地下から自然の力で湧き出る“足元湧出”の湯。
浴槽の底からポコポコと湧き出す温泉は一度も空気に触れることなく、生まれたばかりの新鮮な源泉を楽しめます。
今回は全国的にも珍しい、足元湧出の温泉が楽しめる宿をご紹介します。
浸かって綺麗、食べておいしい湯
登録有形文化財の宿 名泉鍵湯 奥津荘(岡山県/奥津温泉)
昭和2年に建てられ、当時の趣をそのまま残す「登録有形文化財の宿 名泉鍵湯 奥津荘」。浴槽の岩間より気泡と共にポコポコと湧き出る無色透明の湯は、約400年前の藩主専用の湯として使われた歴史も。柔らかな肌触りが、“美肌の湯”としても人気です。
湯自慢の宿は、食事に至るまで温泉尽くし。化学調味料を一切使わず調理する手作りの料理は、温泉を使って調理しています。身体の外側はもちろん内側からも、名湯を味わい尽くしましょう。

登録有形文化財の宿 名泉鍵湯 奥津荘
岡山県/奥津温泉
湯の花が浮かぶ効能抜群な美肌の湯
忘れの里 雅叙苑(鹿児島県/妙見温泉)
日本の原風景を連想させる茅葺屋根のお宿「忘れの里 雅叙苑」。敷地内に3つの自家源泉を有し、客室露天風呂も含めた全ての湯殿で源泉掛け流しの湯が楽しめます。
中でも貸し切り風呂「うたせ湯/ラムネ湯」は、自然湧出を間近に見ることができる珍しい温泉。
源泉中の不溶性成分が析出・沈殿した“湯の花”が舞い、見た目から成分の濃さがわかります。健康促進や美肌に効果があるとされ、とろみのある感触に肌が整えられていくことを実感することでしょう。


忘れの里 雅叙苑
鹿児島県/妙見温泉
約1,000年前の風情を楽しむ湯
蔦温泉旅館(青森県/八甲田)
「蔦温泉旅館」は青森県・八甲田の中腹、ブナの森に抱かれた自然豊かな地に佇みます。
ブナ材を使用した湯船の底から湯が湧き出る温泉は、約1,000年前から湯治場として愛されてきた秘湯。風情溢れる空間もこのお宿ならではです。
男女別の「泉響の湯」は、文豪・井上靖氏が来館した際、「泉響颯颯」(せんきょうさつさつ=泉の響きが風の吹くように聞こえてくる、の意)と詠ったことから命名された湯殿。浴槽から梁まで約12mを誇り、解放的な雰囲気を味わえます。

蔦温泉旅館
青森県/八甲田
戦国時代の武将も愛した湯治が楽しめる湯
古湯坊 源泉舘(山梨県/下部温泉)
「古湯坊 源泉舘」は江戸時代より約250年続く温泉宿。自然湧出の湯は、奈良時代中期からの歴史を誇ります。傷病に効くと評判で、その効能を求めて訪れる人が後を絶ちません。
戦国時代には、武田信玄公のかくし湯として利用されていたという史実も。館内には武田信玄公やその父にあたる武田信虎の免状が残されており、いかに武田氏がお宿の湯を大切にしていたかを知ることができます。歴史に想いを馳せながら、思う存分湯浴みを堪能しましょう。

古湯坊 源泉舘
山梨県/下部温泉
全身をまんべんなく癒す、日本一深い立ち湯
鉛温泉 藤三旅館(岩手県/花巻温泉郷・鉛温泉)
約600年前に開湯した「鉛温泉 藤三旅館」の温泉は、“新日本百名湯”や“日本温泉遺産”に選ばれる名湯。天然の岩をくり抜いて作った“白猿の湯”には、底から透き通った源泉100%のお湯がこんこんと湧き出ます。約1.25mある立ち湯は、全身にまんべんなく湯圧がかかり、血行促進にも効果があるそう。
その他にも白糸の滝を望みながら湯浴みできる“白糸の湯”、桂の木の根元から湧き出たという鉛温泉の由来から名を取った“桂の湯”など、それぞれ異なる趣を楽しみましょう。
鉛温泉 藤三旅館
岩手県/花巻温泉郷・鉛温泉
一切空気に触れない新鮮な湯は、温泉自体が持つ効能を存分に満喫できる、唯一無二の温泉です。
全国でも珍しいといわれる足元湧出の湯を味わえる温泉宿に、癒しを求めて訪れてみませんか。
更新日時2019.02.15 08:39