2024年3月、長野・蓼科の旧宮家別邸跡地に誕生した「ホテル ドゥ ラルパージュ」。フランスの邸宅を長野に持って来たかのような気品ある館内には、大人が憩う上質な空間が広がります。今回は実際の滞在を通し、優雅なオーベルジュでの一日をご紹介します。
目 次
瀟洒な館で“本物の上質”に触れる

自然豊かな蓼科高原。「ホテル ドゥ ラルパージュ」は、観光山岳道路の1つ「ビーナスライン」に隣接する風光明媚な場所に佇んでいます。
「ラルパージュ(l’alpage)」とは、フランスのアルプス地方の方言で、夏の高原の牧草地を意味するそう。今回夏の終わりのタイミングで訪問しましたが、青空に映える白亜の外観はとても美しく、これから始まる滞在に心が躍りました。

宿のテーマは“上質で快適な日常”。日々の暮らしに本物の上質さを感じてもらいたい、という思いが細部にまで込められています。エントランスから一歩足を踏み入れると、高い天井にかかるシャンデリアに目を奪われることでしょう。

チェックインはこちらのお部屋で行います。華やかなボールルーム・ブルーという名前の、舞踏会会場をイメージした華やかな青色の壁が印象的。館内の壁紙やペイントはイギリスの「ファロー&ボール」社のものを採用したそうです。
アンティークのシャンデリアは18世紀に栄華を極めたルイ15世様式(制作は19世紀の品)で、華やかなりしロココの面影をまとっています。客室は全12室と少ないため、チェックインのスペース以外の場所でも柔軟に対応ができるとのこと。

続いて、1階の主要部分を占める「ウィンターガーデン」へ。鉄とガラスの屋根、そして扁平型のアーチが特徴です。19世紀のフランスで見られた建築様式を匂わせ、白い壁がどことなく美術館やギャラリーのような雰囲気を醸します。
天井の大きな窓からあふれる光は時間帯によって様々な表情を見せてくれます。置いてある雑誌や書物と共に、ゆったりとしたひとときが過ごせました。

さりげなく置かれているのは「リモージュ」のアンティークのドアノブを額装したもの。

優しく暖かい色彩、壁に掛けられた大小の絵画など、憧れのフランスの邸宅に訪れた気分で、見て回るだけでもワクワクします。
空間美と機能性にこだわった客室

続いて客室へ。客室の通路にも版画やデザインなどの作品が飾られ、行き来の間に眺めるだけでも心にゆとりができるような気がします。

まずは2階の「エグゼクティブルーム」へ。2階の客室は天井の高さが3メートル強もあるそうで、窓も大きくとても明るく感じます。

19世紀パリの中級アパートメントのサイズを元にデザインされていて、ゆったり落ち着いた空間となっています。

このお部屋はテラス付で、チェアに腰かけてゆったりとした時間を過ごせそうです。

バスルームも天井が高く、バスタブは大人が足をのばして寛げるほどの広さ。窓越しに青々とした木々の風景を眺めることができます。

バスアメニティはフランスのスキンケアブランド「SOTHYS」のもの。

続いて3階の「エグゼクティブルーム」へ。今回、私はこちらのお部屋に宿泊しました。ヨーロッパの屋根裏部屋を彷彿とさせる斜めの天井と、お洒落な屋根窓が個性的です。ベッドはセミダブル2台のハリウッドツインタイプ。

それぞれのお部屋には本棚があり、フランスで買い付け、セレクトされた書籍が並んでいます。アートの図録や建築についての書などがあり、空き時間にパラパラとめくって楽しみました。

その奥にはハイチェアのカウンターがあります。

宿の周りにはコンビニなどが無く、客室内でゆっくり過ごしてもらいたいという気持ちから、冷蔵庫内の飲み物やスナック、コーヒーなどは無料でいただけます(一部シャンパン、スピリッツを除く)。ソフトドリンクも長野産のものが置かれ、こだわりを感じました。


ルームウェアはロゴ入りのセパレートタイプ。さらりとしていて着心地が良かったです。バスローブは表面がふわふわとしていて、包み込まれるような感触が気持ちよく、お風呂上りにずっと着ていました。

バスタブは横に長い台形のような形で珍しかったです。

シンクの周りにはアメニティが揃います。「ReFa」のヘアドライヤーとアイロンに「SOTHYS」のソープとボディーローション。備え付けのハンドソープ・ハンドローションはとても良い香りがして、洗うたびに幸せな気持ちになりました。

「スイートルーム 31」のお部屋も特別に見せていただきました。126平米の広さで、リビングスペースとベッドルームに分かれています。

角部屋のため壁側にも窓があり、斜めに傾いた屋根窓はパリのアパルトマンのようでとても素敵でした。

お部屋1つ分くらいのウォークインクローゼット。

ベッドルームはダブルベッド2台のハリウッドツインタイプで広々としています。晴れた冬の朝には、窓から遠く八ヶ岳の雲海が見えることも。

バスタブはジャクソン社の円形タイプ。大きな窓の外にはテラスがついているので、湯上りに屋外でのんびりするのも良いですね。

パウダースペースはツインベイシンで、奥にドレッサーも用意されています。
“毎日食べられるご馳走”が楽しめる本物のフランス料理

オーベルジュの名の通り、レストランには並々ならぬこだわりがあります。「ル・ジャルダン」は、陽光が差し込む落ち着いた空間で、地元の食材を活かしたオーソドックスで食べ飽きないフランス料理がいただけます。

このレストランが目指すのは、朝も昼も夜もすんなり美味しく食べられる“毎日食べられるご馳走”。料理は、フランス各地の星付きレストランで腕を磨き、有名店の料理長を歴任した東敬司シェフが監修。伝統的なフランス料理を作ることを得意とし、季節ごとに変わる素材の味を感じる一皿が供されます。

この日のアミューズは、自家製のスモークサーモン。シャンパーニュと合わせていただきます。リモージュの磁器ブランド「アビランド」のお皿に特注でホテルロゴを刻印してもらうほど、器にもこだわりが感じられます。

ワインは、シャンパーニュ騎士団の「騎士」でもあるソムリエが、料理と好みに合わせてセレクトしてくれます。ホテルで出しているワインは、全てフランスから直接輸入したもの。2,000本以上の安定したコンディションを保つワインがセラーにあるそうで、料理とのマリアージュも完璧です。

抜群に美味しかったのは「鴨とフォアグラのテリーヌ グリーンペッパー風味」。アクセントにコンソメジュレとマスターシード、イチジクが添えられており、テリーヌに合わせていただくと酸味や風味が肉の旨みと折り重なり、食べ応えがありました。

メインは2種類から選べます。「信州黄金シャモ腿肉のシードルヴィネガー煮込み トリュフ添え」は秋の時期にぴったりな一品。長野県が信州ブランド食材として開発した「信州黄金シャモ」は弾力があり、噛むほどに鶏肉の旨みが口いっぱいに広がります。シードルヴィネガーの甘酸っぱさとコクのあるクリームが味に深みを与え、多めのボリュームながらぺろりと平らげました。

「特選 国産牛フィレ肉のグリエ マデラソース」はテーブルにてマデラソースの仕上げをしてくれます。和牛のジューシーな味にコクを感じるソースが絡まり、奥行きを感じます。付け合わせの新鮮な信州野菜と共に満喫しました。

パティシエ特製デザートは、ワンプレートに見た目も華やかな数種類のデザートが盛り付けられています。

食事の前後には、ぜひライブラリーとシガールームを併設したバー「ル・レーヴ」に立ち寄りましょう。

重厚感のある内装で、ヨーロッパ文明の厚みを感じられる画集や写真集などを幅広く取り揃えたライブラリーを併設。

コニャックなどの蒸留酒や薬草酒など、フランス産や各国の銘酒がバックバーに並びます。バーの奥にはシガールームもあり、食後の余韻を楽しめることでしょう。

上質な寝具でぐっすり寝たからか、自然の音と共に目覚めた朝は、身体がとても軽く感じました。寝起きの一杯には、搾りたてのオレンジジュースで目を覚ましましょう。

朝食はハーフブッフェ形式となっていて、蓼科産の野菜を使ったサラダやシャルキュトリー、フルーツなどを自由にいただいてから、セットメニューをいただきます。

「アメリカンブレックファスト」は八ヶ岳高原卵を使用した卵料理。今回はふわふわのオムレツにしました。ベーコンやソーセージ、温野菜に野菜のスープ、サクサクの焼きたてパン数種類と盛りだくさん!一つ一つが上質な素材を使っていて、とても新鮮で美味しかったです。

「ガレットブレックファスト」は「コンプレ(卵・ハム・グリュイエールチーズ)」と「ナチュラル(バター・ミックスベリー・蜂蜜)」から選べます。今回は「コンプレ」を作っていただきました。とろりと溶けたグリュイエールチーズが卵とハム、そば粉のガレットに絡み合い、素朴ながらも癖になる味わいです。

フランス料理の夕食の後は和食が良いというゲストのために「お粥御膳」も用意。小さな小鉢がついていて、ほっと一息つける味です。
チェックアウトまでのんびりと敷地を散策

朝食後は、腹ごなしに敷地内のお庭を散策。テラスで紅茶やコーヒーを飲みながら、ゆっくり過ごすゲストも多いそうです。

また、館内の螺旋階段横には特注のステンドグラスがあり、ちょうど朝の光に照らされたタイミングが美しく映るとのこと。1階から3階まで続くステンドグラスを眺めながら螺旋階段を降りれば、自分が物語の登場人物になったような気持ちになりました。
厳選された本物の調度品に囲まれて、優雅なフランスの日常を心に取り込む、そんな贅沢な体験が叶う「ホテル ドゥ ラルパージュ」。蓼科に誕生した美しい館で、記憶に残る滞在をしてみませんか。
ホテル ドゥ ラルパージュ
長野県/茅野市












