「バトラー」という存在をご存じですか?
バトラーとはお客様1人1人のニーズに合わせて執事のようにあらゆる要件に応え、滞在のお手伝いをしてくれるサービスのこと。業務内容は、レストランの手配から飲み物の準備、予約手配など様々です。
そんなバトラーがいる宿にフォーカスを当て、どのような滞在ができるのかを徹底取材。
第一弾は、手付かずの自然が多く残る屋久島にあるオーベルジュ「sankara hotel&spa 屋久島」のシニアバトラー・青野さやか氏に、離島だからこそのバトラーサービスの内容や、おすすめの滞在スタイルまで、多岐に渡り語っていただきました。
目 次
離島ならではの環境が織りなすアットホームなおもてなし
―具体的に「sankara hotel&spa 屋久島」のバトラーサービスについてお聞かせいただけますか。

ざっくり説明すると、お客様からご予約を頂戴した時点から、実際に来られて屋久島を後にするまで、全てをサポートするサービスです。
例えばお越しになる前にはガイドツアー、送迎車やレンタカーの手配など、ご旅行の前準備を。お客様が屋久島に到着した後は、空港とホテル間の送迎はもちろん、島に来る前だと想像しにくい部分もあるかと思いますので、滞在プランの提案もさせていただき、必要なものがあれば予め手配いたします。
お部屋でゆっくりと過ごしたい方にはその方の趣味趣向に合わせたお飲み物や食事を提供いたします。

最後は空港までご送迎させていただきますが島の特性上、飛行機や高速船の欠航などもあります。その場合はお客様が無事ご旅行を終えることができるよう、フライトの確認や変更、違う手段をご案内したり、チケットを手配したりするなど、コンシェルジュサービスのようなことも行います。
―島での滞在全て、バトラーにお願いできるのは心強いですね。ご予約が入った段階で、バトラーから連絡が来るのでしょうか?

正確には予約専任のスタッフがおり、予約から実際にお越しになる前段階でお客様と滞在に関してお話しします。その内容をバトラーが引き継ぎ、お客様との連絡を全て確認した上、お客様との会話の中から滞在プランを組み立てていきます。
現地で担当するバトラーは、例えばキッチンスタッフやスパのセラピスト、予約スタッフ、それぞれの部署に「こうして欲しい」「お客様はこれを求めていると思います」というのを伝え、形にしていく仕事ですね。
―バトラーはお客様の要望を汲み取り、各部署へと繋ぐのもお仕事なのですね。お客様の窓口に関しては、1組のお客様に対してバトラー1人なのでしょうか。
そうですね。滞在中はバトラー1人が専任で1組のお客様を担当させていただきます。
一番初めにお会いした際は「些細なことでもいいので話してくださいね」と必ずお伝えし、たわいのない会話の中からお客様のニーズを汲み取っていきます。
―会話の中から要望を引き出す際、心掛けていることはありますか?

まずは予約スタッフとお客様との事前に行われるメールなどのやり取りを熟読します。そして返信の文面や時間などからどういった接し方が良いかを予測し、空港にお迎えに上がります。
そして送迎中で最も大切な仕事だと考えているのですが、車内の中で、お酒のお話が出ればこんな滞在プランを提案しよう、お花に興味を持たれているのであればこんな提案をしよう、などと考えます。
色々なお話の中からお客様を知り、例えば一泊であまり時間がない方には近くの滝にご案内したり、お土産を買えないというお話であれば、チェックアウト前に少し時間を頂戴して、お土産屋さんに寄ったり、それらは全てバトラーの判断になります。
―会話の中から読み取ったニーズに合わせて各部署に繋ぐこともあるのですね。

ホテル内でお客様の情報を全て共有しておりますので、その都度「こちらのお客様にはこうした方がいいのでは?」という会話をスタッフ間で行います。
例えばハネムーンや記念日などでお越しになる方も多いのですが、事前に仰らない方も多いです。
会話の中から知ることができれば、各部署のスタッフと「こうしよう」「ああしよう」と話し合い、それによってお客様が喜んでくださるとみんなで喜ぶといった具合です。
自分のポリシーとして「仕事になり過ぎないように」と意識しています。どうしても「仕事」になってしまうと単調になりますし、お客様にとってはサプライズかもしれませんが、今の時代SNSなどで広がってしまう。ですので、一人一人のお客様にあったアプローチを考えるようにしています。
―スタッフ同士の仲の良さかが垣間見れますね。

スタッフがたくさんいるわけではないので、全員が全員の名前と年齢、乗っている車まで分かるくらい仲はいいです(笑)。
そんな雰囲気だからこそ、言いたいことも言えますし、お客様に対して提供したいサービスに関しての意見交換も活発に行われていると感じますね。
どんな要望にも対応できるように……バトラーとのやり取り
―青野様はソムリエの資格を持たれているそうですね。

私自身「バトラーサービス」を目指してこのホテルに来たので、全ての部門に関して対応ができるようになろうと考えていました。
お部屋に重きを置いている方、レストランに重きを置いている方、アクティビティに重きを置いている方、様々なニーズのお客様がいる中で、どんな要望に対してもきちんと受け答えができ、求めているもの以上のサービスを提供できるよう、ソムリエの資格を取りました。
バトラーは「ワインを管理する人」というのが語源です。それに従い、海外のお客様から見てもきちんとバトラーとして認めらえるよう、今後「sankara hotel&spa 屋久島」のバトラーは、ソムリエの資格を目指そうと打ち出しています。
―青野様のお客様に対する想いが伝わりました。そこまで徹底したやり取りになると、お客様との仲も親密になりそうですね。

以前のお客様を再度担当させていただくこともあります。その際は「また会えてよかった、元気だった?」とお声がけくださるお客様も多く、とても嬉しいですね。
「sankara hotel&spa 屋久島」は、リピーターの方が非常に多いです。オーベルジュでもあるので、食に心酔していただき、季節が変わるごとにお越しになるお客様も多く、そこからスタッフの成長を見守ってくれているようなお客様も大勢いらっしゃるのではないかなと感じています。
私も初めて担当させていただいた4泊と長い滞在をされたお客様と、ずっとお手紙のやり取りをしています。それくらい親密な関係を築くことができるのも、こういったサービスならではですよね。
―今まで青野様が担当されたお客様で、特に印象に残っているエピソードをお聞かせください。
沢山あるのですが、やはりここにいて一番良かったなと思うのは、リピーターのお客様とのやり取りです。
ソムリエ試験に合格した際などは、リピーターのお客様がバッチを付けていることに凄く喜んでくださり「一緒にワインを開けよう!」「あなたが選んだワインをオーダーするよ」と言ってくださったり、ワインをプレゼントしてくださったり……。
そういったことはお客様と長年お付き合いをさせていただいているからこそだと感じました。
自分のために取った資格ですが、その頑張りでお客様が喜んでくれたということを、実感できるエピソードですね。
バトラーとのやり取りで作り上げる、オーダーメイドの思い出
―自然豊かな屋久島ですが、どのように過ごすお客様が多いのでしょうか?

やはりトレッキングに行かれる方が断トツで多いです。トレッキング用品のレンタルは手配可能なので、当日に行きたいとなっても大丈夫です。
ホテルでゆっくり過ごされる方も多いですが、酒造見学や島内一周などアクティブに楽しまれる方も多いです。

夏ですと1日目はマリン系のアクティビティ、2日目は山のアクティビティという方もいれば、気ままにドライブをされる方もいらっしゃるので、そういった場合必要であれば観光案内やお店の予約もさせていただきます。
冬になりますと、奄美大島や沖縄のように冬でも半袖で過ごせると思われ、薄着でお越しになるお客様もいらっしゃるのですが、実際は結構寒くなります。標高の高い山間部は積雪となり、道も通行止めになるほどです。

南国の雪化粧を楽しまれるアクティブな方もいらっしゃれば、ライブラリーにある本を片手にプールサイドで読書をされたり、スパでゆっくりされたり、ホテル内で過ごされる方が多いですね。ラウンジにはビールや屋久島の焼酎などをご用意していますので、お酒を飲みながらお楽しみいただく方もいらっしゃいます。
―立地上、天候の関係で事前に予定していたことができないということもありそうですね。

そうですね。大雨が続き縄文杉に行けないとなったら、「ヤクスギランド」の裏をさらに進むと紀元杉という樹齢3000年の見事な屋久杉があるので、そちらをご案内したり、ホテル内での過ごし方をご提案したりします。
雨がすごく降った後、実は滝が大迫力になるんです。その時は予定を変更してご案内したり、それに必要なものがあればバトラーが手配したりしますので雨予報でも安心してお越しいただければと思います。
―それは安心ですね。最後に青野さんがおすすめする「sankara hotel&spa 屋久島」そして屋久島での過ごし方を教えてください。

屋久島では多くのお客様が連泊されます。1日は都会の喧騒を忘れ、ホテル内でゆっくり過ごしていただければと思います。

今年、プールサイドにサウナができました。私が好きな時間帯は朝日が昇る朝7時頃なのですが、そのタイミングで景色を眺めながらサウナを楽しんでいただくのも良いかと思います。
ゆっくり朝食を召し上がり、食後はプールサイドでのんびり過ごしていただくというのは、日常ではできない贅沢なのではないでしょうか。

また、今年の冬からプールサイドにファイヤーピットが仲間入りしまして、8人くらいで火を囲んで談笑できるスペースになっています。
そこで食前酒や食後酒を楽しみながら星を眺めていただくのもかけがえのない時間になるかと思います。実際、お客様同士が仲良くなられている様子もよく拝見します。旅先での出会いは本当にかけがえのないものだと思いますので、人間の温かさや自然の豊かさをホテルで感じていただきたいです。
―屋久島という雄大な自然が人の心を温かくさせそうですね。

おっしゃるとおりだと思います。またご宿泊くださいました皆様に「サンカラ基金」という募金を頂戴し、屋久島の自然に貢献しております。今回そちらを使い、スタッフをはじめ、登山道修復を学びたい屋久島のガイドさんたちを中心に、釘などの人工物を一切使わず、周辺にある石や倒木を用いる「近自然工法」と呼ばれる技法で白谷雲水峡の登山道2ヶ所と、サンカラホテル敷地内のトレッキングコース2ヶ所を整備しました。
そちらにもぜひ足を運び、一日をとおしてホテルと屋久島の空気を実感してもらえたら嬉しいです。

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青野さやか プロフィール
観光系専門学校卒業後、2015年「sankara hotel & spa 屋久島」入社
2017年 系列の「la Maison de GRACIANI KOBE KITANO」(神戸市)
2018年 「CASTLE HOTEL & SPA NY」(U.S.A)にてそれぞれ1年間研修へ
2020年 J.S.A ソムリエ取得、現在はシニアバトラーを務める
sankara hotel&spa 屋久島
鹿児島県/屋久島












