!

あわせて読みたい

「伊勢・志摩の厳選宿」の人気記事