

| 渡辺 | 今、一番多いお客様は熟年のカップル? それとも若い人ですか? |
| 清水 | 春休み、夏休みは若い方が多いです。アートとか、建築が好きな学生さんたちがいらっしゃいます。日本中どこでもそうですが、中年女性のグループは一年中おみえになります。もちろんカップルの方もいらっしゃいますが、女性のひとり旅の方も多いですね。お客様からは、リゾートっぽいところにしては、男性の2人組とか3人組が多いといわれるんですけど。 |
| 渡辺 | 男性のカップル? |
| 清水 | 2人組み3人組の建築やアートが好きな方々ですね。 |
| 渡辺 | 清水さんと顔なじみになるお客さんもいるでしょう。 |
| 清水 | はい。ここはリピーターの方が非常に多いホテルですから、ある若い方は、直島貯金をなさっていると聞きました。若くてもちょっと余裕があるかたは、海外にもいろいろ行き飽きた、こういうところでゆっくりと贅沢な時間を過ごしたい、といっておみえになります。 |
| 渡辺 | 海外より直島へと。 |
| 清水 | ここで過ごしたいと、年に2回ぐらいおみえになるお客様もけっこういらっしゃいます。リピート率は高いです。 |
| 渡辺 | 結婚式も挙げられるんですか。 |
| 清水 | 大がかりなものはできませんが、こぢんまりとしたものはやるようになりました。先日もございました。チャペルはないんですけれども、披露宴を。 |
| 渡辺 | これから、そういうのが増えるかもしれないね。 |
| 清水 | そうですね。パーク棟のテラスで先日、結婚式がありました。すごくよかったですね。 |
| 渡辺 | 地中美術館で結婚式をやれたら面白いよ。さっき見た、霧がかかったような幻想的な空間アートから二人が登場する。 |
| 清水 | 結婚式はできないのですが、あちらは光を知覚する作用といいますか、感覚を利用している非常に面白いアートですね。「オープンフィールド」というジェームズ・タレルの作品です。 |
| 渡辺 | 最初は青い一枚の絵のように見えたのに、先に進むと不思議な空間があって、違う世界に連れてこられたような感じで。 |
| 清水 | みなさん、びっくりされます。 |
| 渡辺 | 自然光を上手く使ってモネの睡蓮の絵を展示してあったり、安藤さんの個性と空間がうまくマッチしているね。 |





清水かほる(しみずかおる)
福岡の大学を卒業後、化粧品会社に入社し、教育・商品開発を担当。その後、IT企業の会長秘書を勤める。その後、女性向けのWEBマガジンの立ち上げに参画した後、豪州で、ナチュラルセラピーの学校に通い、アロマセラピストになる。2005年11月からベネッセハウススパの立ち上げのため、直島に移住した。本年4月より、現職。
福岡の大学を卒業後、化粧品会社に入社し、教育・商品開発を担当。その後、IT企業の会長秘書を勤める。その後、女性向けのWEBマガジンの立ち上げに参画した後、豪州で、ナチュラルセラピーの学校に通い、アロマセラピストになる。2005年11月からベネッセハウススパの立ち上げのため、直島に移住した。本年4月より、現職。
| 清水 | 光はずいぶん意識して作っています。 |
| 渡辺 | ここは真冬も暖かいんでしょ。 |
| 清水 | そうですね。マイナスになることはありません。5〜6度でしょうか。とても寒い時が2〜3度です。でも、海風が吹きますので、体感温度は低くてけっこう寒いんです。風もかなり強いのですが、その代わり空気が奇麗になり、対岸の高松の街の明かりが奇麗に見えます。冬は、海もとても奇麗ですね。私は、冬の直島のほうが好きなんです。私は古い民家を改築したところに住んでいますが、天井を取って梁だけにしているので、寒いですよ。すごく寒いんですが、夏はその分涼しい。やっぱりこういうところの家は、夏に涼しいようにできているみたいで、冷房を入れたのが去年は1日か2日でした。その代わり冬は寒いですよ。 |
| 渡辺 | すき間風が入って? |
| 清水 | すき間風は自由に入ってきます。でも、直島ならではの生活で楽しいです。 |
| 渡辺 | 東京とはまったく違うからね。 |
| 清水 | 魚がおいしいです。野菜もまちの人がご自分で作ったのをくださるんです。こういう小さなまちは人と人の交流があっていいですね。品物自体は島なので高い面もありますが、釣りをしている人にお魚をもらったり、近所の方に野菜をあげるよといわれるので、なかなかいい生活です。直島は自給自足は無理な島ですが、荒れていた田んぼを再生させて、一昨年からコメづくりプロジェクトを始めて、みんなで頑張って作っています。 |
| 渡辺 | ホテルも美術館も、感じのいい人が多いですね。 |
| 清水 | ありがとうございます。 |
| 渡辺 | 若い人が多いけど、みなこの島に住んでいるの? |
| 清水 | 半々ぐらいでしょうか。宇野から通っている者もいます。地元の者も都会から移り住んできた者もおります。 |
| 渡辺 | 外からうかがい知れないところに、美術館があるから、地中美術館というわけで。まわりもずいぶん変わったのでしょう。 |
| 清水 | 緑が増えました。あと10年ぐらいたつと本当に森に埋まってしまうのではないかなと思います。私が初めて直島にまいりました時、瀬戸内海に厚くもやがかかっていて、何も見えなかったんですね。でも、ずっと見ていると、何か、何も見えないもやーっとしているのもいいなと思えてきたんです。直島の人に聞くと、瀬戸内海はいつもそうなんだっていわれました。ジェームズ・タレルの書いたものを読んだんですが、やはり瀬戸内海のもやがかかっているのが非常に神秘的だと、それを意識して作品を作ったと書いてありました。彼の作品は光をテーマにして作っています。今日ご覧になっていただけなくて残念だったのですが、地中美術館の「オープンスカイ」という作品のナイト・プログラムも素晴らしいのです。夕暮れの空の色の変化をゆっくり眺めるプログラムですが、網膜の補色の作用を利用していて、壁がピンク色になると、空がブルーに見える。そして、壁が緑だと今まで真っ暗だった空が赤に見えるという、不思議な作品。だからそれをぜひご覧になっていただきたいです。 |
| 渡辺 | 地中美術館はアートというよりは、人間の視覚とか、実感とか、そういうものに衝撃を与えるというか、怪しさをかもしだすというか。正直、あれがアートか疑問はあるんだけど。心理的な揺さぶりはかけられるね。 |
| 清水 | 多分、それが現代アートの醍醐味だと思います。 |
| 渡辺 | 心地いい人にはいいんだろうね。 |
| 清水 | 見る人見る人で感じ方も違います。 |
| 渡辺 | 一つのものを見ていても、錯覚とか、本当は見えてないものを見ているとか。トリックのような気がしてしまう。我々の目とか聴覚とかに揺さぶりをかけるのをアートと呼ぶのかな。 |
| 清水 | そうなのだと思います。 |
| 渡辺 | いわゆる名画を見た時の魅入られる感覚とは、ちょっと違うね。 |



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