京都のシンボル的な景色のひとつ、鴨川。その鴨川沿いにあるのが、今回紹介する「鴨半」のお宿です。元々あった一棟貸しの町家宿「 Hanare(一棟貸し)」に加えて、2024年5月には隣りに「OMOYA」をオープン。お宿は、鴨川のせせらぎを独り占めできる、なんともミニマルな空間でした。「鴨半」の新たなお宿「OMOYA」の見どころを紹介します。
目 次
茶の文化・侘び寂びの心が宿る静謐な空間

「鴨半」の新たなお宿「OMOYA」は、五条大橋から徒歩すぐ。昔ながらの風情が残る、川沿いの細い道を進んでいった先にあります。

「OMOYA」の1階は、北に隣接する「池半」の分室。「池半」とは「鴨半」のオーナーである茶人の小嶋万太郎氏が営むお茶屋さん。茶葉や茶器販売のほかゆっくりとお茶をたのしむ茶席のコースがひらかれています。
その後、こちらの「OMOYA」がオープンし、1階にはその分室も作られたというわけです。


「池半分室」は、宿泊するゲストはもちろん、一般の方も予約なしで入れるお店(営業時間:11:00~17:00/水曜定休)。

端正な茶室のように、余計なものが何一つない空間は、足を一歩踏み入れるだけで、和の美意識がそこかしこから感じられます。

ゲストはこちらでチェックインの手続きを。ウェルカムティーは、この空間でいただくか、もしくは部屋まで持ってきてもらうことも可能です。

部屋の鍵は、見た目も可愛らしいアンティークキー。「OMOYA」は、2階の「Omoya スイート(和洋室)」と3階にある「Omoya スイート(洋室)」の2つの部屋からなります。
まずは2階の「Omoya スイート(和洋室)」から。
目の前には鴨川。茶室もある特別な部屋

部屋に行くにはいったん「池半分室」を外に出て、階段を上り2階へ。玄関もあり、一棟貸しのお宿の気分です。

扉を開けると真っ先に飛び込んでくるのが、この鴨川の絶景!!高さがあるため、1階からの眺めとはまた違う、川の流れまで見えるのが魅力です。ガラス越しに、切り取られて見える鴨川はまるで絵画のよう。

部屋には寝室・リビング・縁側のほか、茶室まであります。
畳の空間は、茶室や数寄屋建築を多数手がける数寄屋大工の木村全伸氏によるもの。
茶室の床の間の壁はコンクリートにモルタルという異質な組み合わせですが、モルタルには茶葉が混ぜ込まれているという遊び心も。畳はい草ではなく、七島藺(しちとうい)という貴重な素材で作られています。ここはぜひ素足で、七島藺の心地よさを体験してみてください。畳の縁に使用している木材に江戸時代の古材を取り入れています。
部屋には、茶人のほかギャラリストとしての顔をもつ小嶋さん目利きの家具やアート作品も置かれています。部屋のしつらえは購入することも可能とのことです。また、リモコンやティッシュが和紙製のボックスにしまってあるなど、部屋の隅々にまでオーナーの美意識が行き渡っているのを感じました。

縁側の横には、コンロが一口ある使い勝手の良さそうなミニキッチン。


冷蔵庫に電子レンジ・電気ケトル等、調理に必要なものは一通り揃っています。調理器具などの貸出もしているので、必要な方はぜひフロントまで。

部屋に置いてあるミネラルウォーターは、「鴨半」の地下30mの井戸水を汲み上げたものだそうで、まさにナチュラルウォーター。

長期滞在の方も安心、ドラム式洗濯乾燥機もありました。

モダンなコンクリート打ちっ放しのスペースがあるかと思えば、こちらは壁全面に和紙が張り巡らされた寝室と、伝統美とモダンデザインが共鳴する、心地よい非日常の空間が広がっています。

パジャマはオリジナル。クタッとした生地で、着心地も良さそう。2本指ソックスもありました。

外国からのゲストには浴衣が人気とのことで、浴衣の用意もあります。

黒タイルに木材を使った重厚感のあるバスルーム。

アメニティーは京都発のブランド「kiro.」を採用。全製品に7種類の天然フルーツエキスが配合されているそうです。

バスルームには天井から降り注ぐオーバーヘッドシャワーとハンドシャワーが付いています。


パウダースペースに置かれたアメニティーはオリジナル。麻のバッグに1人分ずつ用意されていました。歯ブラシは竹素材で、歯磨き粉ならぬ「歯磨きペーパー」がセットになっており、環境に配慮したアイテムがセレクトされています。
湯船に浸かって鴨川のせせらぎを独り占め
続いて3階の「Omoya スイート(洋室)」へ。

玄関を入って部屋を見渡すと、こちらも絶景!

高さが変わるとまた見える景色が変わります。真ん中にキングベッドが設置され、寛ぎながら、鴨川の流れを楽しむことができます。

ベッドの脇には縁側のような畳のベンチシートが備わります。

何といってもこの部屋の魅力は、窓際にあるお風呂!湯船に浸かりながら、京都の自然を一望できる特別な造りとなっています。


取材に行ったときはちょうど紅葉真っ盛りのタイミング。ガラス越しには、川沿いに並ぶきれいに色づいた木々を眺めることができました。季節ごとに違った景色が楽しめるのもいいですね。シャワールームとパウダースペースは部屋の入り口側に。

こちらの部屋にもミニキッチンが設置されています。
2階の「Omoya スイート(和洋室)」と3階の「Omoya スイート(洋室)」、どちらにもそれぞれほかのお宿にはない魅力があって、選ぶのにも迷いそうですね。

一棟貸しの町家宿「HANARE」では、京料理「泉仙」の朝食を用意してもらえます(事前予約制・有料)。お宿がある五条周辺には飲食店も多く、京都駅や繁華街の河原町、祇園も徒歩圏内。ぜひ京都ならではのおいしいものをたっぷり買い込んで、部屋で楽しむのはいかがでしょうか。
細部に宿る美とこだわりの空間を取材して感じたのは、ここはただ、この部屋で過ごすためだけに訪れたくなるお宿だなぁということ。窓からの絶景はもちろんのこと、部屋のしつらい、置いてある家具、部屋に使われている素材。そのすべてが計算され尽くした空間で、心が静かに満たされていく。ここでなら、そんな贅沢な滞在が叶うような気がしたのでした。
鴨半
京都府/清水五条












