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一期一会

ニドム百会楽話 [対談5]ニドム
ニドム

一 二 三

四. アイデンティティは北海道

渡辺 北海道はいわゆる日本と少し外れています。だからそのユニークさを出してほしい。ニドムはかなり出していると思いますけど。 百会楽話 渡辺淳一 × ニドム社長
百会楽話 渡辺淳一 × ニドム社長
百会楽話 渡辺淳一 × ニドム社長
石川 本州から来たお客様に、どうしてこんなものを作ったかと聞かれると、私は日本人でないから作れたといいます。そうしたら、おまえはどこの人間だと。北海道人だ。そこの差はあるんだよということをいうんです。
渡辺 同じ日本でも、東北以南と北海道は全然別の国ですよ。千歳空港に下りた途端に空の大きさから、植物帯・動物帯、全部違いますからね。そういう中でのユニークなところで憩いたい。
石川そういう考え方を持たないと、こういうものはできませんよ。
渡辺 どさん子も少し外人っぽい。僕は俳句とか短歌をやっていてね、俳句の歳時記が北海道には合わないんですよ。あれは奈良か京都を中心に作っていると思う。だから「汗したたる」なんていってもね。どこで汗をかくんだっていう感じでしょ。それから「吹雪」とか、雪といっても、向こうの人は楽しむ感覚が強い。でも北海道の吹雪は、一つ間違うと死ぬっていうか、ブリザードでしょ。だから、北海道は歳時記が合わないところです。日本の伝統的な四季観とはまるで違う四季観ですからね。その異色なエキゾチズムを活かしてほしい。
石川 そうなんです。今先生がおっしゃったエキゾチズム、やっぱりこの森。
渡辺 遊歩道とか散歩道があるのかもしれませんけど、ドイツの森の道は深くてすごいじゃないですか。
石川 奇麗に作ることはないんですよ。そのほうが美しい。ところが日本人っていうのは、何でも右に倣えで作っていくからね。
渡辺せっかく北海道で作るんだから、日本的なものじゃないほうがいいですね。あくまでも北海道的なものを。
石川 ここは1.5キロ森の中をくぐってお客さんが入ってくるようにしているわけです。歩くと20分かかります。バスでもやっとくぐってくるような、森でしょ。何があるのか夢があるでしょう。
渡辺 ホテルはこの近くに建つわけですね。
石川 チャペルの右側のほうに建てようと思っています。
渡辺 食べ物も、いかにも北海道らしいものを出してほしいね。
石川 今日の晩は、恐らく雲丹とか毛蟹、キンキとか北海道の食材が出ます。 百会楽話 渡辺淳一 × ニドム社長
百会楽話 渡辺淳一 × ニドム社長
百会楽話 渡辺淳一 × ニドム社長
渡辺 昔のジャガイモの男爵のような、ぽくぽくした芋とかね。素のものっていうかな。あまり加工していないものを出してほしいな。
石川 北海道らしいね、本当の北海道は蝦夷地ですから、だから蝦夷っぽいリゾートになると思っています。
渡辺 そういうほうが、道外のお客さんも喜んで来ると思いますよ。これだけ土地があったら、いろいろなことが考えられて楽しいですね。
石川 ええ、面白いですよ。乗馬クラブも作ろうと思えば作れます。まだまだ土地は残っていますから。ホテルとエステね。エステと温泉だけは納得いくものを作りたいと思います。
渡辺 できたら、また来たいな。
石川 それでチャペルも、ロシアっぽいチャペルを考えているんです。ご承知のとおり、北海道って白系ロシア人が多く来ていますから。だから、帯広に行っても札幌に行ってもね、スリーハーフな美人が結構います。
渡辺 昔、五番館なんかのパン屋さんに奇麗な美少女がいましたよ。そういわれると、北海道にはロシアぽいアイデンティティがありますね。
石川 今、日高だとか白老ね。アイヌ民族と混じり合っていますから、独特なエキゾチックさがありますよ。
渡辺 アイヌ人は奇麗ですね。
石川 ニドムの従業員にも、アイヌの血が通っている人がたくさんいるんです。だから男性でも女性でも、なかなかいい雰囲気の若い人がたくさんいますよ。
渡辺 アイヌ人って、インド人に近いといわれているけど、確かに似ている、骨格なんかね。
石川 北海道はもともといろいろなものが混ざり合ってできています。植民地でしたから。そういう歴史を勉強させていただいて、先生がおっしゃったように、森を大切にして、エキゾチックな雰囲気を作っていきたいと思います。まだまだ未完成なんで。
渡辺 期待してますよ。
石川 今はオーストラリアの方、韓国の財閥系とか、香港の財閥系の方。それから外国から日本に商売に来た人がかなり来られます。
渡辺 これ一度来るとリピーターになるよね。 百会楽話 渡辺淳一 × ニドム社長

石川修(いしかわ おさむ)
1933年北海道、深川生まれ。不動産業を経て、リゾート開発に携わる。1984年、ホテル ニドムを開業し現在に至る



渡辺淳一 (わたなべ じゅんいち)
北海道生まれ。医学博士。1958年札幌医科大学卒業後、整形外科講師となり、医療のかたわら小説を執筆。1970年『光と影』で直木賞を受賞。1980年に吉川英治文学賞、2003年には菊池寛賞などを受賞。現在文壇の第一線で活躍している。

オフィシャルブログ | 渡辺淳一文学館

石川 だから、ぜひエステとかも作ってあげないとね。
渡辺 女姓は喜ぶでしょうね。
石川 ニューヨークフィルのバーンスタイン一行が来られて、「ペレカムイ」というコテージに滞在したんです。安らぎがあるって大変気に入って「ニドムを讃える歌」を作曲してくださったんです。主旋律だけですけど。また来て完成させると約束してけど、果たせず亡くなってしまいました。きっと、ニドムでの滞在で「自分の内面と対峙し、ゆったりと自然の風景画移り変わっていくのを感じ、コテージのベランダの椅子に座って、何もしないことの喜びを感じる。そしてニドムを去る時、周りに広がった自分の豊かさに気づく」というニドムのコンセプトを直感してくれたんだと思うんです。「心の安らぎと憩いを求める人が、多く訪れることを信じます」と楽譜にメッセージが残っていました。
渡辺 そう、森林浴っていうか、やっぱり自然の力で癒されるのが一番ですね。
石川 森林浴、私はあまり体の調子がよくなかったんですけど、ここで仕事を始めて元気になったんです。森林浴効果でしょうね。
渡辺 自然の力って、やっぱり素晴らしい。
石川 いろいろなお客さんが来て、どうやって土地を手に入れたのかとか、いろいろなことを聞かれるんです。カムイから授かった土地なんだと、常にいっているんです。神様から預かった森だと。
渡辺 そういう考え方が今はない。ぜひ広めてほしいですね。



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Photographs by Naoki Wada



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