セレクション

安藤忠雄が手がけた芸術作品のようなホテル5選

世界的に有名な建築家・安藤忠雄。建築ファンはもちろんそうでない人も、一度はその名前を耳にしたことがあるでしょう。住宅や教会、美術館など、いままで多くの作品を世に送り出していますが、ホテルの設計・建築も手がけていることをご存知でしょうか?もちろん、実際に宿泊可能。芸術作品とも言える安藤忠雄氏デザインのホテルをご紹介いたします。

個性豊かな4つの建物から成る泊まれる美術館

ベネッセハウス(香川県/直島)

香川県直島にある「ベネッセハウス」は、安藤忠雄氏が全体設計した直島文化村プロジェクト・ベネッセアートサイト直島の中核施設。周辺環境との一体化、その土地の個性を際立たせるような建築をテーマとし、彼の環境一体型建築の代表作とも言える作品です。
1992年の本館・ミュージアム(旧 直島コンテンポラリーアートミュージアム)竣工を皮切りに、1995年には別館・宿泊専用棟「オーバル」、2006年には別館・宿泊専用棟「パーク」「ビーチ」が竣工しました。

安藤建築といえば、コンクリート打ち放しのミニマルなデザインを思い浮かべる方も多いでしょう。そんな彼の作品の中で、「ビーチ」と「パーク」は数少ない木造建築です。高台から下ったところに位置するこの建物は、周囲の林にとけ込むようなデザイン。さらに、リサイクルしやすい集成材を使うなど環境にも配慮されています。

海辺に建つ「ビーチ」の客室では、大きく取られた窓から、一面に広がる瀬戸内海や四国の山並みを眺めることができます。室内に展示された作品をはじめ、回廊やホワイエなど館内の各所でアートに触れられるのは、ベネッセハウスに宿泊した方だけの特権です。

シンプルを突き詰めたアート作品のようなホテル

瀬戸内リトリート 青凪(愛媛県/道後)

小高い丘の上から瀬戸内海を臨む絶景のロケーションに、ゲストハウス兼美術館として、安藤忠雄氏が設計・建築を手がけた「エリエール美術館」(1998年竣工)。2015年4月に閉館の後、再び安藤忠雄氏の手によってリニューアルされ、同年12月に全7室のスモールラグジュアリーホテル「瀬戸内リトリート 青凪」として生まれ変わりました。

「余計なものを削ぎ落し、本当の自分を取り戻す」ための「MINIMAL LUXURY」をコンセプトとしたこのホテル。その佇まいはホテルというよりむしろリトリート(隠れ家)のよう。瀬戸内の自然に包まれた環境の中に、ガラスと打ち放しのコンクリートの建物が静かに佇みます。水面が瀬戸内海と繋がるような30mの屋外プール「THE BLUE」は、ホテルの象徴ともいえる特別な空間です。

全7室が100平米以上のオールスイート仕様。ホテル最上階にある「THE AONAGI スイート」は、高さ8mもある大きな窓から眺める瀬戸内海の絶景が自慢です。室内に置かれたメープル材の家具なども、竣工当時に安藤忠雄氏自らがセレクト。インテリアにも安藤忠雄氏のこだわりを感じられるのは、このホテルならではです。

様々な作品で構成された安藤忠雄ワールドに泊まる

ウェスティンホテル淡路(兵庫県/淡路島)

関西国際空港をはじめとした大阪ベイエリア開発のための土砂採掘地を、人の手で再び緑の大地に甦らせようと建設された「淡路夢舞台」(2000年竣工)。自然の地形を活かすように、ホテルをはじめ、国際会議場や植物園など複数の施設が整備された複合リゾート施設です。

その一角に建つ「ウェスティンホテル淡路」は、淡路夢舞台の中心施設の一つ。このホテルも安藤忠雄氏による設計です。全室バルコニー付&オーシャンビュー。窓を開ければ優しい潮風がカーテンを揺らし、リゾート気分を高めてくれます。中でもホテル北側8階以上の客室は、淡路夢舞台の建造物群や、隣接する国営明石海峡公園を一望できるのが自慢です。

ホテル2階にある「海の教会」もまた安藤忠雄氏デザイン。極限まで削ぎ落されたシンプルな造形の中に、海を思わせるようなブルーのカーペットが印象的です。コンクリートの天井に刻まれたガラスの十字架は、太陽の光に照らされると、正面の壁に光の十字架を映し出します。結婚式が行われていなければ見学も可能。他にも敷地内には多くの安藤建築が点在しているので、安藤ワールドを存分に楽しんで。

個性的なデザインが自然と調和する海辺のリゾート

TOTOシーウィンド淡路 (兵庫県/淡路島)

1997年に竣工した「TOTOシーウィンド淡路」(旧 TOTOセミナーハウス)。淡路島東部の大阪湾に沿い、約100mの高低差を持つ約45度の急斜面に建つ、安藤忠雄氏設計によるリゾートハウスです。海に向かって突き出す東西の軸に、数本の軸が突き刺さるような個性的なデザイン。各部屋からの眺望を確保しつつも、周囲の環境に馴染むよう地形を活かした建物は、エントランス、客室、ダイニングなどが8層にわたって積み重ねられています。

館内の至るところで海を感じられるこのホテル。最上階8階のフロントと、ラウンジスペースのある7階を繋ぐ大階段の正面には、1フロア分もの高さの大きな窓。その先には、雄大な大阪湾を眺めることができます。まるで壁一面に広がる絵画のように、自然の景色をインテリアの一部として取り入れ風景との一体感を目指した空間は、安藤建築の特徴を強く表しています。

大阪の中心地に佇む近未来建築

アルモニーアンブラッセ大阪(大阪府/梅田)

大阪の中心地・梅田にある「チャスカ茶屋町」(2010年竣工)は、書店やマンション、ホテルなどで構成される複合商業施設。「アルモニーアンブラッセ大阪」はその10階~23階を占めるウエディングホテルです。ホテルの外観を含むビル全体の設計と、23階にあるホテルのチャペルを安藤忠雄氏が設計しました。三角構造になっているのがホテル部分。角度によって様々な表情を見せ、安藤建築の世界観を感じることができます。

最上階23階にあるチャペルは、建物の三角構造を活かして船をイメージ。両サイドの壁がガラス張りになっており、目の前には180度大阪の街並みが広がります。まるで天空に浮かんでいるような絶景を見られることから「天空のチャペル」と呼ばれているのだそう。チャペルは宿泊者と結婚式参加者以外は見ることができないので、ぜひホテルに宿泊して安藤忠雄氏による天空の空間を体験してみては。

現在、国立新美術館では、開館10周年を記念して「安藤忠雄典―挑戦―」を開催中(2017年9月27日~2017年12月18日まで)。展示を通し、建築家としての道程や、建築の特徴、そして根幹にある哲学を知れば、ホテルの滞在がより楽しく、刺激的なものになることでしょう。

国立新美術館(東京都)
「安藤忠雄典―挑戦―」
http://www.nact.jp/exhibition_special/2017/ANDO_Tadao/

この記事が気に入ったらシェア!