| 渡辺 | ここにも、備前焼があるけど。備前が近いからね。 | ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
| 中村 | 距離的には備前というよりも、お茶をお出ししたお湯のみの酒津焼というのが本来倉敷の地元の焼き物です。あとは羽島焼も倉敷にはございますが、備前焼のお店が多いのはやはり観光のお客様がせっかく岡山にいらしたのに、立ち寄ってくださるところに備前焼がないとがっかりなさるでしょうし。 | |
| 渡辺 | いろいろ顧客がいるわけでしょ。“旅館くらしき”のファンが。 | |
| 中村 | はい、ありがたいことです。ただ、倉敷の皆様には地元の鏡のようなご一族ですので安心なさっておられたところが、海を渡ったところの名前は知られているけれども、他国の企業が買収することになり、かなりご心配をおかけいたしました。 最初は本当に町に溶け込むには、どういうことをすればいいのか、何をすればいいのかが、非常に難しゅうございました。 |
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| 渡辺 | 建物の外観の風情を保つこと自体が街に溶け込んでいることだから。内部は自由でいいんじゃない。 | |
| 中村 | 時間をかけながら、よかったなと思ってくださるところを増やしていきたいです。いろいろいってくださるのは、大事な場所として“旅館くらしき”を思ってくださっていることですので、責任重大ですが、ありがたい思いでやらせていただいています。 そうすると、周りの方々も、最初はお声がけをいただけなかったことが、教えてくださることも増えてきました。まだまだ溶け込めてはいないものの、温かさを感じます。お客様側も、町のみなさまもどうなるかという思いでこちらを見ておられたのでしょう。 |
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| 渡辺 | それにしても、女将さん業は大変だよね。 | |
| 中村 | 私などは、この家の生まれでもありませんし、それまでは穴吹興産という会社の一社員としてパンツスタイルで現場に入って、ヘルメットをかぶって、着物もよう着んでしたから。(笑) | |
| 渡辺 | でも今は、とてもしっとりして、似合っている。 | |
| 中村 | ありがとうございます。社内では、本当は着物じゃなくてモンペをはいてやっているんだろうといわれているらしいんです。最初はとても心配してくれたんですが、何とか化けられて安心したみたいです。(笑) | |
| 渡辺 | 美しくて、品があって、ぴったりですよ。 | |
| 中村 | 旅館を再開する前に1ヵ月ちょっと、能登の加賀屋さんにうかがわせていただいて、いろいろと見せていただきました。現場に入ってお姉さん方に何かと教わったんです。 |
| 渡辺 | 女将さんになられて、戸惑われたことはありますか。 |
| 中村 | こちらが思い込んでいることと、お客様が思われていることが違うということを素直に飲み込めるまでが……。やっぱりプライドとかいろいろなものを引っ提げていたんだと思うんです。本当に未熟な、人間的な悩みがありましたね。 |
| 渡辺 | 部屋が五つといっても、きちんと料理人や仲居さんをそろえなければいけないわけでしょ。 |
| 中村 | 加賀屋さんのような大きな旅館も、ここのように小さな旅館もやらなければいけないことは同じです。ただ、少人数でやらせていただいている分、お掃除から夜警の担当者まで、名前と顔が一致します。前職ではなかなかそういうわけにはいかなかったものですから、今は家族のような形で仕事をしてもらっているんで、何だか家族に会いにきているような感覚でおりますね。 サラリーマン時代は、特に自分のことは自分で、自身の成果がどれだけ出てというようなことが、こちらにまいってからは、みんながみんな次の仕事のために動いているのが本当に新鮮でした。 |
| 渡辺 | なるほどね。 |
| 中村 | この大根の唐草が、今の季節の子孫繁栄のつまなので、どうぞ。味は素っ気ないんですが。 |















