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一期一会

ベネッセハウス百会楽話 [対談15]ベネッセハウス

百会楽話 ベネッセハウス副総支配人 × 渡辺淳一
ベネッセハウス
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一. 美術館に泊まる

百会楽話 渡辺淳一 × ベネッセハウス
百会楽話 渡辺淳一 × ベネッセハウス
百会楽話 渡辺淳一 × ベネッセハウス
渡辺 四国は松山や高松、高知にも何度か来ていて、直島も以前、泊まらなかったけど、観にきたことがあります。
清水 私は直島に住んで3年目になるんですが、まだほとんど四国を周っていないんです。
渡辺 海に囲まれた温暖なところに3年いるとどうですか。
清水 朝、海を見ると、この景色ですので、ああ幸せだなって思います。
渡辺 だんだん飽きてきませんか?
清水 いえいえ、全然飽きません(笑)。私は直島にくる直前は、東京の赤坂に住んでいましたので、「非常に賑やかなところから静かなところに移って大丈夫?」といわれましたが、まったく問題ありませんでした。
渡辺 奇麗な海が見えて幸せだけど、僕は1ヵ月いたら飽きそう。自然だけでは……。
清水 そうおっしゃる方も多いのですが、住んでみると気に入るのではないでしょうか、私にはいいですね。
渡辺 失礼ですが、お一人ですか?
清水 はい。犬と一緒に暮らしております。東京にいる時は飼えませんでしたので、直島に住んだら大きな犬を飼いたいと思って、ラブラドール・レトリバーを飼っています。毎朝1時間半ぐらい散歩をしますから、犬にとってもすごく幸せな環境だと思います。
渡辺 清水さんは副総支配人ですよね?
清水 3月まではスパの責任者でした。この4月から副総支配人を担当することになりました。
渡辺 ずっとベネッセにお勤めですか?
清水 というわけではありません。いろいろな仕事をしてセラピストになったんです。それで、ご縁があってベネッセハウスのスパにやってきました。
渡辺 初めてこられてびっくりされたでしょ。
清水 そうですね。最初、ここでそういうスパをやらないかというお話があった時に、会長の福武總一郎から、絶対に良いところだから住まないとだめだ、ぜひ一度見に行きなさいといわれて、生まれて初めて四国の地にきました。圧倒されて、住みたいと思ったのでやってまいりました。
渡辺 都会が恋しいとか、飲みに行きたいとか思わないんですか。

百会楽話 渡辺淳一 × ベネッセハウス
百会楽話 渡辺淳一 × ベネッセハウス
百会楽話 渡辺淳一 × ベネッセハウス
百会楽話 渡辺淳一 × ベネッセハウス
清水 たまたま私はそうは思いませんね。
渡辺 それじゃ、ちょうど適任ですね。ところでベネッセって、意味がよくわからないんだけど、説明していただけますか。
清水 ラテン語で「bene」が「よい」、「esse」が「生きる」という意味で、合わせて「よく生きる」という意味を表しています。「よりよく生きる」というのではなくて、「よく生きる」なんです。ベネッセは進研模試や進研ゼミから始まりました。いろいろな事業を行っていますが、会長の福武總一郎は「自分や自分の家族にしてほしいサービスを事業化する」というポリシーを持って教育や語学、介護の分野の事業を行っています。そしてこのベネッセハウスを含めた「ベネッセアートサイト直島」は、一人ひとりが自分自身の「よく生きる」とは何か、を考える場所にしたいと考えているんです。
渡辺 なるほど。アートの島と聞いたことはあったんだけど。ベネッセハウスの中はもちろん、島のあらゆるところにいろいろな作品があるんでしょう。
清水 そうです。美しい直島の自然や、地域固有の文化の中に、その場所しかない現代アートや建築を作り上げていく、というのが「ベネッセアートサイト直島」なんです。ベネッセハウスはその中核施設なのですが、美術館に泊まる、という発想でつくった場所なんです。
渡辺 島全体を見せてもらったけど、こういう発想ができたのはいつごろですか。
清水 1985年頃からです。最初は当時の福武書店の創業社長が、子どもたちのためのキャンプ村を作りたい、という考えからスタートしました。
渡辺 福武さんって、そもそもこちらの出身ですか。
清水 岡山の出身です。
渡辺 では直島は前からわかっていたんだね、こういう島があるって。
清水 創業社長は子どもたちが集って、キャンプ生活を一緒にしたり、ものを作ったり、食事をしたり、スポーツしたり、そういう場所を作りたいと考えていたのですが、直島町の町長さんのおいごさんが、たまたまベネッセの社員だったんです。それで直島を紹介してもらい、創業社長も気に入り、ここを開発しようということになりました。他の会社が一度直島を開発したことがあったそうですが、途中で断念してしまって、当時は手付かずの荒れた状態でした。この南側の一帯は、国立公園になっているんです。
渡辺 瀬戸内海国立公園?
清水 そうです。話がまとまって、数ヵ月して亡くなってしまったのですが、その遺志を先代の長男でもある現会長の福武總一郎が引き継いで作りました。最初はキャンプ村でした。
渡辺 それはどこに作ったのですか。
清水 ちょうど今日お泊まりになっているパーク棟という建物の前に広い敷地がございます。あの一帯がキャンプ場でした。その後、さらに美術館でありながら客室を備えた施設を作りたいと、建築家の安藤忠雄さんにお願いしました。
渡辺 それはいい出会いだったね。いつごろですか。
百会楽話 渡辺淳一 × ベネッセハウス
百会楽話 渡辺淳一 × ベネッセハウス
百会楽話 渡辺淳一 × ベネッセハウス
清水かほる(しみずかおる)
福岡の大学を卒業後、化粧品会社に入社し、教育・商品開発を担当。その後、IT企業の会長秘書を勤める。その後、女性向けのWEBマガジンの立ち上げに参画した後、豪州で、ナチュラルセラピーの学校に通い、アロマセラピストになる。2005年11月からベネッセハウススパの立ち上げのため、直島に移住した。本年4月より、現職。


渡辺淳一(わたなべ じゅんいち)
北海道生まれ。医学博士。1958年札幌医科大学卒業後、整形外科講師となり、医療のかたわら小説を執筆。1970年『光と影』で直木賞を受賞。1980年に吉川英治文学賞、2003年には菊池寛賞などを受賞。北海道・札幌に渡辺淳一文学館がある。作品には「阿寒に果つ」「無影燈」「白夜」「ひとひらの雪」「失楽園」など多数。現在文壇の第一線で活躍している。

オフィシャルブログ | 渡辺淳一文学館
清水 1989年に国際キャンプ場をつくったとき、安藤さんが監修で関わってくださったんです。そして、92年にベネッセハウスのミュージアム棟が最初にできました。
渡辺 できて間もなく見せていただいたことがあります。作品を展示してある美術館でありながら、宿泊できる部屋があって。
清水 美術館に泊まる感じです。
渡辺 その後も福武さんと安藤さんの企画が進んだ。
清水 そうですね。20年続いているのはすごいプロジェクトです。
渡辺 安藤さんとたまに銀座で会ったりするけど、こういうことをやっているって知らなかったな。
清水 今日も直島にいらしていたのですが、先生のご到着と時間が合わなくて、残念がっていらっしゃいました。
渡辺 さっき、安藤さんの本をいただきました。ところで、直島は、どのくらいの大きさなの。
清水 周囲が16kmぐらいあります。
渡辺 それ、ベネッセが全部持っているのですか。
清水 いえいえ、ベネッセのエリアは南側の一部分です。これだけの広いエリアにこのような取り組みをしている、というのはかなりユニークな活動だと思います。
渡辺 国立公園に入っているエリアは買えないんでしょ。
清水 いろいろな制約がありますが、買うことはできます。
渡辺 じゃあ、手を入れることに制約があるの?
清水 原則的にはエリア内の木一本を切るにも許可が必要だったり、建物の高さとかいろいろ規制がございます。風景に調和することを大切にして安藤先生と一緒に建物を作っています。ミュージアムは渡辺先生が最初にいらした時と、ずいぶん風景が変わっていると思います。緑が多くなって、建物が埋まっているというか、緑と一体になってきていますので。
渡辺 ホテルを開発することはあるけど、ミュージアムとか、そういうものも併せて開発するって大胆だね。(笑)
清水 海外からのお客様もとても多いのですが、世界中探してもこういうところはないといってくださいますね。海外の方は、時間の過ごし方がとても上手で、2泊以上と長い滞在の方が多いんです。日本の方だと1泊ですぐに帰ってしまわれる方が大多数です。それでは直島のよさは十分には体感できません。自然を味わうには時間が必要です。先生は現代アートはお好きですか。
渡辺 わからないものもあってね。それより驚いたのは、ここに年間28万人くるって。最初からこんなに賑わっていたわけじゃないんでしょ。
清水 はい。この5年間だけ見ても、来島者数が5倍にも増えているんです。島の人口は約3400人。直島はもともとは三菱マテリアルさんがかなり大きかったので、最盛期には島の人口が今の倍以上だったそうです。
渡辺 三菱マテリアルって?
清水 銅とか金銀の製錬所が北部エリアにあるんです。大正時代から続く、今でも日本で有数な製錬所なんですよ。
渡辺 銅や金銀が取れるわけではないんでしょ。
清水 はい。鉱石は海外から輸入しているそうです。
渡辺 それにしても、美術館とホテルが一緒というのは、外国の人には魅力的かもしれないね。



ベネッセハウス」は一休.comからご予約いただけます。


Photographs by 安井敏雄

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