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一度は泊まりたい、茶の湯の心を随所に感じる京都の老舗宿
クローズアップ

一度は泊まりたい、茶の湯の心を随所に感じる京都の老舗宿 炭屋旅館(京都府/京都・中京区)

まるで碁盤の目のように、東西と南北に街路が交差する京都のほぼ真ん中。京都を代表する老舗旅館の1つと称される「炭屋旅館」は、大正初期の創業から変わることなく、麩屋町三条に門を構えています。

茶の湯の精神に基づいたおもてなし

背筋がぴんと伸びるような、伝統と格式が漂う重厚な佇まい。打ち水された玄関は「いつでもお客さまをお迎えする準備が整っています。どうぞお待ちしております。」という、茶の湯ならではのおもてなしです。

宿の歴史を遡ると、意外にも生業は刀鍛冶であったとのこと。趣味の多かった先々代が、お茶や焼き物、謡曲で知り合った友人を招いてお茶会を開いたり、遠方の友人を泊めたりするようになったことから宿が始まりました。

今回は、お茶の宿としても広く知られる「炭屋旅館」の真髄であるお茶室と、客室をご紹介します。

和の情緒を楽しむ数寄屋造りの客室

客室は、本館と東京五輪が開かれた年に増築した新館をあわせて20室。和の情緒あふれる数寄屋造りで、「洗月」や「残月」などの名のある茶室や、「井筒」や「松風」などの謡曲にちなんだ名前が付けられています。

宿の中でも最も古い客室の1つであり、炭屋旅館を代表する客室とも言えるのが、本館の「洗月」。今では、宿泊用ではなく、会食場やお茶会の際の待合室として、多くのお客様を迎えています。銀閣寺の東求堂にある「洗月亭」の写しです。床の間の落とし掛けから床框にかけて施されたデザインは、水面から昇る月を表現したもの。斬新なデザインが目を惹きます。

お風呂なし・トイレなしの間取りは、創業当時は当たり前。「お部屋は眠れたら良い」という時代風景を表しています。

同じく最も古い客室の1つである「残月」は、表千家の「残月亭」の写し。高野槇の内風呂とトイレを備えた2間続きの客室です。12畳の本間には、2畳分の床の間「残月床」が設けられています。

謡曲の名にちなんだ「井筒」の客室には、部屋の名前の由来になっている能楽「井筒」の謡が記された腰紙が。茶室ならではの意匠に先々代の趣味である謡曲をかけ合わせた、遊び心が感じられます。

窓から見える庭の景色は、1階の客室ならではの特典と言っても過言ではありません。坪庭の隅にある井戸が、歴史の風情をうかがわせてくれます。

和室に畳ベッドを配した客室も用意されています。「永徳」は、中庭を囲むように配された和室と、畳ベッドのある寝室を渡り廊下で繋いだ広々とした間取り。グループや2世帯での旅行にも便利です。

スロープ状の渡り廊下や、足腰に負担がかかりにくい高さの畳ベッドなど、足の悪い方や車いすの方も安心して宿泊できるように配慮がされています。

浴室には、ゆったりとした大きさの高野槇の浴槽が。地下水を沸かした柔らかいお湯が張られると、室内にはたちまち豊かな香りが立ち込めます。

洗練さを感じる炭屋ならではの装飾やしつらえ

どの客室も決して華美ではありませんが、細部に洒落た装飾が施されているのも見どころの1つ。もともと鍛冶屋であった名残から、客室の引き手や釘隠し、箪笥の取っ手には、笹の葉や瓢箪、糸巻きなど様々なデザインのものが使われています。

祇園祭の頃になると襖を外してすだれを掛け、畳の上にはあじろを敷く。そしてお彼岸の頃になるとまた、すだれやあじろをしまい、襖や障子を立てる。衣替えはもちろん、館内や客室に日々活ける花、掛け軸や几帳も季節によって変えています。

繊細な四季の移ろいを各所に感じられるのは、老舗旅館ならではのきめ細やかな心遣いがあってのことでしょう。

代々受け継がれてきたお茶室で、茶の湯の世界に触れる

普段からお茶に親しんでいない方でも気軽に茶の湯の世界に触れられるのが、この宿の魅力の1つ。毎月7日と17日の夜には、宿泊客が自由に参加できるお茶席が開かれます。

5つある茶室の中でも、特に宿が大切にしているというのが四畳台目の茶室「玉兎庵」です。その名は、兎年であった先々代にちなんで命名されました。赤松と桐の板を交互に並べて、市松模様を描いた天井も見どころです。

床の間には歌人・吉井 勇氏の掛け軸、床脇には兎のモチーフが飾られています。

静謐な中庭には、大阪城築城の際に献上されたものの使われることのなかった、「残念石」と呼ばれる石を使った蹲(つくばい)や、かつて井戸に使用していた瓦があしらわれ、歴史の趣を加えています。

部屋のしつらえや庭を眺め、丁寧に点てられた薄茶をいただけば、自然と心が落ち着くはず。

賑やかな三条通りにありながら、まるで時間が止まっているかのような静けさに包まれている「炭屋旅館」。慌ただしい日常を忘れて、京都の中心にある別世界で、“わびさび”を味わいながらゆっくりと過ごしてみるのもたまには良いでしょう。日本人であればこそ、伝統を守る旅館の良さを感じてみませんか。

炭屋旅館

炭屋旅館

京都府/京都・中京区

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