「秘湯」とは、交通の便が決して良いとは言えないような山奥や大自然の中にひっそりと存在する温泉のこと。手付かずの自然に囲まれた秘湯の宿は、日本の原風景に出会える場所として温泉通をはじめ、国内外から注目を集めています。今回は、ここだけの絶景や個性的な泉質が魅力の、冬に行きたい秘湯の温泉宿をご紹介します。
目 次
1.出掛ける価値ありの、特別豪雪地帯での湯浴み
山人-yamado-(岩手県/湯川温泉)

毎年2メートルほどの積雪を記録する、全国有数の特別豪雪地帯・岩手県西和賀町にある「山人-yamado-」。この宿ヘは東京から東北自動車道と秋田自動車道を使って6時間弱かかりますが、除雪体制がしっかりしており、冬でも車でのアクセスに支障はありません。

むしろ、雪深い冬こそ、山人の魅力が発揮されるシーズン。12ある客室はすべて源泉掛け流しの半露天風呂付で、泉質はナトリウム-硫酸塩・塩化物泉。目の前を川が流れる野天風呂「湯場一寸」では大粒の雪がもつもつ(地元の言葉で大粒の湿った雪が大量に降る様子)と降る中での湯浴みとなって、非日常感たっぷり。この宿に来れば、雪は辺りの雑音を消すように降ることを体感できますよ。

ジビエや山菜など、山の恵みを謳歌できるお料理も好評です。
山人-yamado-
岩手県/湯川温泉
2.白化粧した貸切露天の「深碧」で、記憶に残る湯三昧
土湯別邸 里の湯(福島県/土湯)

磐梯朝日国立公園内に立つ「土湯別邸 里の湯」。冬は平均1メートルほどの雪が積もるので、車で向かう場合はスタッドレスタイヤがおすすめ。運転に自信がなければ、JR福島駅西口から定額タクシーも運行されています。

原生林の中に佇むだけあって、渓流沿いにある露天風呂の「深碧」は別世界。岩や杉の木々が少しずつ白く化粧されていく様を眺めながら入る温泉は、必ずや記憶に残る湯浴みに。長い回廊階段を下っただけの甲斐があると、誰もが実感するに違いありません。

湯は単純温泉。「こぶし」と「花村」では、お部屋でも源泉掛け流しの露天風呂での入浴が可能です。クセの無い柔らかな湯を、いつでも、何度でも楽しみましょう。
土湯別邸 里の湯
福島県/土湯
3.雪をかぶった合掌造りの風情を味わう
日本の宿 ひだ高山 倭乃里(岐阜県/高山)

飛騨山麓を借景にして立つ「日本の宿 ひだ高山 倭乃里」。1万5,000坪の敷地の中に、客室はわずか8室だけ。水車が回っていたり、囲炉裏のあるラウンジでは「かっぽ酒」が振る舞われたり。昔ながらの日本の風情が伝わるもてなしが好評です。

特に、雪を載せた合掌造りの茅葺きの離れは、まるで一幅の絵を見るよう。白川郷を思わせるその景色を間近にできるのは、冬ならではの醍醐味です。

岩風呂での湯浴みもお忘れなく。縄文時代の巨石の存在感に圧倒される大浴場で、この岩から微量のラジウムが放出されているとか。
弱アルカリ性低張性冷鉱泉に含まれるフッ素との相乗効果によって細胞の活性化も期待できるそうで「若返りの湯」と言われています。
日本の宿 ひだ高山 倭乃里
岐阜県/高山
4.日本有数の強塩泉と、登録有形文化財の木造建築が自慢
妙湶和樂 嵐渓荘(新潟県/越後長野温泉)

「妙湶和樂 嵐渓荘」がある越後長野温泉一帯は、2月には2メートルを超える雪が積もる地域。その雪の重みに長年耐えてきた宿は、重厚な造りの木造建築(旧館)で、趣の異なる3館に16室を備えています。

特に、昭和初期に燕駅前にあった旅館を移築した「緑風館」は、国の登録有形文化財。望楼を載せた3階建ての和建築に雪が降り積もる光景は、冬情緒にあふれ、ずっと見上げていたくなりますよ。

湯は、日本屈指の強塩泉、ナトリウム-塩化物冷鉱泉。湯に沈めた黒い那智石が、まだら模様になるほどの塩辛い療養泉で、深さ約130センチの貸切風呂「深湯」なら、雪見風呂の風情も増し増しに。ほのかに昆布茶のような味がする温泉水を使った朝食の名物の温泉粥も、ぜひ味わって。
妙湶和樂 嵐渓荘
新潟県/越後長野温泉
ひっそりとした環境で、ただゆったりと大自然と温泉に癒される。自分だけの特別な場所を見付けに、秘湯の宿へ出掛けてみませんか?












