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深山が育む滋味をいただき心身も清らかに 美山荘(京都府/洛北 花脊)

千年余の伝統と文化を受け継ぎながら、新しいものも受け入れる京都は、世界中の旅人を惹きつけてやみません。風雅漂う街の中心地からバスに揺られた先に、緑に囲まれた大悲山はあります。大悲山「峰定寺」は、平安時代に北の浄土と考えられていた聖地。修行の地「峰定寺」の宿坊として建てられたことが始まりという「美山荘」は、凛とした空気をたたえて来訪者の訪れを静かに待っています。

毎朝摘み取る自然を丸ごといただく贅沢

「美山荘」には「野草一味庵」という別名が付いています。それこそが、この宿にリピーターが絶えない大いなる理由でもあります。

お食事処は、母屋から廊下で繋がる「名栗の間」。目の前で調理するライブ感が楽しい、囲炉裏型のカウンター席は凛とした佇まいの中に、どこかほっこりと和める設え。大切な人と肩肘を張らず親密な時間を過ごすのにうってつけです。

主人自らが毎朝、野山に分け入り季節の草木や旬の野菜を摘み取ってゲストに饗するのが宿のモットー。季節の野草や山菜、野菜はもちろん、清流を泳ぐ川魚や猪や鹿などのジビエまでを来賓のために用意する心意気に、胸を打たれます。宿坊として歴史を重ねてきた宿だからこそ、手間暇を惜しまないことこそがおもてなしだと考え、それを実直に守り続けているのです。

浅い春には蕗の薹や筍、初夏を感じる頃には若鮎など、京都を代表する滋味をたっぷりと堪能できます。お食事のお供である、食前の「あけび茶」や食後の「お薄」もまた宿の誇り。「美山荘」を取り巻く自然そのものを味わう贅沢を、ゆっくり時間をかけて噛み締めたいですね。

一期一会の繊細な自然の移ろいに感動する

美しい山の泊まり処。端的な宿の名に、「美山荘」の魅力が全て詰め込まれています。
日本人にとっては当たり前の四季は、地球上ではとても稀で奇跡のような出来事なのだとか。日々の生活では忙しさに追われ、世界羨望の四季の移ろいを見過ごしてしまいがち。
「美山荘」では、美しい自然の息吹を十二分に満喫できます。母屋に一歩踏み入った時から、しっとりとした落ち着きに包まれて心が凪ぐのを感じられることでしょう。
また、1日わずか4組のゲストが心穏やかな時間を過ごせるよう真心を尽くしたおもてなしも宿の人気の秘訣です。

網代仕立ての天井や吉野窓から清流が見える「山椒」。畳敷きのこぢんまりとした草庵風の客室は、新しい生活スタイルとして注目を集める「ミニマリズム」を快適に体感できそう。シンプルに過ごすという、日々ではなかなか実現できない経験は、不思議な心地よさを与えてくれることでしょう。

離れの最奥に建つ「石楠花(しゃくなげ)」は、日本伝統の建築美を堪能したい方に特にお薦めです。ドイツの著名建築家ブルーノ・タウトが「日本建築の世界的奇跡」と感嘆した桂離宮。それを写した下地窓、名栗の縁がそこに在ります。

大きく開かれた1枚張りのガラス窓から望める、野趣あふれる景色は一服の絵画のよう。自然が織りな優しい静けさの中、ご自身の内側と向き合うのも素敵なひとときです。

「楓」は、8帖と6帖の2間続きの広々とした客室と大きな月見台が自慢です。窓ガラスいっぱいに広がる山野の風景は、いくら眺めても飽きることはありません。風のささやきや鳥の唄に耳を澄ませるうちに、日頃は閉じてしまいがちな五感が徐々に開いていくのを楽しんで。

宿坊として始まった歴史を持つ「美山荘」には、客室風呂はございません。ですが、それを差し引いても十分余りある、素敵な2つの貸切風呂が備わります。間近に流れる谷川の清らかな水の流れる音を聴きつつ、里山の景色をのんびりと眺めての湯浴みは忘れがたい思い出になるでしょう。

聖山の厳かさと樹々から放たれるフィトンチッドなどの精気で、そこに居るだけで身も心も洗われるよう。自然が育んだ山の恵みをいただけば、内側からパワーをチャージできるでしょう。環境の変化が大きな春、少し疲れを感じたら穏やかな静けさに包まれる「美山荘」で心身を清め、整えてみませんか。

美山荘

京都府/洛北 花脊

 

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