東京から約2時間。好アクセスな熱海・網代の地に2018年10月、全7室のみの大人の宿「熱海 さんが」が開業しました。
『【滞在記】海を独り占めする絶景客室で至高のおこもり旅』に引き続き、オープン直後のお宿を私、Itoが体験取材!
今回は熱海や伊豆で育った食材を中心とした、こだわりの料理をご紹介します。
プライベートが確約された個室のお食事処
お宿自慢の夕朝食は、共に個室のお食事処でいただきます。
中でも貴賓館は、客室ごとに専用のお食事処が隣接。1フロアに1室の造りなので、誰にも会うことなくお食事処へ移動することが可能です。
「部屋食のプライベート感は欲しいけど、お部屋には入ってほしくない。」なんて方には持ってこい。
貴賓館の中で最も贅をつくした貴賓室「山」専用のお食事処は、他とは一線を画す造り。
茶室を再現した個室は独特な高い天井が特徴的で、こぢんまりとしながらも広々とした空間です。
連泊の場合は、気分を変えて客室のダイニングスペースで食事をすることも可能。滞在に合わせて相談してみて。
貴賓館 特別室「蒼」「海」のお食事処は、広々としたダイニング。渡辺愛子氏による焼き物がさりげなく飾られます。
本館に宿泊の場合は、貴賓館1階の料亭「風香」にていただきます。
個室のお食事処は、テラス席を備える開放的な雰囲気。夜風にあたりながら、ゆっくりと時間をかけて食事を堪能しましょう。
渾身の出汁でいただくオリジナル懐石
夕食は熱海や伊豆を中心に、厳選した食材を使用した“山龢懐石料理”です。
料理長 本城英也氏が素材の持ち味を最大限に引き出し、一品一品こだわりぬいた料理が並びます。
私がうかがった日は、秋の食材をふんだんに使ったメニューでした。
旬の食材でもある松茸と鱧を用いた土瓶蒸しは、時間が経てば経つほど素材の味が滲み出し、味が変化する計算し尽くされた一品。お猪口に注ぐごとに素材のうまみが増す出汁に驚きの連続でした。
熱海と伊豆の雄大な相模湾で育った魚介類は、新鮮なお刺身で。中でも絞めたばかりの伊勢海老は、ぷりぷりとした触感がやみつきになります。
大きな釜で炊き上げる松茸ご飯もこの時期ならでは。立ち込める湯気と芳醇な香りに食欲をそそられます。
希望があればおにぎりも握ってもらえるので、お夜食にもおすすめです。
品数は多いにも関わらず、一つ一つの料理は繊細な味付けと控えめな量で構成されており、ちょうどいい満腹感を得ることができました。
季節や当日の仕入れ状況で食事内容が変わるので、その時々のお楽しみです。
夕飯後は、バーラウンジで更け行く夜を楽しんで。
桧無垢材のカウンターは、木の調質機能を生かしたままの一枚板。ウィスキーや焼酎を中心に、様々な銘柄が揃います。
この日はなかなか手に入らない“竹鶴25年”や“山崎18年”が、さりげなく置いてありました。
お気に入りを見つけたら、選りすぐりの江戸切子のグラスで一杯いただきましょう。
干物職人が生み出す、絶品の魚と共に
朝食は夕食と同じ、個室のお食事処で。やさしい味付けが身体に染みわたり、朝の目覚めを促してくれます。
特筆すべきは、濃縮された旨みと肉厚な食べ応えに思わずうなってしまう干物。キンメやアジをはじめ、ハナエビなどの珍しい素材も選ぶことができます。1人1品選べるので、シェアするのがおすすめです。チョイスしなかった干物は、お土産でもいただけます。
私はノドグロとハナエビをお願いしました。
そんな絶品の干物が作られるのは、地元・網代に加工場がある“干物屋 ふじま”。ハイパー干物クリエイターの名で知られる藤間氏が作る干物は、素材や味付け共にオリジナリティに溢れ、熱海でも注目される存在です。
朝食後に「この干物はどこのですか?」と聞かれることも多いそう。
お店は構えていませんが、朝食時に一言寄りたいと伝えれば、ハイパー干物クリエイターの干物を買うこともできますよ。
地元の生産者が丹精込めて作った食材を、思う存分食べ尽くしましょう。
上品な味付けで熱海と伊豆の旬を味わうことができる「熱海 さんが」のお食事。
お部屋だけではなく食事の時まで、徹底して“おこもり”を満喫することができました。
少し立ち止まりたくなった時は気軽に足を運べる熱海へ、とことん癒される上質な旅に出かけませんか。


熱海 さんが
静岡県/熱海市
更新日時2020.05.19 13:51