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シェフと支配人が語る、あなたの知らないオーベルジュの世界【arcana izu編】
インタビュー

シェフと支配人が語る、あなたの知らないオーベルジュの世界【arcana izu編】 arcana izu(静岡県/伊豆・天城湯ヶ島)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴い、宿泊施設の営業内容が急遽変更・休止となる場合があります。宿泊施設・店舗の最新情報につきましては、当該施設まで直接お問い合わせください。

「露天風呂付客室」や「プライベートプール」など、旅好きな一休.comユーザーからの人気が高いキーワードはいろいろありますが、ここ最近特に人気が高まっているのが「オーベルジュ」。

今回は、一休.comユーザーからも人気が高いオーベルジュ「arcana izu」の支配人・佐々木 悟氏と、料理長・糸井 佑磨氏にZOOMインタビューを実施。オーベルジュの魅力から、「arcana izu」の料理のこだわり、おすすめの過ごし方まで、たっぷりと伺いました。

1.「arcana izu」が考えるオーベルジュとは

-「arcana izu」が考える「オーベルジュの魅力」を教えていただきたいのですが、その前に「オーベルジュ」について紐解きたいと思います。「オーベルジュ」とは何でしょうか?

(佐々木氏)
「オーベルジュ」は「文化」ということではないでしょうか。
もともとフランス発祥の「オーベルジュ」は日本語に直訳すると「食宿」です。地方の豊富な素晴らしい食材を新鮮な状態で手に入れ調理し提供したいというシェフが、レストランを地方に構え、地方にあるがゆえに、そのまま泊まれるように部屋の一部を提供したことからはじまったようですが、それがひとつのスタイルとして根付いたものが「オーベルジュ」です。

「arcana izu」が考える「オーベルジュ」を説明するにあたって浮かんできたのが「文明」と「文化」という言葉です。
「文明」と「文化」はどちらも様々な場面で使われていますが、「文明」は機能性や利便性の向上など経済的・物質的な豊かさの象徴であるのに対して、「文化」は具体的な形が無い抽象的で精神的な豊かさの象徴です。
「オーベルジュ」も当初は利便性から生まれたものかもしれませんが、ただ単にレストランとホテルという機能が結びついたものではなく、食材やその土地の特性などの地域性と密接に結びついて、それぞれの文化としてのオーベルジュが生まれていったのではないかと想像されます。

-「文化」と「文明」とは分かりやすい例えですね。ホテルとの違いに関してもう少し詳しくお聞かせください。

(佐々木氏)
誤解を恐れずに申し上げれば「ホテル」はどちらかというと「宿泊をする部屋」、「食事をするレストラン、カフェ」など機能性で説明されることが多いと思います。もちろん「arcana izu」もお部屋やレストランなどを備えておりますが、だからといって機能性や利便性を一番に打ち出しているわけではなく、伊豆という地方にある「arcana izu」でのすべてのご滞在を通じてゲストが情緒面でどう感じるかといったことを大切にしています。

ホテルは宿泊するだけの方もいれば、食事やお茶だけで帰る方もいて、滞在の目的は様々です。オーベルジュは基本的に地域性と食と滞在がセットになっているので、食を中心としながらハードやサービスの仕方が一体的に連なっていることが、ホテルとの大きな違いだと思います。

2.オーベルジュとしての「arcana izu」の魅力

-私自身、一度「arcana izu」さんに伺ったことがあるのですが、「文化」という言葉はとてもしっくりきました。その「文化」という切り口から「arcana izu」の魅力を教えていただけますか?

(佐々木氏)
「arcana izu」はお部屋にもこだわりを持って作っていますが、シンプルな造りであることが大きな特徴です。調度品も最新のきらびやかなものや、利便性を最重要視したものが備わっているわけではありません。それは、目の前にある自然を邪魔しないようにと、宿のコンセプトである“大人が自然に寛げる場所”を提供するために慎重に考えられているからです。例えば、敷地内には意外と不便なところがいくつかあるんです。

例えば、エントランスの地面には砂利が敷き詰めてあって、特に女性のゲストはヒールが挟まって歩きにくいと思われるかもしれませんし、3棟あるホテル棟は勾配があって通路には屋根がありません。
それは何故かというと、できるだけ自然の状態にしたかったから。砂利を敷いているのは、外界と宿との境目を足の裏で感じられるように、屋根がない通路は、傘を差したときの雨が当たる感覚や自然光を感じられるようにという情緒的な配慮のもとにデザインされています。

そんな空間で過ごすハイライトとして位置付けているのが、ディナーや朝食。滞在中、情緒的なものに触れることで心と体がどんどん解きほぐされていって、ディナーを食べたときに高揚感を迎えるという自然な流れが出来上がっていると思います。
人によって様々ですが、実際、食事を一番の楽しみにしているゲストがほとんどです。やはりオーベルジュなので食事は一番の重要な要素として欠かせないところですよね。

(糸井氏)
この話の流れで少し言いにくいのですが…… 僕としては、必ずしも料理を食べるために来るという感覚じゃなくていいんです。もちろん嬉しいことですが、旅行が成功するということがゲストにとって一番大事なので、その要素のひとつとして料理もあればいいなと思っています。

-私自身が「オーベルジュ=食事」というイメージでしたので、「料理を食べるために来るという感覚じゃなくていい」というシェフのお言葉には驚きました!

(糸井氏)
「食事に満足してそのまま眠りにつく」というのは誰もが幸福に感じる旅の醍醐味ですし、オーベルジュともなれば、それがより強く求められるのは確かです。ただ旅の目的は人それぞれですし、普段の環境から一歩離れたところで様々な体験をすることに意味がありますよね。旅先では、人はより主観的な観点でもって何かを感じたり、色々な考えをめぐらしたりすると思います。「情緒」をコンセプトワードにしているarcana izuでは、そんな人の心に働きかけるさりげない仕組みがあちらこちらにあって、寛ぎながらも良い意味での日常とは異なる感情の起伏が生まれると思っています。

そこで僕がディナーに想定している役割は「緊張」です。ゲストは「どんな料理が出てくるのか」と思っているでしょうし、カウンターキッチンですから僕たちも普通のキッチンで料理するよりも、より緊張しているんです。これは何年やっても慣れませんね。
食事が進むにつれて、ゲストが楽しんで頂けていれば、それが「緊張」から「緩和」へと移行していくのではないかと思います。

3.「arcana izu」の料理の特徴とこだわり

-山海の食材に恵まれた伊豆の地で、魅力ある生産者さん達との交流も多いかと思いますが、食材へのこだわりや料理への想いを教えてください。

(糸井氏)
静岡県、伊豆の食材は本当に種類も豊富でどれも一級品ばかりです。地元の生産者さんや魚屋さんとは頻繁に顔を合わせますので、非常に近しいお付き合いがあると言えます。その人がどんな思いで食材と向き合っているかがより理解でき、勉強させてもらっています。ですので、食材に触れ、単なる材料に留まらない愛着が生まれます。料理は人がつくるものですから、人との関わりが大きく影響を及ぼしますし、直接教えてもらった食材のバックグラウンドなどからインスピレーションを得ています。
料理人が皿に盛り付けるまでの様々な経緯や思いを反映させることにより、それが形に見えなくとも、ゲストの最終的な「美味しい」や「楽しい」に繋がればいいなと思っています。

もう1つあげるならば、僕たちのベースはあくまでもフランス料理にあり“料理人が手をかける”ということ。色々な考え方がありますが、食材同士の組み合わせを考えたり、適度に人の手を加えたりすることで、食材自体を超越する料理にしたてるこを目指すフランス料理的発想を大事にしています。よりシンプルに食材をそのままに近い状態でお出ししても最高においしい食材ばかりですが、それは食材であって素材としての味を超えることはできません。食材や生産者さんに対してのリスペクトを忘れず、僕なりのアレンジの効いた料理にしていきたいと思っています。

オーベルジュはフランス語ですし、フランス料理で有り続けることにはこだわっています。料理によっては、他のジャンルのものに見える事があってもいいし、実際に「ここは何料理ですか?」と聞かれることもありますが、最後の形、印象がそうであるだけで、プロセスは必ずフランス料理の理論に基づいてつくっています。

-手作りの器やメニュー表など、お料理以外にもシェフのこだわりが詰まっていると思いますが、プレゼンテーションに関してはどんなことを意識されていますか?

(糸井氏)
せっかく伊豆まで旅行に来ていただいているので、“旅の中にある料理”として思い出に華を添える役割でありたいと当初から思っています。「arcana izu」のテイストに寄り添ってナチュラルテイストなプレゼンテーションを意識しています。

レストランはカウンター席と奥にオペラシートがありますが、どちらも窓に向かって横並びになった造りになっています。目の前の景色を見ながら食事をしていただくので、景色とテーブル・お皿の上がリンクするように、見た目でもお客様に楽しんでいただきたいというのが一番の想いです。

例えば、最初のタパスで使う大きな台は、伊豆の自然や山々などから着想したデザインになっています。自分が実際に見たこの景色からこのようにプレゼンテーションしました、というストーリーが必ず語れるようにしていますね。

ちなみに朝食は“森の中のピクニック”をテーマにしていて、食べるのはレストランなので室内ですが、景色を見ながらワンプレートでピクニック気分を楽しんでもらえるようになっています。

-同じ料理を出さないというのは、ゲストにとっては毎回新しい発見があって楽しいですが、リピーターも多いとのことで決して簡単なことではないかと思います。メニューを考えることは大変ではないですか?

(糸井氏)
メニューは基本的に春夏秋冬で4回変わりますが、連泊されるゲストや同じシーズンにリピートされるゲストも多くいらっしゃるので、決して同じメニューはお出ししないようにしています。“この店ならこの料理”というスタイルのレストランもありますが、「arcana izu」では明確なスペシャリテをご用意しておりません。それは、“ゲストに合わせたおもてなし”をしたいというポリシーがあるからです。

料理を考えることは決して楽なことではないと思いますが、それは考え方によって受け取り方が変わります。僕たちは料理をつくり、ゲストに召し上がっていただくことに喜びを感じます。料理は生活の一部であって、いわゆる仕事でやっているという意識とは一線を画すところがあります。生産者さんとお話している時などはもちろん、車を運転している時、ぼーっと木々を見ている時でもどこかで料理のことを考えています。全く関係ないような時間でさえ、インスピレーションに繋がる時もありますし、体験が大切なので、伊豆での暮らし自体がとても刺激のある環境です。地方で料理をするということ、この地に身を置くことが、自分たちがつくる料理に独創性をもたせてくれると信じているからです。

フランス料理をやる人間にとって「美味しい」という言葉よりも「オリジナリティがある」と言われたほうが嬉しいなんて側面も実はあります。オーベルジュという文化はそもそもローカルなところにしかありませんが、「ローカルであること」そのものに多く意味をもたらしてくれていると思います。

4.「arcana izu」を満喫するためのおすすめの過ごし方

-お部屋での過ごし方も含めて「arcana izu」でのおすすめの過ごし方を教えてください。

(佐々木氏)
お部屋にはテレビを置いていないので、まずそれだけで日々の喧騒から強制的に一歩離れることができます。目の前に広がる自然を眺めて何もしない贅沢を味わっていただくのが一番の醍醐味です。実際、ドリンクを飲みながらおしゃべりをしたり、読書をしたり、お部屋に備わる温泉の露天風呂に入ったり、お部屋から出ずにゆったりと過ごす方が多いです。

ただぼーっとする時間って、強制的にしないと忙しい日常の中ではなかなか難しいと思うんです。なので、何かをしに「arcana izu」にいらっしゃるのも良いのですが、敢えて何もしないことをしにいらっしゃってください。バトラーがお部屋に付くので、何かしたいと思ったときにはいつでも相談していただけますから、安心してノープランでお越しください。

佐々木氏、糸井氏それぞれのお話からはもちろん、お二人のやり取りを拝見して、お互いへのリスペクトや強い信頼関係を感じました。そんな信頼関係があるからこそ、各機能が一体化したおもてなしができ、ゆったりと流れるような自然体の寛ぎをゲストに与えてくれるのだろうと思います。「arcana izu」ならではの“エモーショナルな食体験”や“何もしない贅沢”を、あなたも是非一度味わってみませんか?

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支配人 佐々木 悟氏
青森県出身。1991年国土計画株式会社入社、箱根プリンスホテルでキャリアをスタート。16年間の勤務の後、富士河口湖、賢島、鳴門、屋久島、沖縄本島、宮古島、東京都内などのラグジュアリーホテルの立ち上げ、運営統轄を経験。生け花草月流四級師範。
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料理長 糸井 佑磨氏
埼玉県出身。辻調理師専門学校フランス校を卒業。2007年、arcana izuのオープニングスタッフとして勤務後、渡仏。フランス国家最優秀職人章を保持するファビアン・ルフェーブル氏に師事し、5年間その右腕として活躍。帰国後、2016年にarcana izuの料理長に就任。

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静岡県/伊豆・天城湯ヶ島

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更新日時2021.04.23 09:17

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