| 渡辺 | なかなか凝ったというか、徹底的にこだわったっていう作りですね「星のや 軽井沢」は。 | ![]() |
| 星野 | 先代から引き継いだ敷地ですけど、実は軽井沢というと、浅間山が見えますかと昔よくいわれたんですよ。浅間山が見える部屋がいい部屋で、見えない部屋はよくないと。この敷地は谷になっていまして、周りが森に囲まれているので、浅間山が見える場所が一つもないのが悩みだったんですが、逆に谷になって囲まれていることを利用し、違った空間が作りやすくなりました。 | |
| 渡辺 | ハンディキャップをプラスに転じようと。 | |
| 星野 | それしかないっていうことになりまして。結果的に軽井沢の中でもちょっと違った空間ができたと思っています。 | |
| 渡辺 | 2005年にまったく新しいアイディアで「星のや 軽井沢」を作り替えたわけでしょ。その時はあなたがメインでやられたの? | |
| 星野 | 私、1991年に社長就任しまして、この「星のや 軽井沢」改築に10年かかったんです。 |
| 渡辺 | 91年に社長になられて、それで? | ![]() ![]() |
| 星野 | それから95年までは、内部の経営をよくすることに、注力していまして、少し状況がよくなってきたので、星野温泉ホテルを改築しようと95年ぐらいから構想をねり始めたんです。 | |
| 渡辺 | じゃあこのように様変わりしたのは、全部あなたの一存でやったんですね。 | |
| 星野 | もちろん多くのスタッフも手伝ってくれました。 | |
| 渡辺 | あなたが社長になる前はお父さんがやられていて、その前、おじいさんの時から見ていて、何か思っていたわけですね。 | |
| 星野 | この30年、世界のリゾート業界が様変わりしたんですね。で、温泉旅館というものに対する日本人の目が厳しくなりました。 | |
| 渡辺 | というのはどういう意味ですか。 | |
| 星野 | 日本の温泉旅館は江戸時代から同じサービスをずっと続けてきました。温泉旅館は変わっていないんです。だけど、それを見る日本人の目が変わった。目が変わった理由はやはり海外のリゾートに行き始めたからです。父や祖父の時代に、星野温泉ホテルにいらした方は、ほとんど海外旅行経験がないと思います。ところが今はほぼ全員が海外旅行に行っている。海外の一流ホテルや一流リゾートに泊まった経験がある方々なんです。そういった方々から日本の温泉旅館に対して要望が増えてきました。 |
| 渡辺 | あなたは若く見えるけど、91年社長さんになった時はおいくつでした? |
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| 星野 | 31歳です。今は47ですが。 | |
| 渡辺 | その前から、ちょっとこれではまずいと考えられていた。 | |
| 星野 | いいえ、経営を始めて、経営状況をよくしていく過程で、お客様と接する機会が増えていくうちに、いろいろなコメントをいただいて、調査をしました。それで日本の温泉旅館の形式は、変えざるを得ないということになったんです。 | |
| 渡辺 | それ社長になられて3、4年目から。 | |
| 星野 | そうですね。95年から全面改築をするために市場調査をしたり、お客様のアンケートを取ったり、リピーターの方もいらっしゃるので、そういった方々にお聞きしたんです。びっくりしたのは、星野温泉ホテルに年に5回、6回来られる方です。軽井沢に来るたびに私たちの旅館に来てくれると思っていたんですね。お会いして、よくお話をうかがうと、実は軽井沢のほかのホテルに10回行ってらしたのです。そのほかのホテルや旅館にもよくでかけている。泊まり歩く旅行はわれわれの側から見えない部分でした。ケースに応じて施設を使い分けていらっしゃるのが、お客様の実態なんですね。 | |
| 渡辺 | 海外の新しいリゾート地も、いろいろ見て回ったんですか。 | |
| 星野 | 私は大学院の2年間を海外で過ごして、その後、シカゴで働いていました。その時にもいろいろ見ました。91年就任以降も見ました。ただ一番多く見たのは国内なんです。国内の温泉旅館を見て歩いた。これが一番勉強になったと思います。 |
| 渡辺 | あなたなりの新しいアイディアで作ってみたいと思った時に、基本コンセプトは何だったんですか。 | ![]() 星野佳路(ほしの よしはる)
1991年(株)星野リゾート社長に就任。リゾートの再建に取り組む一方、2005年本拠地に星のや軽井沢を開業。同じく2005年からは温泉旅館再生事業にも力を注いでいる。 |
| 星野 | 「星のや 軽井沢」の基本コンセプトは「温泉旅館道を極める」ということです。いろいろな新しいサービスの提案をお客様に行ったんです。こういうのはどうか、こんなサービスはどうかと。斬新なアイディアを世界中から持ってきましたが、意外とそういうのは求めていらっしゃらないんです。新しいのもいいけど、もっと基本になっているところを何とかしてほしいっていう要望がすごく多かった。たとえば食事の時間帯です。朝起きて、7時、8時から食べなきゃいけない、21時以降食べるものがない。バリやハワイの一流リゾートに行ったら、10時に起きて、11時に朝食が部屋で取れる。ですから、24時間ルームサービスを入れたほうがいいと。 | |
| 渡辺 | 勝手気ままに過ごせるようにと。 | |
| 星野 | 新しいサービスじゃなくて、今あるサービスを世界の水準に引き上げていくことをお客様は求めていました。温泉は好きだけれども、旅館のサービスは嫌いとおっしゃるんですよね。ですから、もう新しいところにお金をかけるのはやめて、基本部分で世界水準に追いつくことをテーマにしたんです。24時間ルームサービスも導入しました。今日お召しあがりいただいたレストランで夕食をされる方は、宿泊している人の半分でしかないんです。残りの半分の方は軽井沢の外のレストランに行っていらっしゃる。これは泊食分離料金体系。泊まる料金と食事の料金は別にしたからできます。そういう要望がすごく強かったですね。温泉旅館に行くと食事が必ずついてくるから2泊したくない。3泊して同じものを食べる気になれないお客様が多いのに対応していこうというのが、「星のや 軽井沢」の一番のテーマです。 |



![百会楽話 [対談7]星のや 軽井沢](hd.gif)








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