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【滞在記】佐賀・唐津に佇む美しい庭園と変わらぬ趣に癒される宿 
クローズアップ

【滞在記】佐賀・唐津に佇む美しい庭園と変わらぬ趣に癒される宿  洋々閣(佐賀県/唐津市)

古くから焼き物の街として知られ、国の天然記念物にも指定されている景勝地「七ツ釜」がある佐賀県・唐津市。シリーズ企画【極みの美食宿】の取材で訪れた宿「洋々閣」には、絶品料理の他にも設え・庭・人など、素敵な魅力がたくさんありました。そこで今回は、その【極みの美食宿】ではご紹介しきれなかった宿の魅力を、ご紹介したいと思います。

明治・大正の面影の中に感じるモダンな香り

大通りからひとつ奥に入ると、格子が組み込まれた外観が味わい深い「洋々閣」が見えてきます。写真手前の暖簾は隆太窯ギャラリーへの入り口。かかる暖簾は京都東山の「信三郎帆布」の特注品です。

玄関の石畳には打ち水がされて、凛とした空気が流れています。天井が高く、幅も広い。これは昔、お客様の送迎を行う人力車をここまで止めていたから。写真左に見えるスペースに、車夫が待機していたそうです。老舗宿の歴史をすぐに感じられました。

チェックインをしたら、こちらのラウンジで一休み。
設えは、由布院の名旅館「亀の井別荘」の改修も担当した建築家・柿沼守利氏の設計。特注の大きな藤イスに身体を預けながら、美しいお庭と池を眺めるひととき。宿の仲居さんが焙煎からこだわって淹れるコーヒーをいただきながら、ボーっとするのもいいかもしれません。

世界的著名人が愛し続ける宿

創業120年以上の老舗名旅館だけあって、著名人のエピソードが豊富。ひとつご紹介すると、写真の中央あたりに窓ガラスに着いた丸い印のもの、実はこれ、映画『グラン・ブルー』のモデルとなった、世界的フリーダイバーの“ジャック・マイヨール”のアドバイスで貼ったものだそう。彼は「洋々閣」の常連客で、この窓を見た時に「ガラスがあるとわからず、鳥がぶつかってくるかもしれない。鳥がかわいそうだ」と女将に注意したとか。すぐにシールを貼り、ガラスがあることをわかりやすくしたそう。とても彼らしい素敵なお話です。

そして、地元唐津で生まれた名陶芸家・中里隆氏の隆太窯ギャラリーがあるのも、氏が「洋々閣」を心から愛したが故。現在では息子の太亀氏、娘の花子氏、孫の健太氏の作品も並び、見るだけではなく購入することも可能です。

宿の夕食では隆氏、太亀氏の作品を中心とした「唐津焼」が使われます。器の数は数えきれないほど。「洋々閣」のためだけに作られた作品もあるそうです。

「虹の松原」を見立てた美しい庭園

お部屋は全部で20室。その全てからお庭が望めます。私が泊まらせていただいたのは「十坊(とんぼ)の間」と呼ばれるお部屋。こちらも建築家・柿沼氏の設計です。和の風情を感じさせながら、縁側には藤イスが置かれたモダンさが香る素敵な設え。
お部屋から下駄でお庭へ散歩することも可能です。下駄が苦手な方は、サンダルもあるので、仲居さんにお声がけを。

樹齢200年の黒松。黒松らしい黒褐色の幹肌と濃緑の葉が力強さを感じさせます。お庭の奥には先代の4代目と女将夫婦のご自宅があり、時々宿泊客をお茶にお招きしているそう。女将は自身でブログも運営していらっしゃいます。とても素敵で面白い方ですので、宿泊した際はお話しされるのをオススメします。事前にブログもチェックしておくと愉しさが増しますよ。

麦飯石の湯で身体の心から温まる

温泉はないですが、大浴場では温泉に近しい効果があると言われる「麦飯石」を通した湯に浸かれます。浴槽は御影石で肌触りも良く、床は濡れても滑りにくい福光石になっています。壁の檜の香りも相まって、心落ち着く湯浴みが愉しめました。
お部屋によって檜造りなど浴槽は異なりますが、お部屋にも内風呂が備わっています。「麦飯石」の湯ではありませんが、ひとりでゆっくり入りたい方にはうれしいですよね。

宿泊しないと味わえない至極の一皿

「洋々館」五代目がオススメする夕食の食べ方は、お酒とともにいただくスタイル。特に佐賀県は、日本酒での乾杯を推進する条例があるほど、お酒が美味しい土地。地元のお酒もいただきながら、ぜひ「洋々閣」オリジナルの日本酒をどうぞ。宿のイメージに合うように、池波正太郎の書生を10年間務めた文筆家の佐藤隆介氏がプロデュースした、お宿でしか味わえない日本酒です。

お食事は、玄界灘の会席コースの他に、オコゼ、フグ、クエ(アラ)、牛肉(しゃぶしゃぶ)もあります。お魚コースもオススメですが、黒毛和牛の南蛮利久鍋(しゃぶしゃぶ)も人気の料理。九州で初めてしゃぶしゃぶを提供した宿が「洋々閣」だそうで、若女将お手製の秘伝の胡麻ダレでいただきます。

お食事は、今回はクエ(アラ)尽くしで鍋もいただきました。詳しくは【極みの美食宿】の記事で。
鍋の〆は「佐賀米こしひかりの雑炊」。生米から作るため15分程で完成です。生米から作るのは、お米にクエの出汁をたくさん吸わせるためだそう。あく抜きした春菊と柚子の皮を細かく刻んだものを混ぜていただきます。旨味がしっかり感じられる、雑味のない雑炊でした。

「洋々閣」はお庭や設えだけではなく、お料理の宿としても人気です。「洋々閣」のプランではお食事なしもありますが、“あり”のプランを強くオススメします。料理長・石川さんのこだわり抜いた品々をぜひ味わってもらいたい。間違いなく美味しいです。

腹ごなしに夜のお庭を歩くのもオススメです。月明かりに照らされた「佐用姫の間」の風情があって素敵。その横の喫煙スペースから見られるガラスに映った黒松は幻想的で美しく、見惚れてしまいます。

朝食も美味しい。白米と麦粥から選ぶことができ、両方食べることもできます。唐津川島のざる豆腐など地元の食材を使い、昆布にじゃこ、もろみ味噌など箸が進む品々が並びます。トマトは皮がむかれていて、ひと手間を惜しまないおもてなしの心に朝から感動しました。

最後に五代目・大河内さんにお話を伺いました。「洋々閣では、お客様専属で仲居が一人付かせていただいています。今では効率などの面からこのような対応をしていない宿もございますが、うちでは、昔ながらのこのスタイルにこだわっています。いつ帰ってきても変わらない心落ち着く空間を、守り続けていこうと思います」。

多くの人たちに愛される「洋々閣」は、旅館のハード面だけではなく、お宿の方たちとの触れ合いがその理由のひとつだと感じた取材でした。次はプライベートで、「ただいま」と「洋々閣」に帰ってきたいと思います。

洋々閣

洋々閣

佐賀県/唐津市

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更新日時2020.05.18 15:10

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