


| 渡辺 | 清水さんはそれなりのアイディアをお持ちでしょうけど、これからこの島をどのようになさるつもりですか。 |
| 清水 | ここは自然と現代アートの島、それを体験するためのホテルですから、それを邪魔しないようなとてもシンプルなホテルです。でも現代アートと自然を楽しむだけのホテルではなくて、やっぱり私たちのサービスを受けにきていただけるホテルにしたいです。サービスがいいから、このホテルに泊まるのが心地いいからくるといわれるホテルにしたいです。ですから、アートと自然は快適さの一部と考えたいのです。 |
| 渡辺 | 僕が今日泊まるスイートの部屋はかなりいい部屋だと思うんですが、テレビがなかったけど、それはこのホテルのポリシーですか。 |
| 清水 | そうです。自然とアートの中で「よく生きる」を考えていただきたいので。 |
| 渡辺 | テレビは見てはいけないと。 |
| 清水 | (笑) 日常のことは忘れていただいて、ここにいる間はゆっくりとこの非日常の雰囲気の中に身を置いていただいて、時間を堪能していただきたい。 |
| 渡辺 | 俗世間のことをシャットアウトされると、不安でしょうがないという人もいるでしょう。 |
| 清水 | どうしても不安な方には別法が用意してございます。 |
| 渡辺 | 貸し出しがあるんだ。 |
| 清水 | 少ないですが、日本シリーズとか、ワールドカップの時などはあります。奥様が無理やり連れてきたけれども、旦那様がどうしてもテレビがないと駄目だっていう方もいらっしゃいます。 |
| 渡辺 | 夫は奥さんと2人でいるのが苦しくなってくるんだよ。テレビでもないと息ができない。2人で密閉されたことがないから。(笑) |
| 清水 | テレビがなかったので、仕方なく久しぶりにゆっくり話をしたという方もいらっしゃいます。そういうふうにしていただきたいんです。 |
| 渡辺 | ゆっくり二人でいたらけんかになったりして(笑)。ここにはあまり子どもはいませんね。 |
| 清水 | ミュージアム棟とオーバル棟はまさに美術館でもあるので、小学校に上がる前のお子様はお泊まりいただけません。先生にお泊まりいただいているパーク棟にお泊りいただくようにしています。 |
| 渡辺 | それはいいね。子どもの声はきんきんしてうるさいから。 |
| 清水 | ゴールデンウィーク、夏休みは、ベネッセハウスのエリアの隣にある、町営のつつじ荘という宿泊施設が開業します。ここがキャンプ場だった時に使っていたモンゴルの「パオ」も寄贈しており、そちらに泊まることもできます。そこは子どもさんたちの天国です。 |
| 渡辺 | レストランの前のデッキは広くてゆっくりする。海の向こうに灯が見えて。 |




清水かほる(しみずかおる)
福岡の大学を卒業後、化粧品会社に入社し、教育・商品開発を担当。その後、IT企業の会長秘書を勤める。その後、女性向けのWEBマガジンの立ち上げに参画した後、豪州で、ナチュラルセラピーの学校に通い、アロマセラピストになる。2005年11月からベネッセハウススパの立ち上げのため、直島に移住した。本年4月より、現職。
福岡の大学を卒業後、化粧品会社に入社し、教育・商品開発を担当。その後、IT企業の会長秘書を勤める。その後、女性向けのWEBマガジンの立ち上げに参画した後、豪州で、ナチュラルセラピーの学校に通い、アロマセラピストになる。2005年11月からベネッセハウススパの立ち上げのため、直島に移住した。本年4月より、現職。
| 清水 | 見えます。島の方も時々いらっしゃいます。朝は本当にいい眺めでお食事ができます。 |
| 渡辺 | こちらが西だから、太陽は逆にあがる。 |
| 清水 | そうですね。 |
| 渡辺 | 夜の海もきれいだろうね。 |
| 清水 | そうですね。夏の直島の海は、ウミボタルがたくさんいて、私もここで初めて経験しました。波打ち際が光って奇麗です。 |
| 渡辺 | 真夏の瀬戸内は、朝からべたーっとなるでしょう。 |
| 清水 | そうですね。 |
| 渡辺 | でもここなら涼しいかもしれないね。ほかの宿泊施設はあるんですか。 |
| 清水 | ホテルはございませんが、民宿はこの2年ぐらいで増えました。本村には3年前までは民宿もありませんでしたし、お食事するところも1軒しかなかったんです。それが今は、7軒ですね。民宿も2つできています。 |
| 渡辺 | スーパーマーケットは? |
| 清水 | 三菱マテリアルの生協がございます。生活するには困らないですね。コンビニはございません。 |
| 渡辺 | バーもあるの? |
| 清水 | はい。ベネッセハウスのオーバル棟、一番高台にある棟にございます。モノレールに乗って登っていくんですよ。 |
| 渡辺 | モノレールに乗っていくバーなんて洒落てる。 |
| 清水 | それがまた楽しいですよ。オーバル棟も安藤先生が設計していますが、大きな池のある空間があります。それがまた素晴らしいですので、ぜひご覧ください。楕円に天井が開いていまして、そこから空が見えます。お昼は青空を、夜は星空を。そこが直島の中でもひとつの象徴的な場所なんです。 |
| 渡辺 | 安藤さんにとっては大切な島だね。 |
| 清水 | そうだと思います。直島って流れ星がよく見えるんです。ここに初めて来た日に、文化大混浴という作品で、ジャグジーに入って体験する作品があるんですが(今は夜は入れない)、そこに入っている時に、大きな流れ星を見ました。それが一瞬UFOかなと思うぐらいバーッときて、地中美術館の上でボンと消えたんです。で、何かそれを見た時に運命みたいなものを感じました。 |
| 渡辺 | 運命って? |
| 清水 | ここにきなさいといわれているのかなと思って。そうしたらみんなに直島はたくさん流れ星が見えるといわれました。直島にきて5、6回見ています。 |
| 渡辺 | 今日は満月だ。 |
| 清水 | もう上がってしまいました。月明かりで海面が輝いて、今日は奇麗だと思います。海に月が映って、ロマンティックですよ。海辺を散歩したり、オーバルから眺めたり。 |
| 渡辺 | 霊感があるんじゃないの? |
| 清水 | 私自身はありませんが、ここで何かそういう神秘的なものを感じました。地中美術館には、ウォルター・デ・マリアの作品「タイム/タイムレス/ノー・タイム」という大きな球体があります。安藤さんの建築ととても合って、階段や天井から見える空、差し込む自然の光とか。私はあそこに行った時に、神殿みたいな感じがしたんですが、先生はいかがでしたか。 |
| 渡辺 | 僕は何も感じなかった。(笑) |
| 清水 | 地中美術館あたりに何かそういうものがあるんじゃないかと勝手に思ってしまったんですが。私もここにきて、新月とか満月とか、それから潮の満ち引きとかそういうのを感じるようになりました。 |
| 渡辺 | 体が自然になじんできたんだね。 |
| 清水 | 今まではそういうことは全然感じなかったのですが……。若いスタッフに聞きますと、新月の時と満月の時の体の調子が違うといっています。 |
| 渡辺 | やっぱりこんな風景の中にいると、自然との関わりが深くなっていくんでしょうね。 |








