奈良公園の中。それも春日大社の表参道「一の鳥居」横にあると聞けば、もうそれだけでワクワクしてくる宿「四季亭」。
創業から百余年。長い歴史を積み重ねてきたさまざまなもてなしの心は、館内の隅々まで満ちています。
立地するのは「奈良公園が庭」
JR奈良駅から歩いて約15分。「四季亭」は、奈良公園はもちろんのこと、興福寺や元興寺、東大寺、春日大社などへの参拝や「ならまち大通り」でのショッピングなど、奈良観光のハイライトをたっぷり満喫できるロケーションに恵まれています。
明治32 年の創業から百余年。緑豊かな奈良公園に溶け込むような、ひっそりと、しかし凜とした社寺風の外観は、30年ぶりに訪れたというゲストの言をお借りすると「門や玄関周りの造りはほとんど変わっていない」とか。もちろん内部は現代のライフスタイルに合うよう5度ほど改築されているので、機能性や快適性についても申し分ありません。
茶室でいただくウエルカムドリンク
長い“一”を描くような幅広の上がり框のある広い玄関。ここでは、三代前の興福寺の管主の手による三幅対の書「瑞雲」「不老仙」「蓬菜」が出迎えてくれます。
館内には土間、階段、廊下に至るまで古い書や季節の花々などが飾られ、古くから受け継がれてきた和の美を実感します。廊下には畳が一面に敷き込まれており、スリッパ要らず。きっと「心からくつろげるように」という宿の配慮なのでしょう。
茶室もあって、宿泊客はチェックイン後、ここでお抹茶をいただけるとか。ウエルカムドリンクのサービスをこんな本格的な茶室で受けられるなんて、非日常感もぐんとアップします。
甲乙付け難い全9室のお部屋
お部屋数は全9室。真っ先にご紹介するとしたら、やはり「養老」でしょうか。創業時から唯一お部屋の造りが変わらないそうで、墨絵が施された床の間の風情が抜群。「四季亭」を代表するお部屋です。
また、貴賓室「瑞雲」の典雅なこと!御簾や床の間、欄間など、どこに目をやっても百人一首に出てきそうな優雅さで、春日大社の宮大工が手がけたと聞けば「やっぱり」と頷いてしまいます。
今回はあえて2つのお部屋をご紹介しましたが、他のお部屋もそれぞれに設えに特徴があります。どのタイプのお部屋に泊まっても、古都の風情と伝統美に触れられること請け合い。落ち着いた滞在が叶います(※お部屋の指名はご希望に添えないこともあります)。
手の込んだ「大和路料理」を召し上がれ
大浴場「不老湯」は、黒い御影石の床と古代檜の浴槽が上質感たっぷり。温泉ではありませんが、観光や散策で疲れた体を芯から癒してくれます。湯上がりには1ドリンクのサービスも。これは嬉しい心遣いですね。
夕食は「大和路料理」と名付けられた季節感を大事にした懐石料理。素材の味をできるだけ活かした味わいが特徴で、器には奈良の伝統工芸の一つ「赤膚焼(あかはだやき)」が用いられています。
目覚めたら、奈良公園内の散策はいかが。朝の静かな公園を存分に味わえるのは、まさにそのただ中にある宿だからこそ。鹿も挨拶に来てくれるかもしれませんよ。
この宿は格付けガイド紙にも掲載されている実力派。旅の印象を鮮やかにしてくれる魅力が詰まっています。


四季亭
奈良県/奈良公園
更新日時2021.01.27 14:23