


| 渡辺 | 東京近辺では、海というと熱海、山というと箱根だね。もう一つ、避暑で行くのに軽井沢、その三つのうちで箱根は歴史的に一番古い。こんなすてきなホテルを山につくったんだから。でも、そのころここまでどうやってきたのかな。 |
| 勝俣 | かごです。 |
| 渡辺 | やっぱり。かごで上がってくるのは大変だったろうね。 |
| 勝俣 | 山口仙之助が自費を投じまして、湯本温泉から宮ノ下まで、日本初の有料道路を作り、それが今の国道1号なんです。 |
| 渡辺 | 国道1号って、昔、参勤交代につかっていた山の道ではないんだ。 |
| 勝俣 | そうではございません。参勤交代の道は内輪山にございまして、箱根山から浅間山を下りて行ったんですね。今の旧街道になります。その山あいの外側に作ったのが今の国道1号です。湯本温泉で分かれております。 |
| 渡辺 | かごでは大変だっただろうね。湯本からここまで、どれぐらいかかったものですか。 |
| 勝俣 | 当時は半日以上です。横浜から国府津までやっと馬車鉄道が走りまして、それから小田原へきて。 |
| 渡辺 | かごで半日かかる山奥に、こんなすてきなホテルを作ったというのは、すごい。 |
| 勝俣 | ホテル業のみならず、インフラ整備までした政治家でもありましたね。水力発電で変電所も作りまして、今は東京電力に売却したのですが、この地域に初めて電気を通しました。 |
| 渡辺 | 勝俣さんがここに入られて、一番気を遣うことって何ですか。 |
| 勝俣 | やはり防災です。火事と地震。これはもうホテル屋としては二大大敵ですから。古い建物をお預かりすると、やはり心配です。 |
| 渡辺 | 焼いたら大変だ。気が休まる暇がないね。 |
| 勝俣 | サイレンが鳴ると先生、怖いんです。まず消防署に確認をして、どこだと。 |
| 渡辺 | いま、お住まいは? |
| 勝俣 | この上の仙石原です。生まれも育ちも箱根でございまして。 |
| 渡辺 | 変な話だけど、ここの住所、宮ノ下っていうけど、なにかお宮があるんですか? |





勝俣伸(かつまた しん)
1953年、神奈川県箱根生まれ。立教大学社会学部観光学科を卒業し、1976年、富士屋ホテル株式会社に入社。湯本富士屋ホテル支配人・富士屋ホテル支配人・総支配人を経て、2004年6月に富士屋ホテル椛纒\取締役社長に就任し、現在に至る。
1953年、神奈川県箱根生まれ。立教大学社会学部観光学科を卒業し、1976年、富士屋ホテル株式会社に入社。湯本富士屋ホテル支配人・富士屋ホテル支配人・総支配人を経て、2004年6月に富士屋ホテル椛纒\取締役社長に就任し、現在に至る。
| 勝俣 | ございます。箱根神社の分社ですが、宮があります。 |
| 渡辺 | 分社ですか。神社の位置からいうと、宮ノ上じゃないかって思ったんですが。上に分社があるので、宮ノ下っていうんですね。 |
| 勝俣 | ちょうど先生がお泊まりの花御殿の横に、熊野神社がございまして、これは温泉の神様なんです。昔は宮ノ下といわずに温泉の地名でいっておりました。底倉温泉といいまして、太閤秀吉が小田原征伐の時に使ったとされる温泉場です。すぐその上にあります。 |
| 渡辺 | この辺は4月下旬、桜が満開ですけど、東京と半月ぐらい違いますか。 |
| 勝俣 | 湯本から仙石原まで、桜は1ヵ月間楽しめますね。春は下から上がってきまして、新緑もそうです。秋は上から下へ下がってまいります。こういう長い季節感が箱根の人気の理由だと思います。 |
| 渡辺 | 山に囲まれている魅力ですね。箱根のホテルでは、古い順番でゆくとどうなりますか。 |
| 勝俣 | 一番古いのが、この「富士屋ホテル」。それから、建物は新しくなっていますが芦ノ湖畔の「箱根ホテル」。河口湖にございます「富士ビューホテル」。それからホテルではありませんが「仙石ゴルフコース」ですね。パブリックコースとしては神戸の六甲に次いで日本で2番目に古いゴルフコースです。 |
| 渡辺 | 従業員は全部でどれくらいいらっしゃるんですか。 |
| 勝俣 | 富士屋ホテル株式会社だと1,200名で、宮ノ下の「富士屋ホテル」で156名です。 |
| 渡辺 | それをまとめるのは大変だなあ。 |
| 勝俣 | そうですね。施設が点在しております。客室総数としては1,112部屋なのですが。 |
| 渡辺 | 長年やってこられて、なにか変わってきたという感じはありますか。 |
| 勝俣 | お客様のニーズが多様化しています。やはり海外も多くの方がご存じですし、最近はハイクオリティ、品質を求められるようになりました。それに対する対価は払うという感覚を強く持ちます。ですから中途半端ではいけませんね。 |
| 渡辺 | 若い人はいかがですか? |
| 勝俣 | ちょうど「一休.com」さんの購買層が、私どもと重なっています。 |
| 渡辺 | 「一休.com」って、平均が男性42歳、女性38歳ということでしたが。そうすると、やや落ち着いたお客さんが多いのかな。 |
| 勝俣 | はい、そうでして。 |
| 渡辺 | 春は桜のあとはツツジかな。 |
| 勝俣 | そしてヤマフジ。ヤマフジは奇麗です。私は新緑が大好きでして、これから緑いっぱいになるのもいいですよ。5月はツツジ、6月から7月にかけて紫陽花です。この紫陽花も非常に奇麗です。 |
| 渡辺 | 本当に、この辺は自然が満喫できる。 |
| 勝俣 | 人の心って、花とか、美しい緑とか、自然のものに寄せられますね。そういう素材が箱根はものすごく豊富ですから、四季を通じて楽しめます。冬は空気が澄んでいますので、富士山が一番奇麗に見えます。見事ですよ。 |
| 渡辺 | 山峡から望む富士が見るですよね。たしかに箱根はいいんだけど、週末の帰りは車が渋滞して大変だと聞きますね。 |
| 勝俣 | 本当に時間が読めないです。 |
| 渡辺 | でも、東京からの距離がこのぐらいの範囲っていうのはいい。 |
| 勝俣 | そうですね。 |
| 渡辺 | 箱根・熱海は思い立ってもすぐに行ける距離だから。 |
| 勝俣 | 車でも電車でも同じ時間です。選択肢が新幹線、東海道線、小田急線と選べますから、インフラもかなり寄与していただいています。 |








