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1 怖さも笑いもある人間ドラマ「牡丹燈籠」

8月6日から31日まで、舞台「怪談 牡丹燈籠」に出演します。もともとは、三遊亭円朝さんの落語を基に杉村春子さんのために書かれた戯曲です。怪談ではありますが、人間の業と欲など人間の裏側が全部描かれていて、すごく面白い作品です。

私の役は貧乏な夫婦のおかみさん、お峰。段田安則さんが演じる夫の伴蔵は、奉公人として、瑛太さん演じる萩原新三郎に仕えています。ところが、新三郎に恋焦がれるあまり死んで幽霊となったお露が毎夜のように訪ねて来ます。そこで幽霊が近寄らないようお札を貼ったところ、伴蔵は幽霊から、お札をはがしてほしいと頼まれ――普段は善良な人も、ほんのちょっとした出来心がきっかけに、運命が思わぬ方向に転がっていくという筋書きなんですが、そういうことって、誰にでも起こりうるし、怖いなぁ、と思いました。

ですから幽霊のお話というより、まさに人間ドラマなんですね。クスッと笑うようなところもあるし、「そうそう、夫婦ってこういう感じよね」というやりとりもあります。奥さんがヤキモチをやいて、夫にぶつけると、「つまんねぇこと言うんじゃねぇ」とか。江戸弁のべらんめぇ調のやりとりがあって、テンポがいいですね。演じていて、男が2人いると思うくらい、お峰はきっぷがよくてテンションが高い。自分の気持ちを隠すことができないストレートな女性なんです。

相手役の段田さんとは、舞台で共演するのは27年ぶりです。私が野田秀樹さんの「夢の遊眠社」に参加させていただいた時に、ちょうど劇団にいらして。段田さんの空気は前から馴染んでいたので、27年ぶりではありますが、あ・うんの呼吸があるのかな、という気がします。

演出のいのうえひでのりさんとは今回初めてなので、稽古に入る前はとっても緊張していましたが、今は緊張する間もない密度の濃いお稽古の毎日です。いのうえさんはご自身のなかで、最初から絵柄や俳優の動かし方が決まっているんですね。ある程度動きが見えているので、大変ではありますが、入っていきやすいと思いました。

舞台は稽古と本番あわせて2ヵ月以上の長丁場。集中すると食べることに気がいかなくなりがちなので、意識的にきちんと食べて稽古に挑むようにしています。「レバーはいいよ」とアドバイスされると、食べてみたり。かなり身体を動かすので、帰宅するとそのまま休みたくなりますが、疲れをとるためにもストレッチは欠かしません。


【 お知らせ 】
「怪談 牡丹燈籠」
会場:Bunkamuraシアターコクーン
期間:2009年8月6日(木)〜8月31日(月)
一般前売開始日:2009年6月13日(土)
料金:S席 9,500円 A席 7,500円 コクーンシート 5,000円
当日券:全ステージ開演1時間前より販売
HP: http://www.siscompany.com/03produce/24botan/index.htm


伊藤蘭(いとうらん)
1955年、東京都生まれ。73年キャンディーズとして歌手デビューし、人気を博した。78年に解散し、80年女優として復帰。 翌年、夢の遊眠社の舞台に出演。2003年、連続テレビ小説『こころ』など数多くの作品に出演し、現在も映画、テレビ、舞台など幅広く活躍している。


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