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歴史を今に伝えるクラシックホテル 3選【西日本編】
セレクション

歴史を今に伝えるクラシックホテル 3選【西日本編】

西洋文化の伝来とともに戦前の日本に誕生し、西洋のホテルのライフスタイルを具現化してきたクラシックホテル。日本のホテル文化の礎を築き、今なお魅力を放ち続けています。
前回の東日本編に続き、今回は西日本編をご紹介します。

壮麗な建築と調度品が織り成す「関西の迎賓館」

奈良ホテル(奈良県/奈良)

国賓や皇族をもてなす「関西の迎賓館」として1909年に開業した「奈良ホテル」。東京駅の駅舎などを手がけた辰野金吾が設計し、鹿鳴館の建設費の約2倍をかけて建てられたといわれています。周囲の古建築との調和を重んじた和洋折衷の見事な建物は、「美術館のようなホテル」と形容されることも。奈良公園に隣接しており、観光にも至便。興福寺などの世界遺産をはじめとする多くの名所が、徒歩圏内に点在しています。

全127室の客室は、桃山御殿風檜造りの荘厳な本館と、機能的でモダンな新館に分かれています。本館の「パークサイドツインルーム」は三方を窓に囲まれ、奈良公園の緑を借景にした明るく開放的な客室。天平文化をイメージした内装は、奈良時代の袈裟箱袋に見られた苔色をベースカラーに。ライトスタンドやキャビネット、ソファなどの家具類はすべてオーダーメイド。絨毯には正倉院の宝物に見られる模様“雲文”が用いられ、雅やかな雰囲気です。

本館のロビーを彩る調度品には、著名人にまつわるエピソードも。かのアインシュタイン博士が「奈良ホテル」を訪れたのは1922年、ノーベル賞受賞が決まった直後でした。博士が滞在中に弾いたアップライト・ピアノは、その時の写真と共に展示されています。また、1983年に訪れたオードリー・ヘップバーンは、神社の灯籠をモチーフにしたシャンデリアを絶賛。「ビューティフル、ワンダフル」と称えられたシャンデリアの明かりは、現在も変わらず客人を迎えてくれます。

館内のレストランの中でもぜひ訪れて頂きたいのが、創業以来のメインダイニングルーム「三笠」。約6メートルの高い格天井に灯るシャンデリア、壁に飾られた横山大観などの名画や調度品が、空間を優雅に彩ります。季節の食材と大和の厳選された食材を伝統的な手法で調理した正統派フレンチは、どれも贅沢な品ばかり。朝食には、約1200年前から食べられてきた大和の名物「茶粥」を。香り高い緑茶で炊きあげられた粥は、胃を優しく満たします。窓から望む興福寺の五重塔や若草山の美景が、食事をいっそう引き立ててくれることでしょう。

奈良ホテル

奈良ホテル

奈良県/奈良

三河湾を見渡す、眺望抜群の城閣風ホテル

蒲郡クラシックホテル(愛知県/蒲郡)

見晴らしの良い高台に佇む「蒲郡クラシックホテル」は、1934年に「蒲郡ホテル」として開業した由緒あるホテル。当時の鉄道省に設置されていた国際観光局により、第1回の国際観光ホテル(外国人旅行者が安心して宿泊できるホテル)に指定されました。現在は経済産業省により近代化産業遺産に認定。格調高い城郭風建築の外観は、名古屋城の天守閣の特徴を取り入れて建てられたと伝えられています。

インテリアは旧蒲郡ホテル伝統のアールデコ様式。淡い色調に統一され、温かい雰囲気を醸しています。人気の海側客室からは、国の天然記念物「竹島」をはじめ、緑の島々を一望。夕暮れ時には半島の先に沈みゆく夕日が三河湾を赤く染め、島へと通じる橋にぼんやりと明かりがともる光景は、息をのむ美しさです。

お食事はフレンチや鉄板焼き、会席料理など個性溢れる3つのレストランから選ぶスタイル。「メインダイニングルーム」では、まるで貴賓室のような絢爛豪華な空間。三河湾の新鮮な海の幸と特選和牛を用いた本格的なフランス料理を堪能しましょう。竹島を一望するテラス席での食事は、素晴らしいひと時になること請け合いです。

ホテルの前に広がる、手入れの行き届いた見事な庭園も魅力の一つ。3.4ヘクタールの広大な園内は、四季の情景を彩る木々で溢れています。前身の「蒲郡ホテル」時代からつつじの名所としても知られるこの庭園。4月下旬から5月上旬にかけては「つつじまつり」が開催され、多くの人で賑わいます。赤、白、ピンクなど5種類約3,000本のつつじが鮮やかに咲き誇る様子は、一見の価値あり。三河湾に浮かぶ竹島の新緑とのコントラストは、この時期この場所でしか出会えない景色です。

蒲郡クラシックホテル

蒲郡クラシックホテル

愛知県/蒲郡

風光明媚な温泉地に佇む、九州唯一のクラシックホテル

雲仙観光ホテル(長崎県/長崎・雲仙)

九州唯一のクラシックホテル「雲仙観光ホテル」が開業したのは1935年。風光明媚な雲仙が、日本で初めての国立公園に指定された翌年のことです。木立に囲まれた石畳の先にそびえる赤い屋根が印象的なホテルは、スイスの山岳地方に見られる「シャレ―」とよばれる建築様式を取り入れた山小屋風の佇まい。登録有形文化財や近代化産業遺産に選ばれている、歴史的建造物です。

館内は時代のニーズに合わせて改装を重ねながらも、古き良き時代の面影を大切に残しています。趣ある調度やファブリックは、ヨーロッパなどから特別に取り寄せたもの。「近代デザインの父」ことウィリアム・モリスがデザインした、花鳥風月をモチーフにした壁紙が、クラシックモダンな雰囲気を醸し出しています。数ある客室の中でも、昭和天皇皇后両陛下をはじめ数々のVIPに愛された「特別室」は、ホテルを代表するお部屋。細部まで趣向を凝らした華々しい空間は、日常を忘れさせてくれることでしょう。

磨かれた木の床と高い天井が印象的な「フレンチダイニング」は、食事をするだけでなく、人々や文化の出会いの場としての役割も果たしてきました。かつて文化人や財界人によるダンスパーティーが開かれたこの場所では、現在も折に触れて演奏会や交流会が開かれています。ティータイムには、館内のラウンジで大人気のゴルゴンゾーラチーズケーキもいただきましょう。お持ち帰りも可能なので、お土産にもおすすめ。

雲仙は、かつて“温泉(うんぜん)”と表記されていたほどお湯に恵まれた場所。湯煙が立ち上る雲仙の地獄温泉を源泉に用いた「硫黄泉浴室」は、ホテルの自慢の一つ。可愛らしいタイルやステンドグラスを用いた、洋館のホテルにふさわしい造りになっています。露天風呂や貸し切りの家族風呂もあるので、好みに合わせて湯浴みが楽しめます。

雲仙観光ホテル

雲仙観光ホテル

長崎県/長崎・雲仙

西洋と日本の文化が交わり、積み重ねられた年月が建物や調度品を美しく輝かせる。そんなクラシックホテルでの滞在は、さながら時間旅行のよう。かつてそこにいた人々の足音や息づかいが聞こえてくるような、その空間でしか味わえない空気をぜひ一度、体験してみては。

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