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伝統的な建築美とモダンが融合した文化財の宿 落合楼 村上(静岡県/伊豆・天城湯ヶ島)

伊豆・天城湯ヶ島にある老舗旅館「落合楼 村上」は、明治7年“眠雲楼”として創業した温泉宿が始まり。
伊豆半島を流れる狩野川の起点でもある本谷川と猫越川が“落ち合う”場所に佇むことにちなみ、平成14年に現在の宿名に生まれ変わりました。山岡鉄舟や北原白秋、島崎藤村、田山花袋、梶井基次郎など、日本を代表する文人墨客が滞在したことでも知られます。

100年以上もの歴史を守り続ける館内

建物内の7つの箇所が、国の有形文化財に登録されているこのお宿。最初に訪れる人々を迎える玄関棟もその1つです。

館内に足を踏み入れた瞬間、外の騒々しさとは無縁の別世界が広がります。組子細工を施した窓枠や能面をはじめとする格調高い調度品などが飾られた廊下に、長い歴史が感じられます。

廊下の窓ガラスには、微妙な歪みが特徴的な大正ガラス。先人たちが施した匠の技が、今も大切に受け継がれています。
朝10時からは館内を解説と共に見学できる文化財見学ツアーも実施中です。ぜひ参加してみましょう。

好みによって選べる2つの滞在スタイル

旅館ならではの滞在スタイルがお好きな方は、本館和室への宿泊がおすすめです。柱や長押等の基本的な材は桧で統一され、格式高い本格的な普請。各室には床の間と床脇の棚が具えられ、室によっては付け書院を設けています。 特に床柱や床框には、黒柿や紫檀などの銘木奇木を充て、また黒漆を塗るなど、室の格を高める為に意匠的にさまざまな工夫が施されているのが特徴的です。

滞在中は仲居さんをはじめとするスタッフの方々がお食事などのお世話をしてくれる、至れり尽くせりな時間が過ごせます。

気ままに過ごしたい方は、眠雲亭がおすすめ。源氏物語の各巻の名前が付けられた各客室の欄間にはこれに因んだ模様が、桐板に透かし彫りされています。
1階の柱は檜の四方征の角柱、2階は杉の面皮柱が用いられ、柔らかな風情を醸し出している数寄屋造りの趣にまとめられています。
欄間と書院の小障子には、菱形に組んだ組子の内部にさらに細かい細工が施され、職人の技を間近で見ることができます。

また、建築当初から配置されている洋間にはステンドグラスも。日本の美と西洋の美がかけ合わさった、モダンな雰囲気のお部屋です。

「自由なホテルスタイルプラン」を選ぶと、ドリンクやお菓子をフリーでいただける「山荘ラウンジUme」が利用できます。老舗旅館なのに、まるでホテルのように自由な滞在ができるのが嬉しいですね。

“本館”と“眠雲亭”も国の有形文化財に登録されている歴史的建造物。重厚感のある雰囲気を肌で感じながら、好みの滞在スタイルに合わせてお部屋を選びましょう。

お部屋で一息ついたら、大浴場へ。かつて天城の天狗が人目を忍んで訪れたと伝えられる“天狗の湯”には、竹垣で囲まれた露天風呂、奥に進むと不思議な風情の洞窟風呂が備わります。

内風呂と半露天風呂がある“モダンタイル大浴場”も、足を運んでみたいもの。

プライベート空間で湯浴みを満喫したい方は“貸切露天風呂”がおすすめです。どの湯殿にも源泉かけ流しの温泉がなみなみと注がれます。名湯に浸かれば日ごろの凝りも解れることでしょう。

こだわりが詰まった美食の時間を過ごす

客室によって食事のスタイルも異なります。本館の場合は個室のお食事処かお部屋食にて、眠雲亭の場合は「紫檀ダイニング」でいただきましょう。

夕食は地元の旬の食材を活かした月替わりの会席料理です。伊豆で育った山菜や、その日の朝に獲れた地魚を、宿のある天城で採れた本わさびと共に。

白飯は、日本の棚田百選「荒原(あれはら)の棚田」で育った無農薬米を土鍋で炊いたもの。お米の水分量が15%程度になるまで天日干しにする、昔ながらの製法で作り上げます。中伊豆の食材や宿のこだわり満載の料理の数々に、忘れえぬ美食の時間になることでしょう。

食へのこだわりは、朝食にも。中でも“具なし”の味噌汁は、一風変わった一品です。具がないからこそ引き立つ、出汁本来の味にこだわり抜いた味噌汁は、化学調味料を一切使わない、手間のかけ様。朝一番の眠たい身体に優しく染み入りそうですね。

朝食の後は、茶房「ラウンジ スワン」にて挽きたて珈琲をいただきましょう。知る人ぞ知る伊東市にある『ヴェッカー』より毎週仕入れる焙煎した豆を、酸化を防ぐ為に小分けにして冷凍保存。ドリップする直前にミルで挽いて提供する珈琲は、香り高い味わいが人気です。

日本の伝統建築にモダンな雰囲気が調和したトラディショナルな旅館「落合楼 村上」。東京から好アクセスの場所で、タイムスリップしたかのような旅を満喫してみませんか。

落合楼 村上

静岡県/伊豆・天城湯ヶ島

 

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