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一期一会

富士屋ホテル富士屋ホテル

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三. 女の時代へのシフト

百会楽話 富士屋ホテル イメージ

百会楽話 富士屋ホテル ホテル内

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百会楽話 富士屋ホテル 社長

百会楽話 富士屋ホテル 芦ノ湖

百会楽話 富士屋ホテル ホテル内より庭園を望む
渡辺 結婚式やイベントなどでも、大宴会場を使って、大きくやらないケースが多いのですか。
勝俣 はい。また、ここではできません。メインダイニングは基本的にはお食事のお客様に限定しています。大きな宴会でしたら、「湯本富士屋ホテル」がございます。
渡辺 女性のお客様はどうですか。
勝俣 最近、感じるのは、女性の方がちょっと和に戻ってきていることです。大変いいことだと思います。ですから、お嬢さんとお母さんといった組み合わせで宿泊なさるお客様も多く、高単価のお部屋に泊まられます。またその方たちが高いクオリティをお求めになりますね。若い時に海外に行き尽くして、ブランドからちょっと外れて、もう一回日本文化に帰ってきている、そんな感じがいたしますね。私も娘3人ですが、娘は絶対父親と出かけません。そういうお客様もいないですね。寂しいなって思いますが……。
渡辺 たしかに最近、女性連れは多くて元気で、よく見かけますね。
勝俣 女性はいろいろなものにトライする勇気がありますね。
渡辺 好奇心が圧倒的に旺盛だね。やっぱり頭が柔軟だ。男は地位とか、権威にこだわっているから。それに男は体力がないんですよ。今度僕は、『熟年革命』という本を出すんだけど、10年違うね、夫婦の元気さの違いが。今、男は女性に比べて7歳早死になんです。生命力自体が弱いっていうか、くわえて結婚年齢が、平均すると男が3〜4歳上だから、大体10年肉体的なハンデキャップがあるんです。夫婦でヨーロッパ旅行をしても、ちょっと見て歩くと、ご主人は「もう休もう」って。でも奥さんは「あそこに行きましょう、それからあそこにも」って精力的に動こうとする。夫は疲れ果てて、ホテルで休みたい。さらに夕食にはフレンチレストランにって奥さまがいうと、さっぱりした和食がいいとかいい出す。
男は積極的に出かけて、いろんなものを見てやろうという好奇心が、女性に比べて弱い。特に70歳を超えると、圧倒的におばさん族は強い(笑)。元気があって、好奇心旺盛で。このホテルにきても、何か夫のほうは窓から紅葉でも見たり、読書したりあまり動こうとしない。妻はもうちょっと上まで行って、いろいろな場所から紅葉を本格的に見たいとか。
勝俣 実際に我が家もそうですね。(笑)
渡辺 ほとんどの場合、たとえ同じ年齢だとしても男は早死になんだし。妻はご主人を見取るケースが高い。子どもが落ち着いたら旅行をしようといっても駄目なんだよね。そんなこといわずに、早く行かないと間に合わない。
勝俣 現役時代に時間を作って行っておかないといけませんね。
渡辺 年取って、ご主人と旅行してもつまらないとわかると、奥さんは次からはご主人とは行かないで、友達と行くようになってしまう。
勝俣 日本の国策で、お休みを欧米並みにやっていただかないと。
渡辺 もう団塊の世代が定年なるんだからね、膨大な時間を持っている人っていっぱいいるでしょ。60歳から70までの、この年代の人を動かさないとね。死ぬほど暇な人がいっぱいいるんだもの。
勝俣 いろいろなものがシフトしてきますね、先生。
渡辺 この年代の人って、結構お金を持っているんです。一流企業を辞めた人は、相当持っているんだけど、意外に使わないんだよ、日本人って。
勝俣 日本人は貯蓄が一番好きな国民ですから。
渡辺 老後のためといって、貯蓄している。あのきんさん、ぎんさんも、テレビの出演料をどうするんですかって聞かれたら、100歳超えても「老後のために」って答えていた(笑)。一流企業を辞めた人は厚生年金と老齢年金全部含めると、30から40万円ぐらいになんだね。さらに退職金を持っているんだから。そのお金が消費に回れば、日本経済はかなり活性化すると思うけど。それがみんな老後のためってね。
だいたい日本の親は子どもに優しすぎる。子どもにお金を残すことはないんでね。大学まで出したんだから、あとはあなたたちでやりなさいって、それで十分。金を残したらつまらぬことで損するし、兄弟げんかの因になるだけ。葬式代とか孫にやるお小遣いが必要だっていうけど、自分たちで働いたお金は自分たちで使い切って死になさいと。

勝俣伸(かつまた しん)
1953年、神奈川県箱根生まれ。立教大学社会学部観光学科を卒業し、1976年、富士屋ホテル株式会社に入社。湯本富士屋ホテル支配人・富士屋ホテル支配人・総支配人を経て、2004年6月に富士屋ホテル椛纒\取締役社長に就任し、現在に至る。


渡辺淳一(わたなべ じゅんいち)
北海道生まれ。医学博士。1958年札幌医科大学卒業後、整形外科講師となり、医療のかたわら小説を執筆。1970年『光と影』で直木賞を受賞。1980年に吉川英治文学賞、2003年には菊池寛賞などを受賞。北海道・札幌に渡辺淳一文学館がある。作品には「阿寒に果つ」「無影燈」「白夜」「ひとひらの雪」「失楽園」など多数。現在文壇の第一線で活躍している。

オフィシャルブログ | 渡辺淳一文学館
勝俣 そうですよね。
渡辺 しかも、熟年になると奥さんが強くなる一方で(笑)日本の夫の愚かなのは、自分のお金を持っていないことですね。全部妻に預けて委ねている。アメリカ人は絶対に委ねないからね。経済力を失うと、なにもできなくなる。
勝俣 ホテルでも支払方法がいろいろですけど、女性が払っていかれる方が多いです。
渡辺 やはりねえ。
勝俣 ですから先生がおっしゃるように、家計を全部預けているんですよ。夫に主導権ってないんです。
渡辺 男性が払わないんですね。
勝俣 少ないです、残念ながら。
渡辺 経済を委ねたら、独立していないのと同じだからね。


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Photographs by 和田直樹

一期一会


第18回 木村襄司(小樽・銀鱗荘オーナー) …一大道楽で鰊御殿が旅館に
第17回 三國浩紀(アラマンダ支配人) …遠大で壮大な挑戦
第16回 比嘉建己(ジ・アッタテラス支配人) …ヨーロッパのシックなリゾートが沖縄に
第15回 清水かほる(ベネッセハウス副総支配人) …「よく生きる」ことを考える場所
第14回 勝俣伸(富士屋ホテル社長) …かごで上ったアジアンテイストのホテル
第13回 岩村尚子(岩惣 先代女将)・岩村玉希(岩惣 女将) …光雅と静寂の神の島
第12回 中村律子(旅館くらしき女将) …美しき蔵の町の蔵の宿
第11回 向井聖子(三養荘女将) …財閥の別邸
第10回 北山ひとみ(二期リゾート 代表取締役) …十八世紀フランスのサロンを目指す
第09回 西村明美(柊家女将) …京都は京都らしく
第08回 マルコム・トンプソン(ザ・ペニンシュラ東京 総支配人) …日本に学んだおもてなしの心
第07回 星野佳路(「星野リゾート」社長) …世界のリゾートを向こうに
第06回 齋藤朝子(海石榴大女将) …万葉の湯
第05回 石川修(ホテル ニドム社長) …ニドム カムイに授かりし森
第04回 岡副徳子(金田中若女将) …新橋の花柳界を守る金田中
第03回 浅羽愛子(伊豆・あさば女将) …「あさば」はあくまで「あさば」である
第02回 井上旭(シェ イノ シェフ)  …45年間、支持され続けた料理
第01回 古谷青游(熱海・伊豆山・蓬莱女将) …日本で一番早く春が来るところ


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