「せとうちに浮かぶちいさな宿」をコンセプトに、2017年10月に就航した「ガンツウ」。穏やかな瀬戸内海を漂いながら島々が織りなす絶景や島の魅力に出会う、他に類を見ない贅を尽くした客船です。
今回は複数ある航路の中から、宮島や音戸の瀬戸などを巡る「西回り2泊3日」の旅を体験してきました。
優雅な船旅の魅力を、客室編と食事編の2編に渡りご紹介します。
旅の始まりを告げる汽笛音で乾杯
船が発着するのは、広島県尾道市にある「ベラビスタマリーナ」。専用ラウンジで荷物を預け、海を眺めながらチェックイン手続きを行います。
マリーナから遠目に見えるガンツウは、まるで建物が海に浮かんでいるよう。船体はシルバーで、瀬戸内海の海や空を映し込み表情が変わります。
ラウンジでゆっくりくつろいだ後は、専用カートに乗っていざ乗船です。
出港時は、シャンパンで乾杯するのがお約束。
はやる気持ちを抑えて、まずは最上階の3階にあるオープンデッキへ向かいましょう。出港の合図を告げる大きな汽笛の音に、これから始まる船旅への期待も高まります。
木の香り漂う洗練された空間
この船の設計を手掛けたのは、建築家の堀部安嗣氏。船の特徴とも言える三角の切妻屋根は、瀬戸内の島々に瓦屋根の集落が多いことから、その風景と溶け込むようにとデザインされたものです。
軒下に広がる「縁側」は、日本らしいスタイルで自由にくつろぐことができる特等席。
季節の甘味をいただくもよし。干物と共に一献かたむけるもよし。靴を脱いで腰掛ければ、移り変わる瀬戸内の自然に魅了されることでしょう。
ラウンジやダイニングなど船内には11種類の木材が使用され、どこにいても優しい木の香りに包まれます。エンジン音や振動もほとんどないため、海の上にいることを忘れてしまうような落ち着いた空間です。