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激しい雨は夕方になっても止まなかった。目が覚めると部屋は闇がたちこめていた。隣に寝ているフランソアの裸の肩をゆすって起こすと、部屋の暗さに驚いて「何時なの」と叫んだ。 「7時」「随分寝たのね」と腕を首に回し、裸の体をからめてキスをする。「駄目、また始まっちゃうでしょう」キスの激しさに唇をはなす。 「9時前にはクポールに行かないと、誰か待っているかもしれない」。

5年の留学を切り上げて明日帰国する。荷物を送り出しアパ−トを畳んで4日前からホテルにいる。すでに同窓生や留学生仲間、在パリのジャーナリスト、 画家や作家、在留邦人との送別会は終わっている。通い慣れたカフェ、レストランやバーへの顔出しもすませて最後の数日はこの四ツ星ホテルで過ごそうと決めていた「ホテル デュ ルーブル」にフランソアと籠もっている。ホテル デュ ルーブルはパリ万博に出席した幕府の慶応視察団が投宿した。福沢諭吉のパリがここにある。 ヨーロッパにきた初めての日本人たちのパリと自分の始めてのパリが交差する。

食事と眠る以外、2人は愛しあった。貪り、攻め、体をぶつけ、抱きあい、叫び、唸り、幾度も上り詰め、果てた。そして陥るプティ モール。 目覚めると乳房をもとめ、ゆっくりと執拗に、やがて押え付けて愛撫を繰り返す。子宮を熱くしたフランソアが反撃にでて萎えていたものを含むと、再び燃え上がる。 時間がない、食事に行く間も惜しみワインとチーズを裸のままで飲み下すと、ベッドに倒れこんで愛し合った。

雨が降っていた。時間つぶしで大学近く、サンミシェルの大きな本屋に入り、書棚の間を回っているとオリエンタルアートの書架で熱心に日本の陶器の写真集を見ている女子学生を見かけた。 棚にも縄文の写真集が開かれて置かれている。「何を探しているの」と声をかけた。「日本人?」そうだと言うと急に饒舌になった。エッフェル塔で日本の古代から現代までのセラミックの展覧会を 見て日本独特の無柚薬の陶器の美しさに驚き、もっと知りたいと思って本を探しているのだという。三越パリの開店記念にエッフェル塔でそういうイベントがあって日本の陶芸好きのシラクパリ 市長が何度も来場し、解説の誤りを指摘したという日本語新聞を読んだばかりだった。高校の陶芸部出身である、六古窯位は知っている。縄文からの流れが解る本を探し出して説明し始めると、 おもわず声が高くなって周りの顰蹙をかってしまった。急いで本を買い、カフェに移って話し込んだ。気が付くと夕闇の気配、今日の講義はここまでと本をプレゼントして分かれた。 これがフランソアとの出会いであった。







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