東京から約2時間で、歴史の世界へタイムスリップ!そんな非日常感がたっぷり漂う、老舗温泉旅館を訪ねてみませんか。
今回ピックアップした宿は、創業から100年以上も経つ、まさに老舗中の老舗温泉旅館ばかり。時を重ねて輝きを増す建物、特徴ある湯船、自慢の泉質など、さまざまな角度からご紹介します。
目 次
1.「ル・レエ・シャトー」加盟の、日本を代表する名旅館
あさば(静岡県/修善寺)

伊豆・修善寺の名宿として名高い「あさば」。特急踊り子号で約2時間、さらにタクシーに乗って7分ほどで、麻暖簾が揺れる門前に到着します。
創業は530年以上も前となる戦国時代の1484年。祖先の浅羽弥九郎幸忠が開いた宿坊が始まりとか。明治時代後期に東京・富岡八幡宮から移築した能舞台「月桂殿」が立つ中庭は、この宿を象徴する存在で、今なお能や狂言など、日本の伝統芸能の公演が行われています。


12ある客室は広さも設えもいろいろ。いずれにも源泉掛け流しの浴室を備えています。
「【はなれ天鼓】特別室 源泉かけ流し露天風呂・内風呂付」は、この宿唯一となる露天風呂も付いた離れ。専用の広いテラスと庭もあり、季節によって表情を変える庭を見て過ごす時間は、心を深く鎮めてくれます。館内には世界のデザイン家具やモダンアートも多く取り入れられ、洗練された美術館のような趣も。「この宿には違う時間が流れている」と評するゲストもいるほどです。
あさば
静岡県/修善寺
2.三大美肌泉質を含む自慢の湯を掛け流す、創業360余年の宿
箱根の名湯 松坂屋本店(神奈川県/箱根芦之湯)

箱根・芦之湯、国道1号沿いに立つ宿「箱根の名湯 松坂屋本店」。創業は1662年(寛文2年)。国道1号、つまり東海道沿いに位置することもあって、歌川広重の浮世絵にも登場! 昔なら難儀した道のりも、今なら新幹線とタクシーで東京から約1時間15分で到着します。
老舗宿ではありますが日々進化を遂げており、ドリンク類や貸切露天風呂の利用も含めたオールインクルーシブ制を採用しています。


江戸の世から人々を魅了し続けて来たのは、宿自らが「箱根随一」と自慢する湯。含硫黄-カルシウム・ナトリウム・マグネシウム-硫酸塩・炭酸水素塩泉で、湯上がりには肌がつるつるすべすべに。三大美肌泉質を全て含んでいる湯を加水も加温も循環もせず掛け流しているそうで、これ以上の贅沢はないのかもしれません。客室は全21室。2024年9月にリニューアルされた「離れ(定員4名 1階『洗心亭』露天風呂付)禁煙」では、客室の露天風呂でもこの湯に浸かれます。
箱根の名湯 松坂屋本店
神奈川県/箱根芦之湯
3.擬洋風建築の重要文化財に泊まって、レトロ探訪
箱根湯本温泉 萬翠楼 福住(神奈川県/箱根湯本温泉)

新幹線で東京から小田原へ。そこからタクシーで約15分で到着する「箱根湯本温泉 萬翠楼 福住」。1625年(寛永2年)の創業で、特に幕末から明治にかけてはそうそうたる偉人たちが逗留しました。
明治棟と呼ばれる「萬翠樓」と「金泉樓」は明治初期に建てられた木骨石造建築。細かい意匠が施された欄間やガラス戸、シャンデリア、らせん階段など、擬洋風建築ならではの見どころが多く、レトロ好きには垂涎の的。2002年(平成14年)、現役の旅館としては初めて国の重要文化財に指定されています。


大注目のお部屋は48枚の天井画で知られる「萬翠樓15号室」。富士山や花、鳥など、花鳥風月が描かれていて、実に優雅。その美しさにずっと見上げていたくなりますよ。この宿には自噴する源泉があって、湧出量は少ない時でも毎分100リットルほど。透明で、肌触りが柔らかなアルカリ性単純温泉を単独管理しています。大浴場で掛け流しているので、ぜひ足を運んでみてはいかが。
箱根湯本温泉 萬翠楼 福住
神奈川県/箱根湯本温泉
4.「千と千尋の神隠し」のモデルのひとつとなった温泉宿
積善館(佳松亭・山荘)(群馬県/四万)

4万の病を治すと言われる四万温泉は、日本初の国民保養温泉地。「積善館」はその四万温泉の赤い橋の袂に立つ宿で、1694年(元禄7年)に創業しました。この宿へは上野駅から新特急草津号で中之条駅まで約2時間、そこからタクシーで25分ほど。日本最古の湯宿建築と言われる「本館」前に立つと、川音が静かに出迎えてくれます。


客室棟は3つ。登録有形文化財の「山荘」、奥の高台に立つ「佳松亭」の客室では、より落ち着いた滞在が可能です。本館「元禄の湯」の湯浴みは必至。タイル張りの床に5つの石造りの湯船がぽんぽんぽんと並ぶ浴場で、大正ロマンあふれる風情。湯は湯船の底からぷつぷつ湧いていて、源泉掛け流し。アーチ型の窓から日差しがたっぷり差し込みます。湯から上がったら、歴史資料館へもぜひ。アニメ「千と千尋の神隠し」のモデルの一つとなった「積善館」の歴史に深く触れられます。週に3日館内ツアーも行われているので、興味ある人はご参加を。
積善館(佳松亭・山荘)
群馬県/四万
5.熱海随一の老舗旅館で味わう、100%の源泉掛け流し
熱海 古屋旅館(静岡県/熱海)

熱海屈指の老舗旅館としてすぐ名が挙がる「熱海 古屋旅館」。市街地の中心部に位置し、熱海駅からは徒歩圏内。東京から新幹線で向かえば、1時間もかからずに到着します。
創業は220年ほど前となる1806年(文化3年)。敷地内には古屋天満宮、館内には「日本で一番古いラジオ」「写楽の版画」などの展示もあり、宿のそこここに歴史の風情がたっぷり。細やかなもてなしにも定評があります。また、近年リニューアルを重ね、時代を見据えた新環境も次々に整えられています。


湯は熱海七湯のひとつ、「清左衛門の湯」を所有。実はこの源泉は90度以上!しかし配管の工夫によって、湯船の届く頃には適温になるよう調整されているとか。だから、加水も加熱も一切なし。カルシウム・ナトリウム塩化物泉の100%の源泉を、大浴場やお部屋の露天風呂で楽しめます。
趣の異なるお部屋が全8室。すべてで夜も朝も部屋食が可能です。
熱海 古屋旅館
静岡県/熱海
100年以上にわたって営業を続け、今なお愛される老舗温泉旅館。愛される理由はさまざまですが、その多くは日々進化を続ける努力の宿であることは間違いありません。“老舗”の心に触れに、ぜひ出掛けてみてはいかがでしょう。












