フランソアをシャワーに追いやり、後10分の惰眠を貪る。ドライヤーの音に目覚め、バスルームに侵入するとフランソアが裸のまま髪を乾かしている。
さっさとシャワーを使い、キスを送ってくるフランソアを無視して着替えを急ぐ。フロントで傘をかり、横殴りの雨の中、ルーブルを横切り、セーヌを渡って美術学校の脇からサンジェルマン・デュプレにでる。
ここまで2人とも口を利かずにひたすら歩いた。フランソアは息が上がってハーハー喘いでいた。立ち止まって、そんな彼女を抱き寄せてキスをする。
2呼吸程外そうと抵抗したが後頭部を両手で掴むと激しいキスを返してきた。噛み付くようなキスの応酬、抱いていた腕を解き手を掴むとフランソアが自分の股間に導く、
スカートをたくしあげショーツを穿いてないのにきずき手を止める、フランソアは長い溜息を漏らすとしゃにむに攻撃をしかけてきた。敏感な処に触れると声を上げ首にしがみついて体をささえ、
ズボンのチャックを下ろそうとさぐる。その手を押えて尻を叩いて終わりを告げる。「なんて女だ!」。フランソアがけたたましい嬌声を発して歩き出した。
クポールは混み始めていた。山田が席を取ってくれていてすでに皆揃っていた。フランソアの友達も来ている。山田は大学の同期で私大のフランス語の講師をしている。
今回の留学も学校からの派遣で、特に何を学ぶでもなく気楽なパリ生活であった。留学切り上げを決意したのもこれ以上居ると日本での働き場所が確保できなくなる恐れからである。
東京でもフランソアとのことは嫉妬まじりの噂になっていて、留学を世話してくれた教授からも「浮いたパリ生活を切り上げる潮時です」と言って来ていた。
フランソアと結婚できればフランスで仕事を得ることを考えたが、保守的なフランスでは東洋人との結婚を家族が認めることはなかった。地方の名家の娘であるフランソアの場合はなおさらである。
フランスには厳然として階級制度が残っている。フランソアも諦めたうえでの、これは覚悟のアバンチュウルであった。だから彼女はけして別れを泣かなかった、取り乱しもしなかった。
ただただ、二人の思い出を深く残そうしていた。
最後の宴は盛り上がった。フランソアがこれを機会に郷里に引き上げることを明かしたのでなお更であった。興に乗ってワインを飲もうとするとさりげなくとめた。
ブランデーで別れの乾杯を終えるとフランソアがスカートを跳ね上げて手の上に坐った。愛の壷はすでに溢れている。それを確認させる様に腰を左右に振って、いたずらし掛ける様に微笑む。
これで終わりではないという、フランソアの切ない切ない意思表示である。ここを先途と2人は立ち上がった。




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