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一期一会

奈良ホテル(奈良)奈良ホテル(奈良)

奈良ホテル 一期一会
一期一会
2 第1話 第3話 第4話

2. 高浜虚子も驚いた

百会楽話 渡辺淳一 × 奈良ホテル 森一紀・辻利幸・樋口逸郎
百会楽話 渡辺淳一 × 奈良ホテル 森一紀・辻利幸・樋口逸郎
百会楽話 渡辺淳一 × 奈良ホテル 森一紀・辻利幸・樋口逸郎
百会楽話 渡辺淳一 × 奈良ホテル 森一紀・辻利幸・樋口逸郎
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百会楽話 渡辺淳一 × 奈良ホテル 森一紀・辻利幸・樋口逸郎
百会楽話 渡辺淳一 × 奈良ホテル 森一紀・辻利幸・樋口逸郎
百会楽話 渡辺淳一 × 奈良ホテル 森一紀・辻利幸・樋口逸郎
森 一紀(もり かずのり)
1952年、大阪生まれ。1975年に慶応大学 経済学部を卒業し、同年、近畿日本鉄道鞄社。都ホテル(現ウェスティン都ホテル京都)、都イン東京、シェラトン都ホテル大阪、金沢都ホテル、天王寺都ホテル、新都ホテルを経て2008年2月より現職。

辻 利幸(つじ としゆき)
1955年、大阪生まれ。1978年、立命館大学 産業社会学部を卒業。同年、都ホテル(現ウェスティン都ホテル京都)に入社し、奈良ホテル勤務となる。(1983年4月1日 鞄゙良ホテルに転籍)食堂、宴会、販売促進課、宴会承り課長、宴会食堂部次長、販売推進部長を経て現職。

樋口逸郎(ひぐち いつろう)
1954年、奈良県生まれ。1977年に同志社大学法学部を卒業。同年、都ホテル(現ウェスティン都ホテル京都)に入社し、奈良ホテル勤務となる。(1983年4月1日 鞄゙良ホテルに転籍)食堂、庶務課、総務課、企画課課長代理、宿泊課長を経て現職。


渡辺淳一(わたなべ じゅんいち)
北海道生まれ。医学博士。1958年札幌医科大学卒業後、整形外科講師となり、医療のかたわら小説を執筆。1970年『光と影』で直木賞を受賞。1980年に吉川英治文学賞、2003年には菊池寛賞などを受賞。 北海道・札幌に渡辺淳一文学館がある。作品には「阿寒に果つ」「無影燈」「白夜」「ひとひらの雪」「失楽園」など多数。現在文壇の第一線で活躍している。

オフィシャルブログ | 渡辺淳一文学館
渡辺 防火対策はどうされているんですか。
樋口 屋根の上を見上げていただければわかりますが、とがった部分が避雷針です。木造ですから、やっぱり防火については気を遣いますね。不特定多数の方がお泊まりになりますが、今まで不審火があったとか、燃えたというのは聞いたことはないです。
燃えないために鴟尾が瓦の上に乗っています。池とか海とかで水面から跳び上がりますね。その瞬間の尾っぽの形が鴟尾なんだそうです。あれを左右に置きます。ということは、左右に置いていて、結ぶ大屋根の線が水面。水面の下に木造建築を作るというのは、燃えないためだそうです。東大寺でそうおっしゃっていました。東大寺は2回丸焼けになっていますから。
渡辺 今や奈良ホテルは文化財だから。
樋口 ただ文化財になると、営業ができなくなります。
渡辺 造りや雰囲気が文化財みたいなもので。今、何室あるんですか。
樋口 129室です。本館と新館がありまして、本館は64室です。新館が向こうの中腹にありますが、65室で、ほぼ半々です。
渡辺 上に積み上げなかったんですね。高層ビルにしていないのが、またいい。
樋口 そうなんです。風致保全地区でいろんな縛りがあります。簡単にいうと、庭の木を1本切るにも許可が必要です。それと建物自体を総量規制をしていますから、例えば1つの容積の建物を建てると、それと同じ容積をつぶさないといけないんです。そういう縛りの中で考えて考えて建てたのが新館なんです。本館のシルエットをどこから見ても絶対に邪魔がされないように、裏側にひっそりと建っているんです。
丘の斜面に押し込んだような形です。
渡辺 他のホテルや旅館も、そういう規制を受けているところがいっぱいあるんですか、奈良は。
樋口 そうです。このあたりは、高さの規制がものすごい厳しいです。奈良公園に近いですから。
渡辺 創設時に、もう64部屋あったんですね。
樋口 いえ、創設時は54〜55ですね。その後建て増しをしています。新館が昭和59年に建っているんですけど、その直前の本館の客室が73です。和室を増やしたり、シングルを作ったりしています。
渡辺 日露戦争は明治37〜38年だね。それから間もなくできたんだから、明治の終わり頃ですね。その時はどこが作ったんですか?
樋口 鉄道院です。今のJR、前の国鉄。国鉄の前が鉄道省、その前が鉄道院です。施工は鉄道院がやっています。設計は辰野金吾さん。
東京駅を設計している方です。
渡辺 有名だね。要するに国鉄が作ったっていうことですか。
樋口 そうですね。最初の経営は、大日本ホテル株式会社の西村仁兵衛という人で、彼は明治時代でいうホテル屋です。ところが大正2年に経営を放り出しているんです。要するに奈良ホテルは金がかかりすぎて、とても民間ではやっていけないということで、その後を継いだのが鉄道院です。ですから奈良ホテルはその時から国営なんです。
運輸省と日本国有鉄道を足したようなものですね。要するに日本政府の一部です。
樋口 その辰野金吾という人は、何か相撲が好きで、日銀の本店も設計しています。彼は家に土俵を持っていまして、日銀本店の竣工の記念日になると、息子に太刀を持たせて、弟子に露払いをさせて、自分はまわしを締めて、日銀の方向を向いて土俵入りをしていたんです。それぐらい相撲が好きで、彼は両国の国技館、昔のものですが、あそこも設計しているんです。
渡辺 ホテルには土俵を作らなかったんだ(笑)。明治の末にしては、画期的なホテルだったでしょうね。旅籠か旅館しかなかったんだから、ホテルの使い方がわからない日本人がいっぱいいたと思うなあ。
樋口 高浜虚子が、大正5年に奈良ホテルに2泊しているんです。テレビなどで旅の番組がありますね、それの大正版で、奈良ホテルに2泊して、感想を国民新聞に9回に分けて書いています。彼は奈良ホテルにきて、ものすごくカルチャーショックを受けています。当時の最新の設備で、一番驚いているのは水洗トイレです。
渡辺 初めから水洗トイレだったんですか。
樋口 そうです。
渡辺 すごいなあ。
樋口 小用を足した後に、目の前にひもがあったので、ひもを引っ張ると自分の下のところがパコッと割れて、水がザーッと流れて、その開いたところがパタンと閉まった。瀬戸物のトイレという表現を彼はしていますけど、水洗トイレですね。
のぞき込んで、高原の岩間ほとばしる清水が張ってあるって、それが攪拌されて、一瞬でなくなって、また元どおりになったと。
樋口 虚子はすごく感動しています。
渡辺 それはわかるなあ。
お風呂も、壁から出た金属製のねじをボーイが左右に回したって。混合栓のことですね。
樋口 どこをひねっても熱いお湯が出てくるって、書いています。
渡辺 暖房は昔は暖炉だったんですか。
樋口 最初は暖炉です。暖炉は大正2年ぐらいに使わなくなって、それに代わるものとして、先生のお部屋にもありますが、いわゆるスチーム暖房になりました。
渡辺 あれ、何も使っていなくても、飾りとして素晴らしい。
樋口 今も使っていますよ。
渡辺 使っているんですか。
現役です。あのカンカンカンっていう音が今でもします。
渡辺 お湯が通り始める時に音がしてね。昔。懐かしい。
樋口 実は、大正天皇が即位の報告に伊勢と橿原神宮にこられた時にスチーム暖房を作っているんです。そのためにマントルピースを使わなくなりました。奈良ホテルはマントルピースでもっているホテルなのにって、市議会で大変な論争になったようです。マントルピース擁護派と、スチーム暖房推進派に分かれて、侃々諤々の議論があったみたいです。大正天皇のために入れるということで、最後には反対派も黙ってしまったそうです。
渡辺 そうですか。
でもマントルピースが絵になるから、そのまま置いてあるんですが、煙突はいつの間にか取ってしまいました。
樋口 煙突は大屋根に出ていたんですが、天井裏で切っています。煉瓦づくりの大きな煙突でした。
渡辺 さっき見せていただいたけど、正面入り口からずっと有名な絵がかけてあるよね。上村松園さんから、福田平八郎さんとか、いっぱい。
「花嫁」という絵は非常に人気がございまして。
渡辺 ふっくらとして、いい作品だ。
絵はみなさま楽しみにいらっしゃいます。
渡辺 ここは堂本印象だね。
樋口 その後ろにありますのが堂本印象の「春日山」です。
渡辺 少しボーッとしているね。
そうですね。ふわーっとした景色ですね。
渡辺 建物だけじゃなくて、そういう調度や絵までいろいろあって、気を遣うね。



奈良ホテルは一休.comからご予約いただけます。


Photographs by 安井敏雄

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第19回 森 一紀 / 辻 利幸 / 樋口逸郎(奈良ホテル) …歴史の重み 老舗の力
第18回 木村襄司(小樽・銀鱗荘オーナー) …一大道楽で鰊御殿が旅館に
第17回 三國浩紀(アラマンダ支配人) …遠大で壮大な挑戦
第16回 比嘉建己(ジ・アッタテラス支配人) …ヨーロッパのシックなリゾートが沖縄に
第15回 清水かほる(ベネッセハウス副総支配人) …「よく生きる」ことを考える場所
第14回 勝俣伸(富士屋ホテル社長) …かごで上ったアジアンテイストのホテル
第13回 岩村尚子(岩惣 先代女将)・岩村玉希(岩惣 女将) …光雅と静寂の神の島
第12回 中村律子(旅館くらしき女将) …美しき蔵の町の蔵の宿
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第10回 北山ひとみ(二期リゾート 代表取締役) …十八世紀フランスのサロンを目指す
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