| 岡副 |
その日の午前中にお掃除の人がします。そして部屋のセッティングは仲居さんが夕方するんです。 |
| 渡辺 |
相当の人数を使っているでしょ。さっき企画室だけで何人もいるって聞いてびっくりした。 |
| 岡副 |
ほんとですね。1日にいらっしゃるお客様の数より多いかもしれないですね、確かに。料亭はなかなか大変な仕事です、そう考えると。 |
| 渡辺 |
昔のように、とんでもない金持ちがいた時はいいけど。 |
| 岡副 |
そうですよね。 |
| 渡辺 |
最近はやっぱり社用かな。 |
| 岡副 |
東京はほとんどが社用ですね。小唄をちょっと歌おうかとか、遊びにこられる粋なお客様もいらっしゃいます。仲間内で集まる会もありますけど、7割ぐらいは社用ですね。でもIT関係の方はいらっしゃらないんですよね。どうしてでしょうね。 |
| 渡辺 |
彼らに合わないんだよ、座敷にジッと座って、ゆっくり料理を食べるなんてのが。 |
| 岡副 |
先生、どうやって料亭など、こういうところに馴染まれたんですか? |
| 渡辺 |
僕はこういうところが好きだけど。新橋の芸者さんが減っているっていうけど、当たり前だと思う。新橋の一番の弱点は、お茶屋がないことだよ。 |
| 岡副 |
大きいお店しかないと。 |
 |
| 渡辺 |
そう。僕は京都の祇園町なんかでずいぶん遊んだけど。10時ぐらいからしか行かない。その時間からお茶屋に行って、乾き物で水割りなぞを飲んで、芸者さんを呼ぶ。その時間だと芸者さんは2回り目だから。 |
| 岡副 |
初めの宴会が終わってますね。 |
| 渡辺 |
だから呼ぶと結構来てくれる。 |
| 岡副 |
10時ぐらいだと集まりますよね、きっと。 |
| 渡辺 |
この頃からだと、クラブの値段に近いし、食事はその辺でラーメンでも食べて来ればいいわけだから、お金かからないじゃない。料亭で高い料理食べて、さらに芸者を呼んで、といっていったら大変だから。 |
| 岡副 |
それで芸者さんが来るまで待っていたりしたらね。 |
| 渡辺 |
だから京都は、祇園町にも先斗町にも、お茶屋とか、そこのバーがあって、気軽に芸者を呼べるんだよ。 |
| 岡副 |
そういうところが、いっぱいあるんですね。 |
| 渡辺 |
お座敷を貸すところがたくさんあるから。だけど、新橋は大料亭だけで、いわゆるお茶屋が少ない。 |
| 岡副 |
前はあったんですよね、たくさん。それがいつの間にかなくなっちゃったんですよね。 |
| 渡辺 |
あれがあると、もっとみんな馴染むと思うんだけど。IT関係者でもお茶屋で、安く芸者さんと会って馴染んでいくと、芸者さんも助かると思うんだけどね。 |
 |
| 岡副 |
それはそうですね。 |
| 渡辺 |
新橋はそれが難しいから、今はむしろ神楽坂のほうがそういう感じがあるかな。高級料亭で、芸者さんを呼んでっていうのは大変だから、仕事上の接待の人が多くなってしまう。 |
| 岡副 |
ほとんどそうですね。やっぱり新しい芸者さんがどんどん入らないと、お客様もいらっしゃらなくなりますから。5月には毎年、東をどりがあります。先生、来てくださいますか。 |
| 渡辺 |
僕はその頃、上海に行くんだよね。 |
| 岡副 |
もう、みなさんすぐ海外に行っちゃう、この頃は。(笑) |