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一期一会

ベネッセハウス百会楽話 [対談15]ベネッセハウス

百会楽話 ベネッセハウス副総支配人 × 渡辺淳一
ベネッセハウス
2 第1話 第3話 第4話

二. 不思議な空間

百会楽話 ベネッセハウス副総支配人 × 渡辺淳一
百会楽話 ベネッセハウス副総支配人 × 渡辺淳一
百会楽話 ベネッセハウス副総支配人 × 渡辺淳一
渡辺 今、ホテルは何室あるんですか。
清水 65室ございます。
渡辺 そんなにあるんですか。
清水 最初、ミュージアム棟に10室とレストランとカフェ、ライブラリーができまして、95年にオーバルという別館に6室できました。そして一昨年の5月に、パーク棟とビーチ棟の49室が加わりました。地中美術館ができて、いっそうお客様が増えたものですから。それまでこの島の中では泊まれるところがほんとうに少なかったんです。
渡辺 外から見ると、そんなに大きく見えませんね。建物が広い敷地に点在しているからかな。
清水 そうですね。ですから2泊、3泊されるお客様は、各棟に1泊ずつ、部屋を変わって宿泊される方が多いです。すべての部屋にアートがありますので、違うものを楽しまれます。
渡辺 全部違う絵ですか。
清水 違います。とくにオーバルという別館はアーティストが直島でのインスピレーションを得て、壁に作品を直接描いている部屋もございます。たとえば、スイートルームのデイヴィッド・トレムレットの作品とか。その部屋に泊まりたいと、指定していらっしゃるお客様が多いですね。
渡辺 今の状態で完成したのはいつですか。
清水 2006年の5月です。
渡辺 PRとか露出が少ないですよね。
清水 あまり宣伝はしておりません。
渡辺 安藤さんの建築だから有名になったけど、女性誌とかには?
清水 昨年ぐらいからずいぶん露出は多くはなりましたが、そんなにたくさんやってはおりません。というのは、これだけの小さい島で、島の方と共存していくことがいちばん大切だと思うのです。今でも年間に30万人近くの方がこられますので、もちろんたくさんの方にきてはほしいんですが――。アートが好きな方とか、建築が好きな方とか、そういう方にきていただき、ゆったりと過ごしていただけるのがよいと思っています。
渡辺 あまり押し寄せて、島の人に迷惑をかけても困ると。
清水 家プロジェクトを展開している本村地区は小さな集落です。あそこもゴールデンウィークや夏休みになるとものすごい人出になってしまいます。直島がディズニーランド状態になるぐらい人が押し寄せます。あまり宣伝していなくてもこれだけの人にきていただけるのは、私たちも驚いているんです。
渡辺 口コミですか。

百会楽話 ベネッセハウス副総支配人 × 渡辺淳一
百会楽話 ベネッセハウス副総支配人 × 渡辺淳一
百会楽話 ベネッセハウス副総支配人 × 渡辺淳一
百会楽話 ベネッセハウス副総支配人 × 渡辺淳一
清水 そうですね。2000年にアメリカの『トラベラー』という雑誌で、世界で七つの見に行くべき建造物の一つに、、直島のベネッセハウスオーバルが選ばれたんです。そういう関係もあるのでしょうか、海外の方も多くこられます。
渡辺 国でいうと、どこの人が?
清水 世界各国からいらっしゃいますね。数でいうとアメリカ、それから韓国が。最近はヨーロッパの方、この春はとてもオランダの方が多いのを感じました。フィンランド、ノルウェーの方が、先月はすごく多かったですね。
渡辺 これまでも『一期一会』の対談で、外国のお客さんが多いホテルや旅館を見てきたけど、その中でここだけは“和”の雰囲気がない。日本の伝統的文化がないけど、外国の人に人気があって面白い。
清水 ここに泊まって、ベネッセアートサイト直島エリアから出ると、こんどは日本の原風景というか、昔ながらの田舎の風景がそのまま残っていますので、それを楽しんでくださっています。
渡辺 現代と中世の混合の面白さ。
清水 私ここにきて本当に思ったのですが、島のみなさんがとても奇麗に暮らしていらっしゃるんです。自分の家の周りに花を飾ったり、掃除もよく行き届いていて。普通のお宅ですけど、観光客が多い土日は木戸を開けてくださって、入っていくとお茶をごちそうしてくださったり、そういう古き時代のよさがたくさんあります。
渡辺 しかし、町の中にある民家を使ったアートで、最初に見た家。
清水 角屋ですね。家プロジェクトの第一弾で、宮島達男さんの作品です。
渡辺 外側は昔の伝統的な日本家屋だけど、入って行くと、床に、突然、1、2、3、4、5と原色の数字のアートが出現してびっくりする。
清水 あれは本当に驚きます。
渡辺 古い外観と現代アートの意外性が面白い。数字の点滅の速度も違って、不思議な空間だったなあ。
清水 それから、島の方が参加してアートを作ったというところも面白いんです。私は家プロジェクトが定着してからきましたので、体験していませんが、現在のように島の方たちの中にアートが溶け込むまで、10年かかっているんです。
渡辺 変なもの作られては迷惑だと。
清水 最初は「一体何をしているんだろう」という方が多かったみたいです。でも、アーティストたちが実際やって来て、苦労しながらいろいろ考えて、作品を作り出していると、遠巻きに見ていたおじさん、おばさんたちが、あんなに大変なんだから、ちょっと手伝おうかと交流が始まったらしいんです。ここにある他の作品も、まちの人たちが参加したり、アーティストを支援したりして作ったものがたくさんあります。そういうところは現代アートにしかないものだと思います。
渡辺 観光客がくることで、島の人も元気になって、変わったこともあるでしょう。
百会楽話 ベネッセハウス副総支配人 × 渡辺淳一
清水かほる(しみずかおる)
福岡の大学を卒業後、化粧品会社に入社し、教育・商品開発を担当。その後、IT企業の会長秘書を勤める。その後、女性向けのWEBマガジンの立ち上げに参画した後、豪州で、ナチュラルセラピーの学校に通い、アロマセラピストになる。2005年11月からベネッセハウススパの立ち上げのため、直島に移住した。本年4月より、現職。


渡辺淳一(わたなべ じゅんいち)
北海道生まれ。医学博士。1958年札幌医科大学卒業後、整形外科講師となり、医療のかたわら小説を執筆。1970年『光と影』で直木賞を受賞。1980年に吉川英治文学賞、2003年には菊池寛賞などを受賞。北海道・札幌に渡辺淳一文学館がある。作品には「阿寒に果つ」「無影燈」「白夜」「ひとひらの雪」「失楽園」など多数。現在文壇の第一線で活躍している。

オフィシャルブログ | 渡辺淳一文学館
清水 お年寄りが元気なまちがいいと、福武がいつもいっています。若い者は何もしなくても元気だから、やっぱりお年寄りが元気なまちがいいまちだと。確かにそれが今、実証されつつあります。アートの力はすごいなと思います。島の方たちがボランティアで観光ガイドをしてくださっているんですが、その平均年齢が70歳です。
みなさん、最初は全然アートに興味がなかった方たちでした。でも、今では「現代アートは……」と語っていらっしゃる。直島の歴史とアートのことと両方聞くことができて、すごく楽しいですよ。
渡辺 若い人が直島にあこがれて引っ越してくるかもしれないね。
清水 実際そのような方も増えているんですよ。2010年には「瀬戸内国際芸術祭」をやろうと、瀬戸内のいろいろな美術館や博物館、行政が一緒になって、今企画しています。第一弾として、岡山県の犬島、直島から船で40分位です。そこも、昔精錬所があったところですが、現在は50十人ぐらいしか住んでいない島で、何もなかったんです。煉瓦づくりの精錬所が廃墟として残っていたのが美術館となり、4月26日にオープンしました。環境に配慮した、エコの美術館です。他にもいろいろな島で、さまざまな構想がありまして、瀬戸内海をアートの地域にしようとしています。
渡辺 瀬戸内海全体の中心にね。ここは岡山からも近いのかな。
清水 宇野、昔、瀬戸大橋がなかった時代、宇高連絡線で賑わっていた港ですが、そこからだと15分か20分です。だからそちらからいらっしゃる観光客が多いです。直島を岡山県と思っていらっしゃる方もいるほどです。新幹線の方は岡山から、飛行機の方は高松からいらっしゃいます。関東からは高松空港からこられますね。
渡辺 岡山空港から宇野港は少し遠いから、高松のほうが港まで便利なんだね。



ベネッセハウス」は一休.comからご予約いただけます。


Photographs by 安井敏雄

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第19回 森 一紀 / 辻 利幸 / 樋口逸郎(奈良ホテル) …歴史の重み 老舗の力
第18回 木村襄司(小樽・銀鱗荘オーナー) …一大道楽で鰊御殿が旅館に
第17回 三國浩紀(アラマンダ支配人) …遠大で壮大な挑戦
第16回 比嘉建己(ジ・アッタテラス支配人) …ヨーロッパのシックなリゾートが沖縄に
第15回 清水かほる(ベネッセハウス副総支配人) …「よく生きる」ことを考える場所
第14回 勝俣伸(富士屋ホテル社長) …かごで上ったアジアンテイストのホテル
第13回 岩村尚子(岩惣 先代女将)・岩村玉希(岩惣 女将) …光雅と静寂の神の島
第12回 中村律子(旅館くらしき女将) …美しき蔵の町の蔵の宿
第11回 向井聖子(三養荘女将) …財閥の別邸
第10回 北山ひとみ(二期リゾート 代表取締役) …十八世紀フランスのサロンを目指す
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