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文豪・島崎藤村が愛した湯河原の名宿
クローズアップ

文豪・島崎藤村が愛した湯河原の名宿 島崎藤村ゆかりの宿 伊藤屋(神奈川県/湯河原)

古くから多くの文人墨客が逗留し、創作の場とした湯河原。その中でも、「島崎藤村ゆかりの宿 伊藤屋」は明治21年創業の歴史ある宿。「万葉公園」のすぐ近く、湯河原の真の風情を感じられる場所に佇んでいます。

登録有形文化財に登録された宿

藤木川沿いに身を寄せ合うように立ち並ぶ湯河原温泉。万葉集にも詠まれたほど古くから開かれた温泉で、明治34年にはすでに9軒の旅館があったとか。
そのうちの一つが、「島崎藤村ゆかりの宿 伊藤屋」。もともとは明治天皇の侍従長だった徳大寺公爵をもてなすため造られた宿で、大正初期に建てられた51番・52番の棟と本館の一部が平成26年、国の登録有形文化財に登録されています。

宿は背後の山に埋もれるように佇んでおり、正門前に立つだけで時を重ねてきた香りがぷんぷんと。さあ、御影石の門をくぐって中に入りましょう。

藤村が「夜明け前」の構想をここで練る

宿の名にも入っているようにこの宿は、島崎藤村があの長編小説「夜明け前」の構想を練った場所。
執筆していた昭和3年から十余年の間、出版社へ原稿を出し終えるとこの伊藤屋で保養を重ねていたそうで、今も宿には、藤村の宿帳やメニュー表などが残されています。

部屋は全13室。大正初期、昭和初期、戦後、それぞれの時期に建てられた3つの棟からなる本館と、平成3年築の新館で構成されています。

どの部屋も木造の、「これぞ昔ながらの和の旅館!」という風情ですが、トイレなどの水回りは、すべて現代的に改装されているのでご安心を。

部屋も館内も清潔に保たれていて清々しい雰囲気。創業から今に至るまで、大切に使われてきたことがよくわかります。

おすすめは登録有形文化財指定の52番

部屋は番号で区別されています。泊まるなら、ぜひ文化財に指定された「52番」へ。
ちょっと歪んだガラス窓。その窓に写る中庭。窓枠や鴨居に施された細かい細工。組子の障子。ほとんどすべてが当時のままで、その造作の美しさには感動すら覚えます。

広縁の椅子に腰掛けてのんびり過ごすも良し。手の込んだ木造建築のあれこれをじっくり鑑賞するも良し。普段とは時間の流れるスピードが異なることに気づくでしょう。

文化財に登録されているのは、ほかに大正初期築の「51番」、大正15年築の「17番」「18番」「19番」の、計5部屋。
さらに伊藤屋の元別館「光風荘」は、なんと二・二六事件にゆかりある場所とか。東京だけでなく、湯河原も歴史が動く事件の舞台となっていたとは驚きです。現在は資料館となっているので、合わせて見学してみてはいかが。

冬は「藤村鍋」も登場

湯河原の湯は肌のあたりが柔らか。さらさらと優しい湯です。内風呂タイプの大浴場は24時間入浴が可能。真鶴の赤石を大胆に配したデザインで、レトロ感たっぷりです。

貸切の露天風呂と半露天風呂もあり、こちらは空いていれば予約なしで利用できますよ。

食事は月替わりの懐石料理。山と海、それぞれの幸に恵まれた土地柄ということもあり、旬の美味が並びます。
冬の人気メニューは、島崎藤村が好んだ鶏鍋。当時の宿帳を元に再現された鍋で、「藤村鍋」と呼ばれています。今ではすっかり冬の味として定着。熱々で鶏の出汁がたっぷり。心も体も温まりますよ。

藤村はもちろん、黒田清輝、有島武郎、初代三遊亭円朝など、多くの著名人の定宿だった「伊藤屋」。ここならではの古き良き時代の風情を味わいに、ぜひお出かけを。

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島崎藤村ゆかりの宿 伊藤屋

神奈川県/湯河原

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