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一期一会

ニドム百会楽話 [対談5]ニドム
ニドム

一 二 四

三. 赤煉瓦か白漆喰か

渡辺 今日はゴルフをしたけど、クラシックのチャンピオンコースはともかく、あれ以外にさらに二つあって。クラシックと合わせて三つになりますか。 百会楽話 渡辺淳一 × ニドム社長
百会楽話 渡辺淳一 × ニドム社長
石川 二つ半ですね。45ホールですから。
渡辺 そしてさらに。
石川アーレックスが18ホール。
渡辺 この森の中に4つもコースがある。その広さは、やってみないと気がつかないけど。
石川 回ってみないとわからないです。
渡辺 各ホールが樹木で完全にセパレートされていて、距離もあるし、しっかりしたコースですね。芝もよかったなあ。
石川 ちょっと難しいってお客さんがおっしゃいますが、まあやりがいのあるコースだと思います。
渡辺湖っていうか、池も多いしね。一つひとつが変化に富んでいて感心しましたよ。
石川 こんなことをやったことがない人間が作ったものですから、大変でした。
渡辺 札幌が出身なのに、知らなかったな。ニドムがこんなに森があって、風情があるおしゃれなところだとはね。
石川 私もこういう商売をやって、自然を大切にするということの意味がつくづくわかった。イギリスのナショナルトラストも、古いお城なんか大事にして素晴らしいですけど。あれも考え方、思想として一つのモデルなんです。私は自然豊かなリゾートにしていきたいなと思っていまして。
渡辺 僕はニドムっていうネーミングがとてもいいと思う。この前エッセイにも書いたんだけど、ほかの国の王家の城やお墓や礼拝所にあるような地名をつけるのは、恥ずかしい。それに比べてニドムってね、どこからも文句のいいようがない。
石川 先生にもわかっていただけると思いますが、北海道生まれですからね、やっぱり北海道の歴史や文化をこの中に残していきたいなと思ってるんです。しかしアイヌ民族は単純すぎて、文化だとか建物だとか残していないんですね。それだけ北海道が豊かだったからだと思いますが、結局、屯田兵っていうんですか、北海道開拓の建築なんかは、ノルウェーのデザイン。やっぱり北欧と環境が似ているから、北欧の建物や生活が合うんじゃないかということでしょうね。 百会楽話 渡辺淳一 × ニドム社長
百会楽話 渡辺淳一 × ニドム社長
百会楽話 渡辺淳一 × ニドム社長
渡辺 赤煉瓦も似合いますよね。緑と雪によく合う。
石川 そうですね。だから、今二つ考えているんです。今新しく建てる建物はね、赤煉瓦で建てるか、もう一つは白で建てるかね。白の漆喰壁でね。
渡辺 白で雪が降ってきたら大丈夫ですか?
石川 屋根に濃淡をつけてやると、白もロマンチックなんです。緑に白もロマンチックだしね。白もいいんじゃないかなと。
渡辺 ドイツの黒い森の中にあるルードリッヒの城も白いですね。雪の中でも素敵だけど、スマートになりすぎませんか?
石川 その代わり建物をクラシックに。この間ドイツで、サミットがあったでしょ。バーデンバーデン、ドイツの北のほうですね。あの会場が真っ白。あそこも3、4回見に行きました。あまり緯度は変わらないんです。冬には雪が降るし。夏も行きましたけど、冬がいい。だから白がいいか、先生がおっしゃったように、煉瓦がいいかね。その辺はこれから、いろいろと研究しようと思っているんです。
渡辺 変な質問だけど、正直これだけの設備を作られて、利益っていうかペイしているんですか。
石川 今はもうペイしていますよ。やっぱり日本経済がひっくり返ったりとっくり返ったりして大変だったんです。
渡辺 全体に贅沢な作りだから。イサムノグチの弟子が作った石の教会は、建設費を気にしないで作りたいというので、信じられない金額をかけたとか。
石川 それでかなり大変だったんですね。銀行にずいぶん借金もあったけど、運がよくて銀行がつぶれたから、つぶれたついでに借金も減額していただいたんです。そのおかげで、今はちゃんと心配なくやっていけているんです。
渡辺 石川さんって不思議な人だね。何かに助けられる。北海道はほとんど歩いたんですけど、いかにも北海道らしいリゾート地ってなかった。登別とか阿寒とか自然の素晴らしさはあるけど、人工的に作って、なおかつ自然の豊かさを感じさせるものって、北海道にはなかったから。
石川修(いしかわ おさむ)
1933年北海道、深川生まれ。不動産業を経て、リゾート開発に携わる。1984年、ホテル ニドムを開業し現在に至る



渡辺淳一 (わたなべ じゅんいち)
北海道生まれ。医学博士。1958年札幌医科大学卒業後、整形外科講師となり、医療のかたわら小説を執筆。1970年『光と影』で直木賞を受賞。1980年に吉川英治文学賞、2003年には菊池寛賞などを受賞。現在文壇の第一線で活躍している。

オフィシャルブログ | 渡辺淳一文学館

石川 そう思います。
渡辺 あとは温泉だけかな。
石川 日本は、昔自然環境がよくて、自然が豊かだったせいか、割と、日本の文化は自然を大切にしていない。京都には、日本の建築っていうものがきちんと残っているけど、戦後、ヨーロッパ建築だとか、アメリカ建築とか、現代建築に走っていって、温泉場の古いところでも、そういうものをみんな壊し、何か錯覚を起こして開発をしちゃいましたよね。
渡辺 日本の観光地全部、いかにも湯治場的なべとっとした感じのところが多いから。お洒落な近代建築があって森がある。それも日本独自のものがね。



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Photographs by Naoki Wada



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