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『日本一予約が取れない宿』が目指す究極のおもてなし(後編)
インタビュー

『日本一予約が取れない宿』が目指す究極のおもてなし(後編) 箱根吟遊(神奈川県/箱根町宮ノ下)

前回のインタビューでは、人気旅館「箱根吟遊」のオーナー・太田様のインタビューを通し、開業の成り立ちや施設のコンセプトについてお伝えしました。後編では、「箱根吟遊」ならではのこだわりや魅力、滞在時に注目してほしいポイントについてご紹介します。

おもてなしで「お客様の精神状態」を察知する宿に

―お邪魔してみて、スタッフの皆さんがお客様第一で考えていらっしゃるということを感じました。

サービス業、特に旅館の接客業って職人だと思っているので、言葉だけじゃ上手く伝わらないと思っています。それぞれが培ってきた経験の良いところを接客に活かして頂きたいなと思うので、「みんな同じじゃだめだよ」と言っています。それぞれの経験や得意分野で、それぞれのお客様に接してもらいたいと。だから「責任はわたしが負うから自由に動いてくれ」とお伝えしています。ただ、フィードバックは必ずしてもらいますが。やっぱりお客様の目を見る、表情を見る、声のトーンを感じる、そういったことを感じなくてはならないかなと思っています。

「とにかく最初の2年間はお客様に振り回されてみよう」とスタッフ全員に伝えました。お客様に振り回された結果、やり方が決まってくるからと。お迎えから、靴をしまうタイミングという細かいところまで、全部お客様の動きや流れを見て、今のやり方が決まっています。
うちのやり方を自分たちが最初に決めてしまうと、お客様がそれに従う形での滞在になってしまう。チェックインやチェックアウト、夕食の時間を選ぶなど、もともと施設の都合でお願いすること以外の細かい部分は、お客様の動きや流れに則ったやり方を基本にしています。

おもてなしは、言葉とか数字ではなくて、「お客様の精神状態」を察知する感覚。玄関に入って靴を脱ぐ時、初めてのお客様はもちろん、どんなリピーターさんでもやっぱり緊張されています。
その緊張感を理解して、行動や表情に表していくと、お声がけする言葉や表情、声の大きさも変わってきます。その感覚をもっと研ぎ澄ましていかなくてはならないな、と思っています。

―緊張感を少しずつ解き放っていくという感覚、確かに宿での滞在でフォローしていただくととても心地よい気分になると思いますね。

お部屋にご案内するまでにされる宿のご説明って、ほとんど覚えていないかもしれません。
お部屋に入った後、一気にリラックスできる。という事はお部屋が一番清潔感があって、空気感も含めて綺麗にして神経を使わなければいけない。まずお客様が最初に何をするかという想像だと、お荷物を広げる前に写真を撮られる方もいらっしゃると思うんです。撮って頂いた時に額が傾いていたり、ソファーが曲がっていたり、クッションが違うところにあったりだとか、かっこ悪いですよね。最初が一番大事なので。お掃除後に女性のスタッフがチェックをして、最後に私がチェックをして、そしてお客様をお通ししています。
最初のお部屋の印象は物凄く大事だと思っています。基本的には吟遊の場合お部屋とパブリックスペースだと、お部屋が宿の8割くらいかと考えているほど、重要だと思います。

―ところどころに特徴的な意匠や風景がちりばめられていて、写真で「吟遊」だ、とわかるのも魅力ですね。

僕はお客様が写真を撮った時に、どこを撮っても「吟遊」だとわかる印象が欲しいと思っていました。
バーの窓に描かれているのは『ピンストライプ』という、日本の第一人者の石井さんがフリーハンドで描いてくれた作品。視界にたまにちらっと入ってくる印象で、「これ吟遊だよね」ってポンと出てくるんです。
主張したいわけではないけれど、自然に吟遊だとアピールができる、ちょっとしたいたずら心みたいな感じです。

うちの画像を見ていただいた時に、「彼女を連れて行ったら、あんな椅子にこういう感じでこういう景色が見られる」とイメージができる旅館にしたかったんです。
女性グループで泊まりにきても「彼氏と一緒に来たいな」と思わせる色っぽさ。
男女ともにそう思わせる色っぽさを、持っていたいなと思っています。

―今後どのようなことに取り組まれていく予定ですか?

「お客様を感動させて泣かせる」こと。前の旅館の時、おばあ様の古稀のお祝いに「何かできないか」という依頼がありました。庭が芝生だったので、キャンドルをいっぱい買ってきて、ガラスのおしゃれなホルダーに入れて、300~400個並べました。
全て1人で夕食中にセッティングして、食後に「当館からのお祝いです」と障子をあけていただき、芝生のライトアップを消して、客室から見ていただきました。

最初はじーっと見てくださり、写真を撮ってくださって。客室係に「どうだった?」と内線を入れたところ、客室係が泣いていました。お客様も泣いていて。
それを聞いて、すごく感動してしまって。
今は毎日3~4件のサプライズがあって、キャンドルと一緒にメッセージプレートをプレゼントしています。

お客様のオーダーがない場合も会話の端々から感じてサプライズする、ということにこだわりたい。と明かしてしまうとサプライズにならないのであまり言えないんですけどね。(笑)
日本のお客様って、世界一厳しいと思うんです。繊細というか。そういったお客様に長年揉まれてきた日本旅館だからこそのおもてなしだと思っています。

旅館であり、リゾートを感じられる場所。何もせず、ただぼーっと時間の移ろいを2人で見つめ、憩いのひとときを過ごす。スタッフのお客様に対する眼差しの心地よさがそれを支えていると、太田様の語るエピソード一つ一つから伝わってきました。2人のための幸せな時間が流れていることが、「箱根吟遊」の魅力ではないでしょうか。

箱根吟遊

箱根吟遊

神奈川県/箱根町宮ノ下

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