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一期一会

ザ・ペニンシュラ東京ザ・ペニンシュラ東京

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No.1 緑の海と銀座の灯

渡辺 このホテルの一番いいのは眺望ですね。 百会楽話 渡辺淳一 × マルコム・トンプソン トンプソン氏

百会楽話 渡辺淳一 × マルコム・トンプソン 景色

百会楽話 渡辺淳一 × マルコム・トンプソン 洗面所
マルコム・トンプソン (以下 M .T)
今まで、おそらくどなたもごらんになられたことのない景色じゃないでしょうか。
渡辺 日本人には、ついこの間まで皇居を見下ろすなんていう発想はなかった。それなのに商社や公務員共済の高層ホテルがまわりにどんどん建ってしまって。
M .T 皇居の中は見えないんです。見越しているといいますか。
渡辺このビルが建つ時にもね、皇居が中まで見られるんじゃないかと、新聞や雑誌で批判的な記事もあったけど。でも、もうすでにみんなが見下ろしているんだ。しかし、実際泊まってみて、全然そんな心配はないことに気がつきました。
M .T 宮殿やお庭が見えるわけではありません。
渡辺 はるか彼方で、しかも緑が多くてね、とてもとても見えないんだっていうことが、改めてわかりました。皇居ってこんなに広いんだってことも。
M .T 広大な緑がミステリーな安全を作っています。同様にこのホテルの部屋から日比谷公園が見えることも、とてもいいことだと思います。これからは紅葉が始まりますので、季節の移り変わりを感じることができる場所です。
渡辺 それとね、反対側は夜の光でにぎわう銀座が見える。
M .T 多くの方が銀座のビューを見たいとリクエストされます。
渡辺皇居側の緑豊かな静まった風景と対照的でおもしろい。
M .T 銀座側は東京湾も見えるので、それもとても印象的な景色です。
渡辺 この場所、今まで何が建っていたのか、記憶にないね。
M .T 前は日比谷パークビルという商業施設ビルでした。その前は、日活ホテルがあったんです。石原裕次郎さんが結婚披露宴を行ったホテルです。この場所にはホスピタリティ、おもてなしの心の歴史がある場所なんです。開業準備の時に、日活ホテルにいらした方に何人か会ったんです。またホテルができることを、おもしろいといってくださいました。
渡辺 このホテルの下の坪数はそんなに広くない空間なのに、実に上手に作ってあると思いました。 百会楽話 渡辺淳一 × マルコム・トンプソン オブジェ

百会楽話 渡辺淳一 × マルコム・トンプソン ドア説明


マルコム・トンプソン
ハイアットインターナショナルグループで、30年のホスピタリティ業界の経験と実績を持つ。パークハイアット東京で7年間総支配人を務め、その間、ソフィア コッポラ監督の『ロスト イントランスレーション』の撮影舞台として全面的な協力を行った。1995年から1997年にかけては、オーストラリア首都特別地域観光局の局長を務める。イギリス国籍。ロンドン大学およびニューカレッジ卒業。



渡辺淳一 (わたなべ じゅんいち)
北海道生まれ。医学博士。1958年札幌医科大学卒業後、整形外科講師となり、医療のかたわら小説を執筆。1970年『光と影』で直木賞を受賞。1980年に吉川英治文学賞、2003年には菊池寛賞などを受賞。北海道・札幌に渡辺淳一文学館がある。作品には「阿寒に果つ」「無影燈」「白夜」「ひとひらの雪」「失楽園」など多数。現在文壇の第一線で活躍している。

オフィシャルブログ | 渡辺淳一文学館

M .T インテリアデザイナーの橋本夕紀夫さんは、空間をうまく作ってくださって、ロビーに入った時に、大きすぎない印象を出してくださいました。まるで、ブティックホテルにいるような感覚で、それなのに314ものお部屋があることに、みなさん驚かれます。
渡辺 そう、ロビーは非常にコンパクトですね。ところで、ブティックホテルっていう言葉があるの?
M .T 200以下のお部屋で小さいホテルをいいます。橋本さんは、全体的に温かい雰囲気を作り出してくださっていて、特に絨毯や部屋の色ですね。日本の方々はこういう温かい色味を見て、温かい心を感じますので、そういうふうに作ってくださいました。
渡辺 たしかに全体のトーンが柔らかい。
M .T 素材にもこだわっていて、寝室のプライバシードアもトチの木の一枚板を使っています。
渡辺 泊まってみて、いろいろ木の感触を生かしているのがよくわかりました。
M .T 五感に訴えるものを作ってくださっています。日本人は見ることですとか、香ること、触ることで非常に趣を感じる方たちなので、そういうことに、大変配慮しております。
渡辺 このホテルのすぐ近くに帝国ホテルがあるでしょう。あそこと競い合うんじゃないかと思ったんだけど、まったく違うコンセプトですね。そういう意味でも、ぶつかり合わない。
M .T 違う特性を持っています。帝国ホテルは、1,000以上の客室をお持ちで、もちろん歴史も100年以上あるとても素晴らしいホテルです。特に日本人の方は、帝国ホテルが一番いいホテルだという認識があります。それはそれでまったく違う特性を持っています。私たちもザ・ペニンシュラホテルズ全体のビジネスとしては、長い歴史を持っていますが、東京ではまだまだです。ここにお泊まりのお客様が、帝国ホテルのレストランに行かれたり、もしくは帝国ホテルのお客様が、ザ・ペニンシュラ東京のレストランやバーにいらっしゃったり、お互いに行き来ができるんじゃないかと思っております。
渡辺 日本人の一般的な多くの人のホテルへのイメージは、大きくて豪華で、非日常の施設である。そういうイメージを日本人はいまだに持っています。
M .T ホテルにとって大切なことは、やはり温かい心。フレンドリーなおもてなしです。ウエルカム、「ようこそ!」といえるような、そういう雰囲気を接客で作ることが大切だと思います。
渡辺 今支配人がいわれたようなことは新しいタイプの感覚でね、こういう感触のホテルも増えてほしいね。

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Photographs by Tadayuki Aritaka




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