熊本県の南西部に位置し、大小約120の島々からなる天草諸島。この島々のうちのひとつ、島全域が国立公園に指定されている「樋合島」に佇むのが2024年に開業したラグジュアリーリゾートホテル 「TAYUTA」です。今回は編集部が実際に宿泊。食や絶景、そしてスタッフの方々の温かさ……。天草でしか出会えないこの土地ならではの魅力で満たされる上質なひとときをご紹介します。
目 次
“聖なる島”に立つ宿で過ごす、特別なひととき


熊本県の南西部に位置する天草諸島にあるラグジュアリーリゾートホテル「TAYUTA」。島全域が雲仙天草国立公園に指定されている「樋合島」に佇んでいます。熊本空港からは車で約1時間半、ヘリを使ってのアクセスも可能で、まさに特別な滞在にふさわしい宿。エントランスを抜けると約50メートルにもおよぶ大きなガラス窓越しに天草の絶景が広がります。


景色の美しさに魅了されつつ、まずは「ラウンジ」にてチェックイン。ウェルカムドリンクのシャンパンやノンアルコールのスパークリングワインをいただきながら、ソファでゆったりと手続きを行えます。スタッフの方がこの場所がかつて山だったこと、ここから見える島々のことなど説明してくださり、これから始まる滞在に胸が高鳴りました。


「ラウンジ」の外には、開放的なテラスが広がりゲストは自由に出入り可能です。ゲストは最大でも1日12組なので混みあうことはありません。海風に乗ってほのかに香る潮の香りや、今までに見たことのない形の島々が、非日常のひとときを彩っててくれるでしょう。ゆったりと海を横切る船を眺めたり、青空のもとで本を読んだり……楽しみ方は人それぞれ。


訪れた日は梅雨の時期。時折雲がかかり雨も降りましたが、しっとりとした天草の景色もまた幻想的でした。雨水を集め排水するための「雨どい」をあえて設けておらず、屋根から雨水がしたたる様子すら、美しいアートのように感じられます。天候にとらわれず、滞在を楽しめることもこの宿の魅力です。
最上級客室「AMAKUSA suite」で、ラグジュアリーな滞在を満喫


さっそく客室へ向かいましょう。全12室で、すべて一棟貸しのプライベートヴィラ。ラウンジやレストランがある本館棟からは数十メートル離れていて、スタッフの方が運転するトゥクトゥクで移動します。

今回は、宿の最上級客室の「AMAKUSA suite」に宿泊しました。高杢島を望む「TAKAMOKU suite」と並んで人気の客室だそう。


建物の広さは約119平米で、プールやサウナなどを含む敷地面積はなんと600平米以上。海抜40メートルほどの高さに位置する室内からは海や天草の島々をパノラマで見渡せます。隣のヴィラとは距離があるためほかのゲストの気配すら感じない贅沢なプライベート空間です。


すべての客室に内風呂または露天風呂が備わり、地下820メートルから引いた自家源泉が注がれます。各地で泉質が異なるという天草の温泉。「TAYUTA」では茶褐色の「天草金泉」を掛け流しで堪能できます。温泉は心地よい香りと、滑らかな肌触り。海を眺めたり、鳥のさえずりに耳を傾けたりしながら、贅沢な湯浴みを楽しみました。塩分濃度が濃いため湯上りはすっかりぽかぽかに。


湯上りの火照った体を冷ますのにぴったりなのが冷蔵庫内のドリンクやデザート。アルコールをはじめ、天草産の柑橘類を使ったジュースやゼリーなどお酒が飲めない方でも十分楽しめるランナップです。すべて宿泊料金に含まれていて、シェフ手作りの2種類のアイスクリーム(天草蜂蜜アイスクリーム/天草柑橘シャーベット)も。細部にまで天草の素材や品を取り入れる、宿のこだわりを感じました。


お茶菓子は宿の運営会社が手がける「菓子屋 果乃璃」のクッキー。熊本市内に店舗を構える人気の菓子店です。室内にはオリジナルのコーヒーや紅茶もあり、天草陶器のカップでいただけます。カップの柄は客室ごとに異なるそう。


シャンプー類は、環境に配慮したオーガニックコスメを扱う国内ブランドの「NEMOHAMO」を採用しています。就寝時はボディーミルクの心地よい香りに包まれすっと眠ることができました。スキンケアセットも同ブランドで揃えてます。シートマスクまで用意されているので、手ぶらで訪れても安心ですね。


アメニティ類は環境への配慮から、木製のものを中心にしています。ドライヤーは「ReFa」製です。全室にヘアアイロンが備わるのは、女性にとって嬉しいポイントですね。


ベッドルームの海側には窓がひとつあります。ベッドは、寝転びながら景色が良く見えるようにと計算された高さになっていて、ずっと寝転んでいたくなるような心地よさ。マットレスは、程よい硬さにこだわったというオーダーメイド品です。体への負担が少なく、朝は気持ちよく目覚めました。ベッドの後ろ側には、仕事などができるスペースがあり、充電器類などもここに常備されています。


「AMAKUSA suite」には、景色を楽しめるプライベートサウナも備わります。サウナ内でセルフロウリュウもできる贅沢な作りです。サウナからの動線もばっちりのプールは、サウナ後の水風呂としても使って良いとのこと。客室には湯浴み着やタオルなど、サウナを利用する際の道具が一式準備されています。
ハーバービューや温泉を堪能できる「HARBOR suite」


続いて「HARBOR suite」も見学しました。島内にあるマリーナのメインバース側を向いていて、ハーバービューを楽しめる客室です。宿内ではもっともコンパクトな客室ですが、それでも広さは建物だけで約86平米。テラスなどを含む敷地面積は500平米以上もあり、定員の2名で過ごすには十分すぎる広さです。

リビングと一続きになっている寝室には、キングサイズのベッドが1台。屋根付近には一部にガラスの窓があり、ここから朝日が差し込む設計になっているそう。気持ちのよい目覚めを叶えられそうですね。


浴室は大きなガラス窓を備えた温泉の内風呂です。丁寧に磨かれたピカピカの窓ガラス越しの景観は、露天風呂に引けを取らない印象でした。浴槽は、2人で入ってもゆとりがあるほどの十分な大きさ。シンクのデザインやシャンプーなどのアメニティは全室共通です。
天草の旬食材をふんだんに盛り込んだ“天草コンヴィヴィアリティ”


夕食は、本館棟内にある「restaurant U」にて。席はラウンジからつながる大きなガラス窓を向いていて、どの席からも景色を楽しめる造りです。すぐ後ろにあるオープンキッチンからはいい香りが漂ってきたり、調理の音が聞こえたりするので、次の料理は何かと常にワクワクしました。


「天草には美味しい食材がたくさんあるんです。」スタッフの方の言葉通り、メニュー表には、天草の海の幸・山の幸の名前がぎっしりと書かれていました。“天草の魅力を余すことなく伝えたい”という宿の思いから、少量ずつ、なるべく多くの旬の地元食材を使っているのだそう。料理を引き立てる器は、すべて天草陶器や磁器を使用。約30もあるという天草の窯元の中から、7人の作家によるこだわりの作品を採用しています。

フレンチや日本料理、中華までジャンルを問わない料理の一品一品に、驚きや感動がありました。3品目に登場したのは熟成させたクエのフリット。添えられているのは種類が豊富だという天草で“採れたて”の海藻と無農薬ハーブを使ったサラダです。今までに食べたことのない海藻の弾力と甘みにびっくり。天草のレモンと塩のみというシンプルな味つけが、海藻やハーブの味わいを一層引き立たせていました。

地元の鮮魚は“鮨”で登場。あぶったイサキはグレープフルーツとハーブで、天然のオニオコゼはすだちと天草塩でいただきます。ネタの旨みが口いっぱいに広がり思わず笑みがこぼれました。真ん中には旬を迎えたムラサキウニ。新鮮な海藻をエサにしていて、さわやかな甘さと味の濃さが天草産の特徴です。添えられているのは、知る人ぞ知る天草産の「すじ青のり」。


続々と登場する天草を中心とした地元食材を使った品々。料理と一緒に楽しみたいドリンクも充実しています。おすすめは、アルコール・ノンアルコールとも9種類用意されたペアリングです。貴重なワインや日本酒から独自のブレンドのノンアルコールカクテルまで、こだわり抜かれたラインナップで、それぞれが見事に料理と調和します。アルコール・ノンアルコールともに同じグラスで提供されるため、お酒が飲めなくても飲める人と同じように楽しめることも嬉しいですね。

メインは、赤身にこだわった「船小屋牛」のフィレ。濃厚な肉の旨みを感じながらも後味はさっぱりしていて、この時点で11品目でしたがさらりと完食しました。


大きな体が特徴の地鶏「天草大王」を使ったスープのラーメンで食事は終了。その後2品のデザートとプティフールをいただきます。16品すべてにおいて、食材についてはもちろん、生産者の方のこだわりやお人柄まで教えていただき、濃厚なひとときとなりました。使われた地元食材はなんと30品目以上。“美味しい”のはもちろんのこと、天草への理解も深まる充実の食事時間を体験してみてはいかがでしょうか。
眠りにつくその瞬間まで、幸福感に包まれる


日が落ちると客室の雰囲気も、一段と幻想的に変化します。客室に備わる木材を使ったゲームを楽しんでみたり、テラスに出て星空を眺めたりと夜の「TAYUTA」も過ごし方は多様です。

パジャマはやわらかな肌触りのセパレートタイプ。夜風にあたりながら温泉を堪能した後、ふわふわのパジャマに身を包んで眠りにつきました。
朝の目覚めにぴったりな“天草の恵み”をプライベート空間でいただく


朝食は、最大6人まで利用可能なプライベートダイニング「AMATA」でいただきました(夕食でも利用可能/別途個室料がかかります)。個室専用の扉から中に入るため、ほかのゲストとは顔を合わせることはありません。室内は二面採光となっていて“天草富士”とも呼ばれる高杢島や有明海を見渡しながら食事ができます。天気の良い日は雲仙・普賢岳も眺めることができるそう。

食事はサラダからいただきます。野菜や果物、ハーブが見事に調和した朝の目覚めにふさわしい一皿。天草市内の「土浦」という地で獲れた色鮮やかなヒオウギ貝は、天然の色だそうで、朝の食卓を鮮やかに彩ってくれました。もちろん朝食も天草で造られた器に乗せて提供されます。


ご飯は、天草産の「コシヒカリ」。無農薬にこだわる「福田果樹園」のもので、さっぱりとした味わいの中にも甘みを感じます。この炊き立てご飯に合わせるおかずは“TAYUTAの極上三段重”です。ひとつは、天草で獲れたタコやアコウといった鮮魚。天草マグロのネギトロは、有明の海苔とともに手巻きスタイルでいただきます。もうひとつは、こちらも天草で獲れたサバの焼き物。骨は丁寧に取り除かれ、一口サイズにほぐされていてとても食べやすかったです。最後は天草黒牛のすき焼き。ほどよいサシと肉の甘みが広がり朝から贅沢な気分になりました。


食後はコーヒー「TAYUTA朝ブレンド」とともに自家製のお茶菓子をいただきました。景色を眺めながらほっと一息。心地よい満腹感とともに、食事を終えたことへの名残惜しさすら感じました。

天草の絶景やこだわりの食事に一流のおもてなしと、旅の醍醐味が凝縮されたような滞在が叶う「TAYUTA」。“いつまでもここに居たい”と思うような、ラグジュアリーながらも居心地のよい空間でした。

2024年の開業から間もなく1年。今後は天草の魅力を伝えるイベントの開催やスパサービスの導入、果樹園での野菜や果物の栽培にも力を入れることなどが予定されていて、ますます魅力を増す「TAYUTA」から今後も目が離せません。天草の海を“揺蕩う”ように過ごす上質なひとときを体験しに、足を運んでみてはいかがでしょうか。
TAYUTA
熊本県/上天草市












