長野の西南、もう少しで岐阜に至るという山間に広がる昼神温泉郷。昭和48年に再発見された比較的新しい温泉地ですが、「石苔亭いしだ」は、その温泉郷のちょうど中心あたり、阿智川のほとりに位置しています。

壮麗な夷毘沙門をくぐって館内へ。するとまず出迎えてくれるのが能舞台の「紫宸殿」。

他を圧倒するような存在感を放つこの宿の象徴で、ロビーにここまで本格的な能舞台を備えた宿はあまり例がないかもしれません。

この舞台では毎晩、地元の演者を招いて伝統芸能が披露されています。さらに年に一度は特別舞台を開催。

もうひとつ、この能舞台を活かした注目イベントが「二千体雛飾り」。通常公演に代わって1月〜4月に行われているもので、2000体もの雛人形や吊るし雛が能舞台を埋め尽くす様はまさに圧巻の光景。このお雛様に会いたくて毎年訪れる人も多いとか。
「男の隠れ家」をテーマにした客室も

全19室の部屋は独立した造り。露天風呂や半露天風呂が付いている客室や、部屋数、広さによって違いがありますが、ここでは「男の隠れ処」をコンセプトとした、ちょっとユニークな客室をご紹介しましょう。

それが「外山(とび)リビング」と呼ばれるタイプの客室。和室にリビングとなんと書斎まで付いています。旅先の宿に書斎?と少し不思議に思うかもしれませんが、この書斎が実に落ち着く良い空間。決して広くはありませんが、「男心」をくすぐる調度品が飾られていてついこもりたくなる雰囲気です。シアタールームが付いた客室もあるので、お気に入りのDVDを持参するのもいいでしょう。

シアタールームといえば、「いしだ」には誰でも利用できる別の広いシアタールームも完備。こちらは先着順の事前予約制。無料で利用可能です。

温泉はとろりとした単純硫黄泉。肌がツルツルになると好評です。巨岩を配した露天風呂で星空を見上げながら湯を楽しむひと時は、きっと日常を忘れさせてくれますよ。
春の食事の楽しみは山菜

食事の満足感もひときわ。ここでいただけるのは月替わりの信州会席料理。春夏秋冬、その季節いちばんの食材を使った和食が楽しめます。春の今ならやはり山菜。たらの芽、わらび、うるいなど、さまざまな山菜をたっぷり使った会席料理は山に囲まれた長野ならではのもてなしです。

お腹に余裕があれば、名物の信州牛の塩釜焼きもぜひ。低温でじっくり焼き上げた信州牛の塩釜焼きで、噛みしめるほどに肉の旨みが口いっぱいに広がります。

朝食のおすすめは小皿に盛られたおかずがずらりと並ぶ「短歌膳(通称31膳)」。事前予約が必要ですが、次はどれをいただくか、迷う時間も楽しいもの。
昼神温泉の朝市をぶらぶら散策した後なら、朝食もお腹いっぱい楽しめるでしょう。


