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一期一会

星のや 軽井沢百会楽話 [対談7]星のや 軽井沢
星のや 軽井沢

一 三 四 五

二. 旅館のここが使いにくい

渡辺 僕はね、和風旅館はあまり好きではないというか、なにかと使いにくくてね。 百会楽話 渡辺淳一 × 星野佳路 外観

百会楽話 渡辺淳一 × 星野佳路 客室ベッド
星野 どんなところがですか?
渡辺 広い畳の部屋に小さな布団っていうのがね。大きなサイズのダブル布団ってないでしょう。広い部屋に狭く小さい布団をポツンと置かれたら落ち着かない。それよりは大きなベッドのほうがいい。
星野 寝床の広さの問題ですね。落ち着かないですか?
渡辺それに年を取るとソファに座っているほうが楽ですよ。日本式のお座りはつらい。
星野 ほかに旅館で嫌いなところは、どの辺ですか。
渡辺 旅館はね、まず女中(※仲居)さんがいて、いろいろと世話をやいてくれるでしょう。
星野 プライバシーがないっていうことですか。
渡辺 出入りも気になる。外に飲みに行っても、遅く帰れない雰囲気があって、僕のようないい加減な男には向かない。
星野 なるほど。煩わしいんですね。
渡辺それから、朝も新聞を入れてくれるのはいいけど、何となく早く起きてくれないか、と思っているんじゃないかとか。
星野 そう感じてしまうのですね。
渡辺 それから何時に食事しますかって聞かれる。8時っていうと、その時間に起きていなきゃいけない。途中でもっと寝たいなんていうわけにいかないし。なんか密着しすぎというか、家庭的なのが少しわずらわしくて。それに、畳に横にゴロンとなりにくいね。ソファのほうが楽。ホテルの部屋は密閉感が強いけど、旅館は孤立している感じがなくて。
星野 やっぱりプライバシーが守られていないっていうことですかね。
渡辺 何かカチッとしていない。それにチップというか心づけをしなければならないし、あれが面倒臭くて。 百会楽話 渡辺淳一 × 星野佳路 客室


百会楽話 渡辺淳一 × 星野佳路 ツーショット


星野佳路(ほしの よしはる)
1991年(株)星野リゾート社長に就任。リゾートの再建に取り組む一方、2005年本拠地に星のや軽井沢を開業。同じく2005年からは温泉旅館再生事業にも力を注いでいる。



渡辺淳一 (わたなべ じゅんいち)
北海道生まれ。医学博士。1958年札幌医科大学卒業後、整形外科講師となり、医療のかたわら小説を執筆。1970年『光と影』で直木賞を受賞。1980年に吉川英治文学賞、2003年には菊池寛賞などを受賞。北海道・札幌に渡辺淳一文学館がある。作品には「阿寒に果つ」「無影燈」「白夜」「ひとひらの雪」「失楽園」など多数。現在文壇の第一線で活躍している。

オフィシャルブログ | 渡辺淳一文学館

星野 旅館では、部屋で食事をするじゃないですか。だんだん浴衣がはだけてきて、だらしなくなってきますよね。で、次の料理が来るときちんとしなきゃいけないっていう雰囲気があって、私は気を遣いました。
今、おっしゃっられたことが、私たちが95年以降把握した内容なんです。そこが、温泉旅館が使いにくくなった原因ですね。明治、大正にかけては、女中さんとお客様の身分に相当差があったと思います。ですから、お客様が女中さんに対して、平気で気を遣わない文化があった。立場の差が歴然としていたのが、今は対等になってしまったんですよね。
渡辺 だいたい女中っていう言葉がほとんど死語だからね。
星野 対等になってしまったので、逆にお客様が気を遣うという現象が起こっているんだと思います。
渡辺 僕は夜中に起き出して原稿を書くんだけど、和風のテーブルは低すぎて書きにくい。ひざを入れるとギリギリで、文机も小さいし、それから見たら椅子と机のほうがはるかに楽で長く集中できる。昔の作家は、よくあんな状態で書いたと思うね。
星野 残っていますよね、旅館に。
渡辺 長く書いていると、ひざが痛くて立ち上がれなかったんじゃないかな。今、すごく和室が好きだっていう人はいますか。
星野 和室にこだわっている人は減っています。特に年配の方は、ベッドがいいとおっしゃいます。それは寝起きが楽ということを含めてですね。ただ、私が意外だったのは、中国と韓国に行って調査をしますと、畳がいいっていうんです。
渡辺 中国人が?
星野 そうです。日本に旅をして、求めるのは畳なんです。畳のある部屋に泊まることに大きな価値を置いています。
渡辺 ある種のエキゾチズムだ。彼らにとっての。
星野 その需要は増えてくると思います。機能を持つ畳である必要はなくても、象徴としての畳の部屋があることが大事なのかなと。茶室的なものですね。作り込んだもの。小さな部屋でいいと思います。
渡辺 「星のや 軽井沢」は高級だから、値段からすると、若い女の子は手が届かないかもしれないね。
星野 でも、食事の料金が含まれていませんから、ほかの高級温泉旅館に比べると安いんですよ。
渡辺 自分で食べ物は工夫すればいいと。
星野 ですから、旧軽銀座に行くのも方法ですし、近くのレストランで食べるのもいい。私たちの施設内で食べていただいてもいいんです。ここの敷地内にも手ごろな値段の定食屋があります。“村民食堂”っていうんですが、そこで食べていただければ、2,000円ぐらいで食べられます。そういう意味で、食事の料金を部屋と分けるのは、温泉旅館にとって、すごく大事だと思っています。いろいろな幅広い方に泊まっていただきたいですから。

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「星野リゾート」が運営している施設は、一休.comからご予約いただけます。
星のや 軽井沢 (長野・軽井沢)
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アンジン (伊豆・伊東)
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奥入瀬渓流ホテル (青森・奥入瀬渓流温泉)
貴祥庵 (長野・浅間温泉)
仁科の宿 松延 (長野・信州大町温泉)
磐梯山温泉ホテル (福島・磐梯)
華仙亭 有楽 (島根・玉造温泉)

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Photographs by Toshio Yasui




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